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プログラミング教育必修化で学校の授業はどうなる?(2)

2020年度から、小学校でプログラミング教育が必修化されることはご存じですか? 2021年度からは中学校、2022年度からは高等学校でも必修となるため、現在小学5・6年生のお子さまにとっても無関係ではありません。なぜ、今、プログラミング教育が必要とされ、小学校の授業はどう変わっていくのか? 6月28日と7月12日の2回にわたってZ会のプログラミング教育担当が解説します。

 

そもそもなぜ「プログラミング教育」なの?

Q なぜ「プログラミング教育」なんてことが言われ始めたの?

A 技術への理解を高め、IT人材の不足に対応することを目的に議論が始まりましたが、目先の解決策ではなく、社会的な課題の根本解決を目ざす施策として実施されることになりました。

《さらに詳しく》

いまこの時代、「コンピュータ」にまったく触れずに1日を過ごすことはほぼ不可能です。7割強の日本人がスマートフォンを持ち、「パソコンなしでは業務ができない」企業も少なくありません。飛行機は今やコンピュータ制御される時代ですし、テレビや冷蔵庫などの身近な家電にもコンピュータが組み込まれるようになってきています。しかしその一方で、その技術を支える人材が不足しています。日本のみならず世界的に「IT人材」が不足しており、今後ますます足りなくなっていくとの予測もあります。そうした状況に歯止めをかけるために、まずは技術への理解を高める必要がある、興味をもつ層の裾野を広げる必要があるとの思いから「プログラミング教育」の必修化が議論されてきました。

Q IT人材の育成が大事なことはわかるけど、小学生からやらせる意味が本当にあるのですか? もっと大切なことがあるのでは?

A 「プログラミング」は、教科で学んだ知識どうしを結びつけ、血肉化するのに適していると考えられます。

《さらに詳しく》

「学校でプログラミングの技術を学んでも、社会に出る頃には陳腐化してしまい、結局役に立たない」、だからプログラミング教育など無駄である、という主張を聞くことがあります。あるいは、「まずは国語や算数などの基礎学力を身につけるべきだ」、だからプログラミングなどに時間を割いている余裕などない、という声も耳にします。確かに、ITにかかわる技術が陳腐化するスピードは速いのも事実ですし、基礎学力が身についていなければ発展的な内容を学ぶことができないのも事実です。しかし、だからといって「プログラミング教育が不要だ」という結論に直接結びつくものではありません。

先にも触れたとおり、小学校での「プログラミング教育」は教科内で行われます。これまでに学んだことを思い起こし、過去に身につけた知識と結びつけ、新たな気づきを得るために行われます。こうした活動は基礎学力を否定するものではなく、基礎学力を確たるものにすることにつながるはずです。文部科学省がプログラミング教育で身につけたい力を「プログラミング的思考」と表現していることからも、技術ではなく、学んだことを運用するための思考法であると言えるでしょう。

Q その「プログラミング的思考」っていったい何なの?

A 文部科学省では次のように定義しています。

「自分が意図する一連の活動を実現するために、どのような動きの組合せが必要であり、一つ一つの動きに対応した記号をどのように組み合わせたらいいのか、記号の組合せをどのように改善していけば、より意図した活動に近づくのか、ということを論理的に考えていく力」

《さらに詳しく》

「プログラミング」という言葉を抽象化すると、文部科学省の定義のような言い方になることでしょう。「プログラミング」そのものではなく、「プログラミングが行える」ようになるためのベースとなる力を身につけてほしいという思いがこの定義からは見えてきます。

このような力を身につける方法は、プログラミング以外にもあるかもしれません。しかし、プログラミング的思考はそのための教育によって身につけるのが効率的でしょうし、求められているものが見えやすくもなるはずです。また、「プログラミング的思考」はプログラミングのためだけではなく、社会で働くにあたって広く必要になる考え方でもあります。学習指導要領のサブタイトルは「生きる力」。まさに「プログラミング的思考」は「生きる力」につながるものなのです。

7/12(木)更新の後編では、「プログラミング的思考」の正体について、具体例を交えてお話しします。お楽しみに!

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