どーんとこい!中学入試の算数

第28回 新元号と西暦の関係を使った問題

大人でもちょっと手こずってしまうような、難問奇問が続出する中学入試の算数。
でもだいじょうぶ、コツさえつかめば怖くありません!
学習サポートセンターのカズが、算数を楽しく学ぶ方法を伝授します。

今年度の鎌倉学園中学校におもしろい問題が出題されました。2016年は平成28年でしたが、2016は28で割り切れます。このように西暦が平成の年で割り切れるのは、平成時代の間に平成元年を除いて何回あったでしょう、というものです。

実は、カズは昔同じような問題を作ったことがありました。2001年の年末に年賀状用として2002と14を使った問題を考えたのですが、後になって千葉県の高校の先生方の研究会でも同じ数字を使った問題が発表されていたことを知りました。みな考えることは同じだなと思ったのですが、逆に言うと、「ズバリ! ○○中学で出ます!!」とは言えないですが、「ズバリ! どこかの中学校で必ず出題されます!!」くらいは、とくに西暦にからんだ問題では言えそうな気もします。予想通り、今年度の本郷中学校の1(3)で2019=673×3を知っておくと計算が楽になる問題が出題されました。

それでは、早速、問題を見ていきましょう。

問題

元号が令和に決まったわけですが、そこで出題です。

(1)西暦から2をひいた数が、令和の年で割り切れるのは、令和10年から令和30年までの間に何回あるでしょう。

(2)中年のおじさんが、「おっと、2021年は誕生日がくると自分の年齢で割り切れるぞ!!」とおおはしゃぎ。さて、おじさんの生まれた年を西暦で答えてください。ただし、中年は40歳以上65歳未満であるとします。

ヒント

それほど難しい問題ではありません。元号と数字に親しんでもらうことを目的に出題しました。ぜひ、お子さまと一緒に考えてみましょう。

(1)ヒントはとくに必要ないかとも思いましたが、どこから手をつけてよいのかわからない場合には、2026÷10から順に調べてみるとよいでしょう。各々を調べてもそんなに大変なことにはなりません。むしろ、割り切れる数はどのような数なのかを考えてみてください。

(2)2021年ではなかったのですが、高校の先生をしている知人から聞いた実話です。中年素数(40以上65未満の素数)だったので、妙に感動していました。そう、割り切れるというのですから、2021の約数を考えてみるとよいでしょう。なお、答えは2通りあります。

※双子素数という数学用語はありますが、中年素数はカズの造語です。念のため。

(参考)

2019年度鎌倉学園中学校 第2問(4)

それでは、新しい時代がみなさんにとって幸多き時代でありますように!

解答・解説はこちら

解答

(1)

西暦から2をひいた数が令和の年で割り切れるということは、西暦から2と令和の年をひいた数も、令和の年で割り切れます。AがBで割り切れるのであれば、A-BもBで割り切れるということ。すなわち、2019年が令和元年だから、

   2019-2-1=2016

より、2016は令和の年で割り切れます。したがって、2016を素因数分解すると

   2016=2×2×2×2×2×3×3×7

さらに10以上30以下の2016の約数を書き出すと、

   12、14、16、18、21、24、28

よって、求める答えは

   7回 (答)

 

ひとつひとつ確かめてみると、

令和12年は2030年ですから

   (2030-2)÷12=169

令和14年は2032年ですから

   (2032-2)÷14=145

令和16年は2034年ですから

   (2034-2)÷16=127

令和18年は2036年ですから

   (2036-2)÷18=113

令和21年は2039年ですから

   (2039-2)÷21=97

令和24年は2042年ですから

   (2042-2)÷24=85

令和28年は2046年ですから

   (2046-2)÷28=73

と、確かにどの年度も割り切れています。

 

(2)

2021を素因数分解すると、

   2021=43×47

となり、2021年を年齢で割り切れるのは43歳と47歳とわかります。2021年の43年前と47年前を求めればよいので、

   2021-43=1978
   2021-47=1974

よって

   1974年または1978年 (答)

 

ヒントに出てきた知人がなぜ妙に感動していたのかというと、1950年から2000年の50年間で、中年素数を素因数にもっている年は以下の5つだけだからなのです。

・1952年(61歳のときに中年素数で西暦が割り切れる)
・1961年(53歳のときに中年素数で西暦が割り切れる)
・1968年(41歳のときに中年素数で西暦が割り切れる)
・1974年(47歳のときに中年素数で西暦が割り切れる)
・1978年(43歳のときに中年素数で西暦が割り切れる)

これらの年は希少価値のある年だったんですよ。1974年生まれ・1978年生まれの方は、ぜひ「中年素数の年齢で西暦が割り切れる」という貴重な2021年を楽しみにお迎えくださいね。

この問題では、西暦から2をひいた数と令和の年の差2016に着目することがポイントになります。2をひいた理由は、2018では約数が少なく問題が成立しないからなのですが、そのままで問題を作るのであれば、和に関して問題を作ることは考えられます。

たとえば、「西暦と令和の年号の和について、約数が16個あるのは、令和何年でしょう。」といった具合。ちなみに、令和20年までに4回あります。

いかがでしたでしょうか。今回は以上でおしまい。それでは、また来月にお会いしましょう。

まだZ会員ではない方

プロフィール

出題・文

学習サポートセンター カズ

Z会の学習サポートセンターで、日夜会員のみなさんからの質問相談に応じている。

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