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生活リズムを見直そう~睡眠を大事にすることは子育てを考えること~(2)

自分の快適な状態を把握できるように...が目標

睡眠日誌で全体を把握してみよう

――どうも睡眠が足りていないようだと気づいたら、どうしたらいいでしょうか。

子どもの睡眠日誌をつけてみるのも1つの方法です。記載は非常に簡単。眠った時間を塗りつぶしていくだけです。余裕があったら、そこに起床時の様子や食事の時間、食べたもの、排泄の時間、運動や遊びの時間や様子などを書きこむといいでしょう。思い出せる範囲で十分です。一週間も書くと、大まかな子どもの生活の様子がつかめます。それに伴い、気づくこともあるはずです。どこをどう改善したらいいのか、見えてくるかもしれません。

――「寝るのが遅れた日の翌朝は、やっぱりぐすぐずいうな」とか、「遅く起きると、排便が帰宅後になるな」とか、具体的に見えてきそうですね。/

ただ、ここで注意したいのは、書くことに一生懸命になりすぎないこと。書くこと自体が目的になると、子どもたちはうるさく思い、寝ること、食べることが楽しくなくなってしまいかねません。何となく気づいたことを、気づいたときに書けばいいのです。

――GWのように親子が一緒にいる時間が長いお休みは、子どもの様子を見るいい機会かもしれませんね。

起床を軸に、生活を整える

――改善できるポイントが見つかったら、次はどうしたらいいでしょうか。早く寝なさいと言っても、言うことを聞かないものですが。

夜早く寝かせることよりも、朝早く起こして朝日を浴びさせることから始めるといいですね。前の晩が遅かった日はつらいかもしれませんが、できるだけ昼寝の時間を短くして、日中を活動的に過ごさせると、夜早く寝るようになり、早寝早起きの習慣がつきます。
長期休みに夜更かしをし、翌朝遅くまで寝ていると、その夜もなかなか寝つけない。こうして生活リズムがどんどんずれてしまいます。家族の用事や学校・習いごとの行事などで夜更かししても、翌朝はだいたい同じ時間に起こすように心がけましょう。
自然光を浴びることで、体が目覚めます。その際にはエネルギーが必要。朝ごはんをしっかり食べさせることが大事です。

――高学年になると、なかなか言うことを聞きません……。

そうかもしれませんね。だから低学年のうちに、保護者の方がリズムをつくってあげたいものです。朝早く起きて、しっかり食べてきちんと排泄して出かけると、元気よく1日を過ごせる。そう体で覚えられるよう実践し、言葉でも伝えましょう。
高学年になるころには自分で自分の快適な状態を把握できるようになり、中学生以降は、自分で寝る時間、食べる物などを調整できるようになるのが理想です。
これから高学年の子の生活リズムを整えるなら、先に述べたように朝起こすことから始め、同時に体のことを積極的に話題にするといいでしょう。「疲れているの? やっぱりきちんと寝て食べて出さないと、元気出ないね」とか、「何食べたい? 何でもいいじゃなく 、ちょっと考えて」など、自分の感覚に意識を向けさせる。ただくれぐれも、詰問にならないように注意してください。
そして、保護者の方自身が、生活リズムを大事にすること。テレビやパソコンが煌々とついていたら、子どもたちが夜更かししたくなるのは無理ないことですよ。

――ありがとうございました。

睡眠日誌のつけ方

まずは1週間、睡眠日誌をつけてみましょう。低学年のお子さまには保護者の方が、高学年のお子さまはできればお子さま自身で記入されるとよいでしょう。横の1行を1日とし、いちばん左側の列に日付、その右側にお子さまの1日の生活の様子を記入していきましょう。
記入方法は以下のとおり。

  1. お昼寝も含めて、お子さまが寝ていた時間のマスを色で塗りつぶしましょう。
  2. 加えて、以下の項目も余裕があったら記入してみましょう。お子さまの生活リズムをより詳細に把握することにつながります。
    ・起床時の様子 ・食事の時間と食べた物 ・運動や遊びの時間
    ・排泄の時間  ・お子さまの機嫌 など
  3. 1週間続ければ、お子さまの生活リズムが見えてきます。そこから浮かび上がった改善ポイントを、次週以降意識して生活していけるとよいでしょう。

睡眠日誌は、こちらより、ダウンロードできます。
睡眠日誌.pdf

【記入例】

プロフィール

神山 潤(こうやま・じゅん)

小児科医、東京ベイ・浦安市川医療センターC.E.O。東京医科歯科大学医学部医学科卒業。同大大学院助教授、東京北社会保険病院副院長、院長を経て現職。専門は臨床睡眠医学。日本子ども健康科学会理事、日本小児神経学会評議員、日本臨床神経生理学会評議員、日本睡眠学会理事など、重職も兼任。「子どもの早起きをすすめる会」の発起人として、睡眠をはじめとした現代の子どもをとりまく成育環境のあり方に警鐘を鳴らし、講演、執筆活動にも注力している。『四快のすすめ―子どもの「快眠・快食・快便・快動」を取り戻す』(新曜社)ほか、著書多数。

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