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「片づけなさい」はもう言わない~頭の整理で片づけ力UP!(1)

もうすぐ年度替わり。学校から持ち帰る物、進級や卒業の記念にいただく物などなど、家の中に物が溢れやすい季節です。こんなときに気になってくるのが、お子さまの「片づけ力」ではないでしょうか。「いくら言っても出しっぱなし。このままで大丈夫?」「どうしたら片づけられる子になるの?」そんなお悩みが、編集部に多く届いています。そこで今回は、「片づけ脳力トレーナー」の長代沙智子さんに、お子さまの片づけスキルを伸ばす方法をうかがいました。

(取材・文 松田 慶子)

目次

  • 片づけを通して自分の価値観で取捨選択する経験を
  • 学期や年度替わりの節目は片づけ方を見直すチャンス
  • お子さまと相談! 新年度に向けて机まわりの片づけを

片づけを通して自分の価値観で取捨選択する経験を

「やりなさい」でははぐくめない、主体的に片づける姿勢

――「大人が言わないと片づけない」「言ってもなかなか手を動かさないから、私が待ちきれずに片づけてしまう」「やり方が雑で片づけになっていない」など、片づけに関するお悩みが、保護者の方から多く寄せられています。どうしたらうまく片づけを教えられるでしょうか。

まずは何のためにお子さんに「片づけなさい」と言うのか、親御さんご自身が目的を考え直してみることが大切だと思いますよ。

――どういうことでしょうか。

「片づけなさい」とお子さんに言う目的が、目の前に物が散乱していない状態をつくるだけのことならば、親御さんが手を動かしたほうが手っ取り早いですね。またお子さんに“片づける”という作業をさせたいなら、そのつど「片づけなさい」と言えばいいわけです。
でも、お子さんの主体的に片づける力をはぐくむことが目的ならば、片づけるとどんないいことがあるのかを教え、その子自身が片づけやすい状況をつくってあげることが大切になります。

――なるほど。

そもそも、片づいている状態とはどういう状態なのか、お子さんがわかっていないケースも多くあるんですよ。大人に「片づけなさい」と言われても、それがゴミを捨てることなのか、箱に入れることなのか、一カ所にまとめることなのかわからない。だから、手を動かすことができないのです。
したがって、お子さんの片づける力を伸ばしたいなら、まずは「片づけ」とは何かを、きちんと伝えることが先決だと思います。

片づけを通して育てる、情報処理力や判断力・決断力

――では改めて、「片づける」とは、どういうことなのでしょうか。

必要なものをすぐ取り出せてすぐに戻せる状態にすることです。そのとき大事なのが、使う人にとって取り出しやすく収めやすい状態だということです。

――子ども部屋なら、子どもが使いやすい状態ということ?

はい。それには、お子さん自身の意思を反映することが重要です。
後ほど詳しく説明しますが、上手に片づけるには4段階を順に行うことが有効です。

準備運動 どんな部屋にしたいのか考える
ステップ1 いる物、いらない物など分類する
ステップ2 出し入れしやすく配置する
ステップ3 実際に使いながら見直す

この順番を守らないと、途中で破綻し、かえって散らかりやすくなってしまいます。そして4段階すべてでその部屋を使う人の価値観や理想を反映することで、片づけようというモチベーションが高まり、その人なりの片づけ方ができるようになるのです。お子さんに教えるときも、この順番にするといいですね。

――先ほどおっしゃった、片づけることのメリットを教え、片づけやすい状況をつくるわけですね。やる気を起こさせ、挑戦しやすい環境を整えるというのは、学習の習慣づけと似ていますね。

そうですね。実際に片づけを教えることは、自分にとって何が大切か、何を優先すべきか取捨選択する経験を子どもに積ませること。これは自己管理力や決断力、判断力、情報処理力など、大人になってからも役立つスキルをはぐくむことに通じます。

大切なのは準備運動 失敗体験をさせることも大事

――では、具体的にご説明をお願いします。まず準備運動とは。

子ども部屋を例にとって説明しますね。まず「どんな部屋にするか」を考えさせることです。たとえば「お友だちが来たらすぐにゲームができるようにしたい」「好きな本をすぐに読める部屋にしたい」など。頭が整理され、片づけに向かう気持ちが整います。
これをせずに、いきなりステップ1や2から手をつけると、片づけの目的も方向性も決まっていないので、途中でいやになったり、いったん片づいてもリバウンドしやすくなったりします。

――どんな部屋にしたいのか、子どもからどう引き出せばいいでしょうか。

本当は、部屋が散らかっていると困ったり損したりすると、お子さんに実感させるといいですね。たとえばせっかくお友だちが来たのに、物が散乱していて目的のゲームソフトが見つからなかったとか、お友だちから借りたおもちゃをなくしてしまったとか。
親御さんとしてはなくさないように先回りして注意したくなるものですが、ちょっと我慢して、失敗したとお子さん自身が気づくまで待ってください。そして「お部屋をどうしたい?」「どんな部屋だったらいいかな」と尋ねます。
失敗体験がない場合は、親御さんが「このままのお部屋だと私が困るし、あなたも物を探しにくいんじゃないかな」「床に物を置きっぱなしにすると、踏んで壊してしまうかもしれないよ」など話し合ってもいいと思います。
その上で、「引き出しに入れたらなくさずに済むよ」「箱に入れたらすぐに取り出せるね」などと整理の仕方を提案し、「片づけてみようかな」という気にさせるわけです。

――低学年でもできますか?

できますよ。低学年なら「おもちゃを床に置いておくと、うっかり踏んじゃっておもちゃがかわいそうだね」などでもいいかもしれません。学年にあった声かけをするといいでしょう。
片づけは、大人になったら自然にできるようになるというものではありません。片づいていると気持ちいいと、早く実感させてあげるためにも、小さいうちから教えたほうがいいですね。

⇒次ページに続く 学期や年度替わりの節目は片づけ方を見直すチャンス

プロフィール

長代 沙智子(ながよ・さちこ)

一般社団法人日本ライフオーガナイザー協会認定のライフオーガナイザー、片づけ脳力トレーナー。東京在住。高校生から幼稚園生までの2男2女の子育て中。自身、本来は片づけが苦手で、母親に任せっぱなしの子ども時代を送る。結婚後、家庭内に物があふれる状況に戸惑うなかで、アメリカで生まれた物や時間、情報の整理術である「ライフオーガナイズ」の考え方に出合い、片づけの仕方と意味を知る。現在は東京を中心に、子どもたちに「片づけは楽しい」と知らせる活動を展開中。

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