どーんとこい!中学入試の算数
第17回 図形問題をおもしろがろう
2018.5.24
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大人でもちょっと手こずってしまうような、難問奇問が続出する中学入試の算数。
でもだいじょうぶ、コツさえつかめば怖くありません!
学習サポートセンターのカズが、算数を楽しく学ぶ方法を伝授します。
こんにちは。
学習アドバイザーのカズです。
2018年度は、ひらめきを必要とする図形問題をたくさん紹介していこうと決めているのですが、今回ご紹介する問題は、流行ることまちがいなし(カズ的予想)! 6年生は、本番前にチェックしておくとよいことがあるかもしれません。
過去にも、「これって知らなかったな。流行るんじゃないかな」と思ったものが、翌年度以降に形を変えてほかの学校で出題されたことがありました。入試問題を作る先生方も似たようなことを考えているんだな、と思うときがよくあります。
さて、ここで問題です。
難関高校に通うJK(女子高生)が「この問題やばいよね」と言っています。ここで、「やばい」の意味は次のうちどれでしょう。
① とても難しい
② とてもおもしろい
③ 出題ミスがある
答えは「どれも正しい」でした。「①難しい ②おもしろい ③出題ミス」の順に可能性が高いでしょう。
実は、このあとに出題する図形の問題は、「やばい」かもしれません。
多くの方にとっては「難しい」問題かもしれませんが、少しでも「おもしろい」と感じてもらえたらと思っています。
問題
下図のような直角三角形ABCがあります。
(あ)の角を3個と、(い)の角を2個あわせると何度になるか求めなさい。
気づくことができるかどうかの問題ですので、ヒントがあるとすぐにわかってしまうかもしれません。図形問題のおもしろさは、ヒントなしに「自分で気づく」ところにあります。
算数に自信のある方は、まずはヒントなしで考えてみましょう。
ヒント ヒントはずばり「二等辺三角形」です。補助線を引いて、二等辺三角形を作ります。 (参考) 2018年度海陽中学校 第1問(3) |
今回はおまけ企画として、「オリジナル問題」の作り方を最後にご紹介します。
それでは、解き終わった方から解答を見てみましょう。
解答・解説はこちら
解答
三角形ABDをABを対称の軸にして直線BCの延長上に一辺をもつ三角形を作ります。これを三角形ABEとすると、ADとAEの長さが等しいことから、三角形AEDは二等辺三角形です。また、
EC=2+2+4=8(cm)
であることから、ACとECの長さも等しくなるため、三角形CAEも二等辺三角形です。
したがって、
角ADB=角ACB+角CAD=(あ)+(い)
三角形AEDは二等辺三角形だから
角AEC=角ADE(=角ADB)
三角形CAEは二等辺三角形だから
角CEA=角CAE
以上から
角CAE=角CEA=角ADE=(あ)+(い)
であり、三角形AECの内角の和から
角CAE+角AEC+角ACE=( (あ)+(い) )+( (あ)+(い) )+(あ)
=(あ)×3+(い)×2
=180(度)
よって、(あ)の角を3個と(い)の角を2個あわせると、180度になります。(答)
いかがでしたでしょうか。「おもしろい」と感じていただけたでしょうか。
それでは最後に、おまけ企画「オリジナル問題を作ろう!」です。
右図のような直角三角形ABCがあります。
(あ)の角を3個と(い)の角を2個あわせると何度になるか求めなさい。
上の図で、
ACの長さ(○の長さ)を保護者の方の年齢
BDの長さ(□の長さ)をお子さまの年齢
DCの長さ(△の長さ)を保護者の方の年齢からお子さまの年齢を2回引いた数
としてみましょう。すると、数値だけが異なる、今回の図形の問題とほぼ同じ問題ができます。
たとえば、母が42歳、子どもが11歳だとすると、
AC=42(cm)
BD=11(cm)
DC=42-11×2=20(cm)
の問題ができます。
問題ができたら、「オリジナル問題を作ったよ!」と言って、ご家族に出題してみましょう。解けた人がいたら、「実は、この問題の数字はわが家にちなんだある数字を使っています」ともう一問。ご家族の皆さまが算数を「おもしろい!」と思っていただけたらうれしいです。ぜひ、お試しを!
それでは、今回はこれでおしまい。また来月、お会いしましょう。
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出題・文
学習サポートセンター カズ
Z会の学習サポートセンターで、日夜会員のみなさんからの質問相談に応じている。