どーんとこい!中学入試の算数
第32回 わり切れない思いを数える問題
2019.8.22
4K
大人でもちょっと手こずってしまうような、難問奇問が続出する中学入試の算数。
でもだいじょうぶ、コツさえつかめば怖くありません!
学習サポートセンターのカズが、算数を楽しく学ぶ方法を伝授します。
7月24日と26日に、2020年度のオリンピックに向けて交通規制のテストがありました。ついに来年はオリンピック!と思うと楽しみですが、首都高速の入り口閉鎖や青信号の短縮などは、交通に大きな影響を及ぼしそうです。政府はできるだけ「公共交通機関を利用するように」と言いますが、そうは言ってもいられない……と感じた方も多いのではないでしょうか。
今回は、そんなわり切れない思いにちなんで、わり切れない数を扱った問題を作りました。「辛抱強く題意を読み解く」ということを念頭に置いて、ぜひチャレンジしてください。
問題
ある数について6、7、8、9のわり算を考え、わり切れない数の個数を【 】で表します。たとえば、24は6、8でわり切れ、7、9でわり切れないので、【24】=2です。さらに、126は6、7、9でわり切れ、8でわり切れないので、【126】=1です。nを1以上2020以下の整数とするとき、
(1)【n】=0をみたすnの個数はいくつですか。
(2)【n】=1をみたすnの個数はいくつですか。
ヒント (1)【n】=0をみたすnは、6でわっても7でわっても8でわっても9でわってもわり切れる数です。わり切れない数の個数が0ということは、4つの数のいずれでもわり切れるということです。
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解答・解説はこちら
解答
(1)
7は6、8、9のいずれとも「互いに素(公約数が1以外にない)」である。したがって、これを利用すると、3つの数6、8、9の最小公倍数は72だから、4つの数6、7、8、9の最小公倍数は72×7=504とわかる。
すなわち、6、7、8、9の公倍数は
504、1008、1512、2016、2520、…
であり、【n】=0をみたすnは504、1008、1512、2016の4つである。
4個 (答)
(2)
【n】=1となるnは、6~9でわると1つだけわり切れない数がある数である。
(イ) 6だけわり切れない
8でも9でもわり切れる数は72の倍数だから、そのような数は必ず6でもわり切れる。よって、条件をみたすnは存在しない。
(ロ) 7だけわり切れない
3つの数6、8、9の最小公倍数は72、4つの数6、7、8、9の最小公倍数は504だから、1から504の中に条件をみたす数は
7-1=6(個)
2016までの数の中には6×4=24(個)ある。2016の次は2016+72=2084となり、条件をみたさない。
よって、7だけわり切れない数は24個ある。
(ハ) 8だけわり切れない
3つの数6、7、9の最小公倍数は126だから、1から504の中に条件をみたす数は
504÷126-1=3(個)
2016までの数の中には3×4=12(個)ある。2016の次は2016+126=2142となり、条件をみたさない。
よって、8だけわり切れない数は12個ある。
(ニ) 9だけわり切れない
3つの数6、7、8の最小公倍数は168だから、1から504の中に条件をみたす数は
504÷168-1=2(個)
2016までの数の中には2×4=8(個)ある。2016の次は2016+168=2184となり、条件をみたさない。
よって、9だけわり切れない数は8個ある。
以上から、求めるnの個数は
24+12+8=44(個) (答)
混乱せずにここまでたどり着けたでしょうか。今回は混乱しそうな問題を意図的に作ったので、ここまでがんばって読み解いた人はりっぱです。これからも、ご愛読よろしくお願いしますね。
今回は以上でおしまい。それでは、また来月にお会いしましょう。
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学習サポートセンター カズ
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