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先送り・先延ばしから卒業する!(2)

先送り回避の鉄則は、「思い立ったが吉日」

――例えば撮りためた写真の整理や学校への提出物の準備など、大人でもやるべきことをためてしまうことは多いもの。先送りしないためには、どうすればいいでしょうか。

とりあえず、手をつけてみることですよ。

人間だけではなく多くの生物には、「時間的にも空間的にもゴールに近づけば近づくほど積極的になれる」という特性が備わっています。苦手なことでも、やり進めるにつれてだんだん楽しくなるわけです。だから思い立ったが吉日で、まずは何か始めてみる。すると、何もしなかったときよりも確実にゴールに近づくので、エンジンがかかります。

――たとえば「学校に提出する雑巾を縫わなくてはいけない」なら、材料をそろえてみるとか?

そうです。手をつける前は、ただ漠然と「イヤだな」と思っているだけですが、実際に飛び込んでみると、意外と高い壁でなかったと気づくことはよくあります。また自分がどう取り組めばいいか、どうすると進めやすいか、合理的な方法が具体的にわかってくる。そうして進めるにつれ、ゴールに近づいているという感覚がだんだん強くなり作業が楽しくなります。結果として、やったことの質もよくなる。だから重要なこと、失敗したくないことこそ、あまり構えずにすぐに始めるべきだといえますね。

スケジュールは余裕をもって。振り返りが失敗の繰り返し予防に

――やらなくてはいけないことがいっぱいあって、必ずしもすぐに取り掛かれない場合はどうしたらいいでしょうか。

まず、やるべきことを書き出した「to doリスト」をつくり、いつやるかスケジュールを立てるといいでしょう。簡単にできそうなことから始められるように予定を組むといいですね。「これができたから、今度はこれ」と、次の目標に向かいやすくなりますから。

――受験勉強や資格取得の勉強のように、結果がわかるまで時間がかかり、なかなか「ゴールに近づいている」と実感を得にくいものはどうしたらいいでしょうか。

いつまでに何をするか、段階的にいくつかの中間目標を立てるといいですね。今週はこの章を読む、今月末までにこの本を読み終える、と。中間目標を達成するたびに最終ゴールに近づいていると実感できるので、モチベーションを維持しやすくなるでしょう。

 

まずは取り組むことが大切なので、やはり最初のうちは簡単に達成できそうな目標を設定することがコツです。

――スケジュールを立てたら、できるだけそれを守ったほうがいいのでしょうか。

始めてみるまでは作業時間が読めないことが多いので、途中でスケジュールを見直してもかまいません。

ただ、覚えておきたいのが、私たちは自我防衛機制のせいで自分の力を過大評価し、作業時間を短く見積もる傾向があるということ。実際に作業してみて、「思ったよりも時間がかかるな」とわかったときにスケジュールを立て直せるよう、あらかじめ日程的にも余裕をもつことをおすすめします

あわせて、結果を振り返ることもとても大切です。

――振り返りはなぜ大切なのでしょうか。

先ほど述べたように、私たちは自分を過大評価しやすいので、「うまくいった」ということだけを記憶して、失敗したとしても、それが記憶に残らなかったり、うまくいったように記憶が改ざんされたりすることで、同じ失敗を繰り返してしまいがちだからです。記憶の改ざんを防ぐためにも、この作業にどのくらいの時間がかかったのか、余裕があったのかなかったのか、紙などに物理的に記録しておきましょう。スケジュール帳にメモするだけでもいいです。

「メタ認知」といって自分を客観的に見ることができると、もっと精度の高いスケジュール表をつくることができるようになるし、できたことを正しく評価でき、正当な自信をもてる。ひいては新しいことにも前向きに取り組めるようになるのです。

 

⇒次ページに続く 子どもの先延ばしにどう対処する?

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