どーんとこい!中学入試の算数
第30回 算数なのに、ぬり絵の問題
2019.6.27
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大人でもちょっと手こずってしまうような、難問奇問が続出する中学入試の算数。
でもだいじょうぶ、コツさえつかめば怖くありません!
学習サポートセンターのカズが、算数を楽しく学ぶ方法を伝授します。
最近、『レンタルなんもしない人のなんもしなかった話』を読みました。テレビや新聞でも取り上げられたので、ご存じの方も多いことでしょう。著者は「なんもしない」でも、新しい経験があったり、依頼者におもしろがってもらえたり、充実感を得られていることがうれしいと言っています。
そこで今回は、読者がなんもしない……とまではいかなくても、考え込むことなく感動を味わえるにはどうしたらよいか。そんなことを考えつつ問題を作ってみました。行き着いた先がタイトルにある「ぬり絵」です。それでは、早速、問題を見てみましょう。
問題
図1のように、ある規則にしたがって、数を並べます。
・1段目の数は1
・2段目以降は両端が1で、それ以外の数は左上と右上の数をたしたもの
このとき、次の問いに答えなさい。
(1)並べた数を図2のように○に置きかえたとき、16段目までの数について、奇数の位置の○を黒くぬりましょう。
(2)□段目までに書かれた偶数の個数が奇数の個数よりも初めて多くなるとき、□に当てはまる数字を求めなさい。
(3)2020段目には、2020個の数字が書いてあります。この2020個の数字の和について、一の位を求めなさい。
ヒント 有名なパスカルの三角形が題材です。 (1)これはなんも考えず、ぬり絵を楽しみましょう。きれいだな、と思えたら成功です。 (2)17段目以降に、偶数がたくさん出てきそうです。 (3)こちらは3月号の復習です。第26回の出題を参考にしてください。この問題は、規則性の問題です。 (参考) 2019年度筑波大学附属中学校第5問 |
解答・解説はこちら
解答
(1)
(答)
(2)
(1)より、1段目から8段目までには、黒が27個、白が9個です。1段目から16段目にはこれと同じかたまりが3つあるので、黒は27×3=81(個)、白は中央にある逆三角形のかたまり28個に9×3(個)を加えて55個です。
したがって、17段目まででは
黒:81+2=83(個)、 白:55+15=70(個)
黒のほうが多いので、18段目まででは
黒:83+4=87(個)、 白:70+14=84(個)
黒のほうが多いので、19段目まででは
黒:87+4=91(個)、 白:84+15=99(個)
16段目までに書かれた偶数の個数が奇数の個数よりも初めて多くなることはないので、初めて白のほうが多くなるのは
19段目 (答)
(3)
それぞれの段にある数字の合計は
1 段目:1
2 段目:1+1=2
3 段目:1+2+1=4
4 段目:1+3+3+1=8
5 段目:1+4+6+4+1=16
6 段目:1+5+10+10+5+1=32
7 段目:1+6+15+20+15+6+1=64
8 段目:1+7+21+35+35+21+7+1=128
となり、□段目のときの和は、2を(□-1)回かけた数になることがわかります。よって、2020段目の2020個の数字の和は、2を2019回かけた数です。
また、2を複数回かけたときの一の位は、4つごとに2、4、8、6が繰り返されるので
2019÷4=504あまり3
から、一の位は3番目の8になります。よって、求める答えは
8 (答)
(3)では、2020を見せておいて、2を2019回かけたものが出てきます。なお、それぞれの段にある数字の和が「×2」で増えていっているのは、両端の1は1回、両端以外は2回ずつ足されていって、新しい段の両端に1が加わっているからです。
今回は以上でおしまい。それでは、また来月にお会いしましょう。
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プロフィール
出題・文
学習サポートセンター カズ
Z会の学習サポートセンターで、日夜会員のみなさんからの質問相談に応じている。