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夏休みにこそ挑戦したい「自己マネジメント体験」のすすめ(1)

自分で学習の計画を立て、実行する強い意志をもった子どもになってほしい……というのは、親であれば誰もが願うもの。そうなるためには、成長の過程でどんな経験が必要なのでしょうか? 「自分で計画を立て、それを振り返る体験を繰り返すと、子どものやる気や積極性が格段に上がり、学力も向上する」と話すのは、早稲田大学・田中博之先生です。田中先生に、家庭学習の習慣をつけるために見直すべきことや、保護者ができるサポート、夏休みをきっかけにできることなどについてうかがいました。

(取材・文 浅田夕香)

目次

家庭学習の習慣がつきづらいのはなぜ?

――小学生のお子さまをお持ちの保護者の方から、「宿題以外の家庭学習の習慣がなかなかつかなくて困る」という声を聞きます。原因はどんなところにあるのでしょうか?

「いかにして家庭学習の習慣をつけるか」というのはいわば永遠の課題ですよね。言うまでもないことですが、1つはスマホやゲームなど、誘惑や刺激が多いこと。2つ目は子どもが忙しすぎることに原因があるのではと思っています。子どもが忙し過ぎて、主体的に考える時間がないということ。たとえば、放課後の塾や習いごとも、大人が決めた目標や内容にしたがってこなし、すべてが他律的で自主的でない学習になってしまっていないでしょうか。そうやって管理されて、他律であることに慣れてしまうと、当然ながら家庭学習の習慣も身につきません。

家庭学習の習慣をつけるために必要な環境とは

――これらの要因がある中で、家庭学習の習慣をつけるためには、保護者は子どもの生活環境に注意する必要がありそうですね。

そうですね。まず前提として、生活習慣を規則正しく整えることが必要です。低学年は9時間、中・高学年は8時間を目安に、早寝・早起きをして十分な睡眠時間をとることです。

そして、スマホやゲーム機を買い与えるときには、ルールを決めること。たとえば、「就寝時刻と起床時刻を守る」「自室には持ち込まない」「充電器も自室には置かずにリビングに置く」「ゲームは1日30分未満」など。そして、ルールを守らなければ解約・廃棄すると約束させる。これくらいの強い姿勢で臨まなければ、子どもたちの生活習慣はすぐに乱れてしまいます。

そのうえで、週に3日くらいは、塾にも習いごとにも行かず、主体的・計画的に時間を決めて何かに取り組む時間をもってほしいなと思います。そうすることで、自分で計画を立てて実践し、修正する力、すなわち、「自己マネジメント力」が培われていきますから。

その点で、Z会のような通信添削の教材に取り組むのはよいと思いますね。自分でスケジュールや取り組む分量を決めてコツコツと取り組まなければなりませんから、主体性や忍耐力もはぐくまれます。

⇒次ページに続く 家庭学習の習慣をつけるためにおすすめの「スケジュールノート」づくり

プロフィール

田中博之(たなか・ひろゆき)

早稲田大学教職大学院教授。専門は、教育工学および教育方法学。大阪大学人間科学部助手、大阪教育大学専任講師、助教授、教授を経て、2009年4月より現職。フィンランド・メソッドの教育応用研究、アクティブ・ラーニングの授業開発、学級力向上プロジェクトの研究、学力調査の開発研究など、これからの学校に求められる新しい教育手法の研究に従事。『小・中学校の家庭学習アイデアブック』(明治図書出版)、『小学生のための生活習慣力アップノート』(日本能率協会マネジメントセンター)など、著書・編書・監修書多数。

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