どーんとこい!中学入試の算数

第4回 図形のひらめき問題

大人でもちょっと手こずってしまうような、難問奇問が続出する中学入試の算数。

でもだいじょうぶ、コツさえつかめば怖くありません!
学習サポートセンターのカズが、算数を楽しく学ぶ方法を伝授します。

今回は、発想力重視の図形問題に挑戦します。難しい知識は必要なく、解説を読むと簡単な問題のように見えるのですが、解くのは容易ではない問題です。

問題を解く糸口を見つけられないために算数嫌いになるお子さまからの相談は多いように感じます。対策としてまず思いつくのは、演習量の強化。しかし、やみくもに演習量を増やすだけでは、さらに算数を嫌いになってしまう恐れもあります。

では、どうすればよいのでしょう。できないことを責めるのではなく、解けたときのうれしい気持ちを大切にしましょう。算数が苦手なお子さまは、まず算数を好きになることが大切です。算数に限らず、好きなことにはアイディアがたくさん出てくる、というのは保護者の皆さまも経験があることでしょう。

解けたときのうれしい気持ちを倍増させるために、算数に自信のある方は、ヒントなし。自信のない方も、まずはヒントなしで考えてみましょう。じっくり考えたすえに解けた問題というのは、苦労した分、次回につながる問題でもあるのです。では、さっそく問題を見ていきましょう。

問題

直径10mの丸いかたちをした園庭に、パンジーと紫陽花を植えました。パンジーを植えた部分を黄色、紫陽花を植えた部分を紫にして表すとき、紫の部分の面積を求めなさい。ただし、円周率は3.14とします。

 

(ヒント)

類題を解いたことがなければかなり難しいはずです。4月27日更新の「5・6年生向け カコモンにTRY! 特別版 2017年春入試問題紹介の解答解説」では、今回の問題を作るときに参考にした東大寺学園中学校の問題を解説しています。解法の見当もつかないという方は、まずはそちらの問題からチャレンジしてみてください。

「同じ面積に置き換える」がこの手の問題の定石ですが、紫陽花を植えた部分について直接考えようとするとうまくいかないでしょう。

   押してもダメなら 引いてみな

で、全体から当てはまらない部分を引く方法について考えることがポイントになります。紫陽花ではなく、パンジーを植えてある部分について、等積変形が使えないかどうかを考えてみましょう。

それにしても、このような問題を小問集合として解かなければならない受験生も大変だなってつくづく思います。解けた方は、ひらめきにおおいに自信を持ってよいと思います。

(参考)
2017年度東大寺学園中学校 大問1(3)

 

解答・解説はこちら

解答の方針

求める部分の面積は紫陽花の植えてある部分の面積ですが、パンジーの植えてある部分の面積を求めて、全体から引いて求めます。まずは、これを半分の半円について考えましょう。

解説

パンジーの植えてある部分を斜線で表し、園庭の半分を図式化すると、図1のようになります。円の中心を点Oとし、4点B、C、D、Eは弧AFを5等分する点とします。

このとき、三角形EAOに着目すると、BEとAFは平行だから等積変形により、三角形BAOと同じ面積になります。

同様にして、三角形CADに着目すると、CDとAFは平行だから等積変形により、三角形CODと同じ面積になります。

ここで、図2と図3を踏まえて、図1の斜線部分を移動すると、図4のようになります。

したがって、パンジーの植えてある斜線部分は全体のとなり、求める紫陽花の植えてある部分の面積は、その2倍ですから

   5×5×3.14×

  =3.14×5×2

  =31.4(m2)  (答)

となります。

いかがでしたでしょうか。図形って「ひらめき」を必要とする問題が多い分野なんです。ぜひお子さまが解けたときにはほめてあげてくださいね。きっと算数が大好きになると思います。

それでは、また来月にお会いしましょう。

プロフィール

出題・文

学習サポートセンター カズ

Z会の学習サポートセンターで、日夜会員のみなさんからの質問相談に応じている。

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