どーんとこい!中学入試の算数

第24回 2019を使った問題

大人でもちょっと手こずってしまうような、難問奇問が続出する中学入試の算数。
でもだいじょうぶ、コツさえつかめば怖くありません!
学習サポートセンターのカズが、算数を楽しく学ぶ方法を伝授します。

こんにちは。学習アドバイザーのカズです。恒例になりつつある西暦に関する問題。今回は2019で問題を作ります。

 

2018年度の入試問題を解いていて気づいたのですが、ネタ元が同じではないかと思うほどよく似ている問題を出している学校がありました。問題の本質的には、以下を問う問題になっています。

  • 桜蔭中学校 大問1(2) 2を34回かけた数を15でわったときのあまり
  • 駒場東邦中学校 大問3 7を2018回かけた数の十の位、6を2018回かけた数の十の位
  • 麻布中学校 大問6 2を2018回かけた数の下2けた

2の累乗(いくつかかける)に着目したのが桜蔭と麻布、2018乗(2018回かける)に着目したのが駒場東邦と麻布です。よくある題材なので偶然かもしれませんが、難関校で同じ年に出題されたので気になりました。

ちなみに、7の累乗の一の位は、「7→9→3→1」と続きます。つまり、この手の問題では、周期性に着目することがポイントになります。

麻布の問題がすばらしかったので、今回はこの問題を参考に出題します。それでは早速、問題を見てみましょう。

問題

2をn個かけあわせてできる数を〈n〉と表します。たとえば

   〈3〉=2×2×2=8、〈4〉=2×2×2×2=16

です。

(1)〈12〉+〈2〉および〈13〉+〈3〉を計算すると、ともに下2けたが00になります。このことを用いて〈2019〉の下2けたを求めなさい。

(2)〈53〉の下3けたは992です。このことを用いて、〈n〉の下3けたが744となるnを3つ求めなさい。

 

ヒント

7をいくつかかけあわせると

      7、49、343、2401、16807、117649、823543、5764801、……

下1けたが7、9、3、1、7、9、3、1、……のように「7、9、3、1」が繰り返し出てきます。このように、この手の問題は周期性に気をつけることが大切です。

 

(1)〈12〉+〈2〉および〈13〉+〈3〉を実際に確認してみましょう。〈12〉+〈2〉に2をかけた数が〈13〉+〈3〉になるということです。

(2)1000-992=8=〈3〉、1000-744=256=〈8〉です。(1)と同様に考えることができないかどうかを考えてみましょう。

(参考)

2018年度麻布中学校 第6問

難関校では、2019年度の入試でも類題が出題されそうな予感です。受験生は、2以外の数の周期についても確認しておくとよいでしょう。

解答・解説はこちら

解答

(1)

   〈12〉+〈2〉=〈6〉×〈6〉+〈2〉=64×64+4=4100

〈12〉に2をかけたものが〈13〉、〈2〉に2をかけたものが〈3〉だから

   〈13〉+〈3〉=4100×2=8200

これを続けていくと〈2019〉+〈2009〉や〈2009〉+〈1999〉も下2けたが00になることがわかります。よって、これを利用すると

   〈2019〉+〈2009〉+〈1999〉+…+〈19〉+〈9〉 ←偶数個

        〈2009〉+〈1999〉+…+〈19〉        ←偶数個

も下2けたが00であり、上から下をひいた〈2019〉+〈9〉の下2けたも00です。したがって、〈9〉=512だから

   100-12=88

〈2019〉の下2けたは88であることがわかります。 (答)

 

 

(2)

〈53〉の下3けたは992であることから、1000-992=8=〈3〉に着目すれば、〈53〉+〈3〉の下3けたは000になります。

また、1000-744=256=〈8〉に着目して(1)と同様に考えれば〈53〉+〈3〉や〈58〉+〈8〉の下3けたも000であり、〈58〉の下3けたが744になることがわかります。

以下、同様にして考えると

   〈58〉+〈8〉      ……………①

   〈108〉+〈58〉    ……………②

   〈158〉+〈108〉  ……………③

   〈208〉+〈158〉  ……………④

   〈258〉+〈208〉  ……………⑤

はいずれも下3けたが000です。

したがって、①+③-②、①+③+⑤-②-④から〈158〉+〈8〉、〈258〉+〈8〉のいずれも下3けたが000となります。

 

以上をまとめると、求めるnの値は

              n=58、158、258  (答)

となります。

最後に、「2、3、4の累乗周期」について書いておきます。受験生は、こちらも確認しておくとよいでしょう。

  • 2の下1けた:4(2、4、8、6の繰り返し)
  • 2の下2けた:20(初回だけ2ですが、4、8、16、…、52(20個)の繰り返し)
  • 3の下1けた:4(3、9、7、1の繰り返し)
  • 3の下2けた:20(3、9、27、81、43、…(20個)の繰り返し)
  • 4の下1けた:2(4、6の繰り返し)
  • 4の下2けた:10
    ※4の周期は2の周期の半分になります。

 

受験生および保護者の方々は入試直前期に入りますが、風邪などひかないよう気をつけてくださいね。
健闘をお祈りしております。

まだZ会員ではない方

プロフィール

出題・文

学習サポートセンター カズ

Z会の学習サポートセンターで、日夜会員のみなさんからの質問相談に応じている。

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