どーんとこい!中学入試の算数

第8回 統計分野の問題

大人でもちょっと手こずってしまうような、難問奇問が続出する中学入試の算数。
でもだいじょうぶ、コツさえつかめば怖くありません!
学習サポートセンターのカズが、算数を楽しく学ぶ方法を伝授します。

これからの教育が大きく変わっていくであろうことは、保護者の皆さまも感じていらっしゃることと思いますが、算数・数学の分野においては、次期指導要領でとくに統計分野の充実が意図されています。

Z会でも、Z会Asteria(無学年制・未来を共創する21世紀型Online Academy)に統計分野を重視した数学新系統講座を開講していますし、全国学力調査(小6と中3)の中3数学の出題では、3年連続で統計分野から出題されています。統計は、代数、解析、幾何といったほかの数学の分野とはやや毛色の異なる分野ですが、ビッグデータの活用など、実社会での応用が期待されるにつれ、教育の現場でも重視されるようになってきました。

今回は、そんな統計分野からの出題です。

問題

 

ある結婚相談所で、20点満点の自己肯定度調査を行いました。表はそのうち20人の得点です。

また平均点など、以下に示すような調査結果がわかりました。

<調査結果>

★1 20人の平均得点は12.4点である。
★2 上位10名と下位10名の総得点差は66点である。
★3 もっとも低い人でも5点である。
★4 11点以上の人は、全体の7割である。

下のグラフ(ヒストグラムまたは柱状グラフといいます)は、3点未満、3点以上6点未満、6点以上9点未満、…、18点以上のように3点区切りでまとめたものです。たとえば、15点以上18点未満の人は4人います。

このとき、表の空欄に入る整数を求め、小さい順に書きなさい。

 

ヒント

空欄は5つありますが、度数分布表(範囲と人数を表にまとめたもの)を作って、★3と★4から考えていくとよいでしょう。残りの空欄に入る数を、○、△、□、…などとおいて、○、△、□、…の関係について調べます。それぞれの記号には、数の範囲が決まっていますので、そのことにも注意をして考えましょう。

 

(参考)

2017年度 鷗友学園中学校 第8問

ある大学での聞き取り調査では、「恋愛はOKだけど、結婚はしたくない」という大学生が多いそうです。いまどきの大学生は、そうなんですね。カズにも20代の子どもが2人いますが、同性同士で遊ぶのが楽しいみたいで、親としては気をもんでいます。そんなことを考えていたら、こんな問題になっちゃった。

いずれ少子高齢化対策として、恋愛術も学校で教える時代がくるのかもしれませんね。
そしたらカズは講師をやってみたいなー。なんてね。

それでは、さっそく解答を確認してみましょう。

解答・解説はこちら

解答

得点のわかっている人が15人、空欄の人が5人います。

まずは、15人の度数分布表を作ってみましょう。

ここでグラフと比べると、空欄5つは、3点以上6点未満、6点以上9点未満、…、15点以上18点未満にそれぞれ1人ずついることがわかりますね。

すると、★3から、空欄のひとつは5です。また、★4から、全体の7割である14人が11点以上です。

 

グラフから12点以上が11人ですから、残りの3人は11点です。得点のわかっている人の中に11点は2人しかいませんので、空欄の中にも11点が1人いることがわかります。

以上から、空欄の2つは、5と11が入るので、残りの3つの空欄の数字を○(6点以上9点未満)、△(12点以上15点未満)、□(15点以上18点未満)としましょう。

 

ここで、★1について考えます。20人の平均得点が12.4点ということは、総得点は

           12.4×20=248(点)                   ……………①

です。そこで、わかっている17人の総得点は、

         14+8+16+12+18+10+15+11+9+19+14+8+14+11+16+5+11=211

であることから、残り3人の○、△、□の和は、

              248-211=37(点)                       ……………②

次に、★2について考えます。下位10人は、12点未満が9人いることから、12点の1人を加えたメンバーになります。したがって

              8+12+10+11+9+8+11+5+11=85

に○を加えた

              ○+85(点)                                   ……………③

であり、上位10人は、さらに66点を加えた点数になります。これを①を使って線分図をかくと

以下のようになります。

 

よって、○+85を求めると

              (248-66)÷2=91

ですから、○の値は

              91-85=6

と求まり、6点以上9点未満の条件も満たしています。また②から、△と□の和が

              △+□=37-6=31

であることもわかります。

 

ここで、△と□の範囲は

              △(12点以上15点未満)

              □(15点以上18点未満)

でしたので、△が14で□が17です。

 

以上から空欄に入る数は、5、11、6、14、17となり、小さい順に並べて

              5、6、11、14、17 (答)

となります。

 

いかがでしたでしょうか。

日本の子どもは、ほかの先進諸国の子どもに比べて自己肯定感が低いという調査結果もたびたび目にしますので、問題には、こんなカズの思いも反映させてあります。

  • 平均点は、6割以上
  • 半分以上の得点の人が7割

まぁ、どんな調査をするのかにもよるのでしょうが、そういう日本であってほしいですね。それでは、また来月にお会いしましょう。

プロフィール

出題・文

学習サポートセンター カズ

Z会の学習サポートセンターで、日夜会員のみなさんからの質問相談に応じている。

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