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子どもの可能性が広がる「段取り力」の育て方(3)

保護者による途中の軌道修正は不要

――練習するにあたっては、数時間の段取り、半日の段取り、1日の段取り、1週間先のことの段取り…などと、少しずつステップアップしていくのがいいのでしょうか?

ステップを踏むべきかどうかなどは、お子さんやご家庭の状況によって異なります。
お子さんが「やりたい」「おもしろい」と思ったことなら、どれだけ難しそうでもやってみてほしいと思います。保護者の方は大変ですが、本人ができそうなところだけやってみるなどして、できるだけお子さんの気持ちを大切にしてくださいね。

――保護者としては、なんとかうまくいくようにうながしたいという思いを持ったり、明らかに失敗しそうなことがわかれば軌道修正したいと思ってしまったりしそうですが、それらもしないほうがいいのでしょうか?

そこは見守ってほしいですね。失敗しても大丈夫です。たとえうまくいかなかったとしても、長い目で見るとたいしたことではないですから。保護者が軌道修正するよりも、子どもが自分で反省したり気づいたりすることの方が、子どもの生きる力になります。

ただ、保護者の方の気持ちはすごくよくわかります。ではどうすればいいかというと、子どもが段取りをすべて考えたあとに、保護者の方の意見を伝えてみてはどうでしょうか。「これだとほかのことをする時間がなくなっちゃうんじゃないかな?」「遊ぶ時間がちょっと長すぎないかな?」など……。

そうして保護者の意見を聞いて子どもがもう一度考えた結果、「段取りを変えずに進める」と決めたなら、尊重してあげてください。結果、失敗したとしても、小さな「できたこと」があるはずなので、まずはそれを認める声かけをする。そのうえで、「どうしてこうなったと思う?」「次はどうすればいいと思う?」などと考えるようにうながす。これを繰り返すことが、子どもの成長につながっていくのです。

――手順を決めて時間内に終わらせることはできるけれど、時間内に終わらせることが最優先になってしまい、一つひとつの「やるべきこと」の質が低いというか、おざなりになってしまう子の場合はどのようにサポートしていけばよいでしょうか?

時間内にやり遂げようとしたことや、こなせたことは素晴らしいことだと思います。まずは、そこをほめましょう。そのうえで、「一つひとつを丁寧にすると、もっといいね」とアドバイスするのはどうでしょうか。場合によっては、一度時間を意識することをやめて、一つひとつ丁寧にすることを重視する時期があってもいいと思います。これもトライアンドエラーで、社会人になるまでにできるようになればいいことなので、長い目で見てあげてくださいね。

――ありがとうございました。

プロフィール

高取しづか(たかとり・しづか)

ことばキャンプ教室主宰。NPO法人JAMネットワーク代表。「ことばキャンプ」の基本理念を考案し、全国のことばキャンプ教室普及につとめる。「子どもを自立に導く親子コミュニケーション」をテーマに、書籍の出版や新聞・雑誌コラムを執筆する。全国で1万人以上に講演・講座をおこなっている。
また、児童養護施設、里親家庭等で社会的養護の子どもたちへの社会貢献活動を行っている。神奈川県子ども・子育てアドバイザー、神奈川県青少年問題協議会委員を歴任。
主な著書に『時間のマネジメント』 (合同出版)など。『めちゃカワMAX!! 小学生のステキルール 夢をかなえる 時間の使い方BOOK』(監修、新星出版社)『「ことば力」のある子は必ず伸びる!』(青春出版社)他多数。

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