どーんとこい!中学入試の算数
第10回 ニュートン算
2017.10.26
6.7K
大人でもちょっと手こずってしまうような、難問奇問が続出する中学入試の算数。
でもだいじょうぶ、コツさえつかめば怖くありません!
学習サポートセンターのカズが、算数を楽しく学ぶ方法を伝授します。
今回はニュートン算です。ニュートン算とは、速さと仕事算をミックスした応用問題。通常の仕事算とは異なり、仕事をこなす一方で仕事が一定量ずつ増えていく問題なので、単純な仕事算の解法では解くことができません。
よくあるのは牧場の問題ですね。「牛が草を食べつくすのに何日かかるでしょう」というもので、牧草は牛に食べられて減るだけでなく、新しく生えてくるところがポイントです。苦手な方も多く、「モゥー」と泣きたくなることもあるのではないでしょうか。この記事を読んで、ぜひコツを身につけてもらいたいものです。
今回の出題は、住宅ローンの返済を取り上げました。毎月、なけなしのお金をかき集めて(?)支払う住宅ローン。当然、利息がつきますから思うようには減りません。心のなかで、「モゥー」と叫んでいる方もいらっしゃるかもしれませんね。牧場の問題との共通点は、解法だけではなく、そんなところにもあるのでした。
では、早速、問題を見ていきましょう。実際の住宅ローンは月々の返済になりますが、便宜上、年払いという設定です。
問題
金持太郎さんは、このたび結婚し、マンションを購入することになりました。そこで、住宅ローンのシミュレーションを行ったのですが、
- 年間100万円の返済で、30年
- 年間120万円の返済で、24年
とのことです。このとき、年間140万円ずつ返すことにすると、返済期間は何年になるでしょうか。ただし太郎さんは、頭金なしで全期間固定金利型を選択しているものとします。
※全期間固定金利型……契約時点から完済まで金利が固定され、借入期間中は変動しないタイプの住宅ローンのこと。
ヒント 住宅ローンはつらいですよね。中学受験をするご家庭であれば、教育費とあわせてダブルパンチです。本当に、「モゥー」と泣きたくなります。 さて、本題です。太郎さんは全期間固定金利型を選択しているので、毎年支払う利息分は一定です。2つのシミュレーションから、まずは年ごとに支払う利息から求めましょう。支払った金額の差は、返済期間による利息分の差になります。 (参考) 2017年度慶應義塾中等部 第2問(4) |
今回の記事では住宅ローンの案を採用しましたが、実は、次の2案も検討していたのでした。
(ダイエット案)
「毎日の食事でつく脂肪と、運動によって減る脂肪。目標体重に届くのはいつでしょう」という問題。
(髪の毛復活案)
「入浴のたびに抜け落ちる髪の毛と、増毛プラン。髪の毛が若いときの自分に戻るのはいつでしょう」という問題。
どちらもニュートン算の問題になりますが、少しおバカ過ぎるかもと思ってやめました。でも、ニュートン算のネタは、日常生活のいたるところにあることはわかっていただけたでしょうか。牧場の問題のほかにも、動物園の入場者数などの問題もよく出題されますが、中学受験において、受験生を楽しませる問題が増えることを願ってやみません。
それでは、解答を確認しましょう。
解答・解説はこちら
解答
毎年100万円ずつ返済すると、30年間では
100×30=3000(万円)
120万円ずつ返済すると、24年間では
120×24=2880(万円)
を支払うことになります。したがって、この差は返済期間から生じるものですから、1年間に支払う利息は
(3000-2880)÷(30-24)=20(万円)
よって、当初借りた住宅ローンは
3000-20×30=2400(万円)
年間140万円ずつ支払うのであれば
2400÷(140-20)=20(年)
すなわち、140万円ずつ返済すると、20年のローンを組めばよいことがわかります。
(答)
いかがでしたでしょうか。
ニュートン算のなかでも基本的な問題でしたが、もうだいじょうぶ。モゥー、だいじょうぶですよ。受験生は、自信をもって日々の勉強をがんばってくださいね。
では、今回はこれで終わり。来月またお会いしましょう。
プロフィール
出題・文
学習サポートセンター カズ
Z会の学習サポートセンターで、日夜会員のみなさんからの質問相談に応じている。