特集

子どもの可能性が広がる「段取り力」の育て方(2)

子どもの段取り力を伸ばす、保護者のかかわり方

――子どもたちが段取りの練習をするにあたり、保護者はどのようにかかわっていくとよいでしょうか? かかわり方や適切な声かけについてアドバイスをお願いします。

何よりも大事なことは、子ども自身が考え、自分で納得して行動することですから、保護者の方は指図はしないと覚悟を決め、お子さんが自ら考えるようにうながす声かけや会話に徹してください。

あとは、失敗しても構わない、という意識でいること。そして、失敗してもガミガミ言わないことです。繰り返しになりますが、段取りする力をつけることのゴールは、自分の時間を、自分でマネジメントして、自分が納得して使えるようになること。そのためには、子どもたち自身が自分で考え、実践し、体で体得することに意味があります。なので、トライアンドエラーでも、時間がかかってもまったく問題ありません。

もう一つは、楽しくやること。たとえば、時間を計るときには「じゃあ時間計るね、よーい、スタート!」などと楽しく声かけしましょう。ゲーム感覚でやってもいいと思います。

保護者はあくまで伴走者である、という考えで、ぜひお子さんに寄り添ってあげてくださいね。

――声の掛け方について、どんな言葉がおすすめですか? 

たとえば、寝る前にやることをリストアップした際にもれていることがあれば、「これ書いてないじゃない」などと頭ごなしに責めることはせず、「これはどう?」と提案するように話していただきたいですね。主体は、あくまで子どもなのですから。もれがあったとしても、リストアップできたなら、まずは「書けたね」「こんなにたくさん書けたんだ」などと、リストアップできたこと自体をほめてあげましょう。そのうえで、補足することがあったら、「これはどう?」と提案してみてください。

料理やおでかけなどでも段取りを練習できる

――寝る前の準備の段取りを例にお話しいただきましたが、ほかにどんな場面で段取りの練習をするのがオススメですか?

そうですね、3つ例を挙げますね。

1つめは、料理です。料理は、完成をゴールとして、必要な材料や効率的な手順を考えるという、段取り力を鍛えるのにうってつけのものです。

まず、必要な材料と完成までにやるべきことを書き出し、次に、手順を考えて書き出す、ということを一緒にやるといいと思います。もしくは、パンケーキなど簡単なおやつを一緒につくったり、保護者の方の段取りをなぞってもらったりすることで、「手順を決めてつくる」という行為を体感してもらうのも、最初のステップとしていいですね。

2つめは、おでかけのプランニングです。時節柄、遠出は難しいかもしれませんが、行き先を決める→行き方や所要時間、交通費を調べる→行き帰りに立ち寄りたい場所があるかどうか調べる→逆算して出発の時間や当日のタイムスケジュールを決める→持ち物を考える、という手順で1日の段取りを考えるのです。ここまでの規模でなくても、公園に行って帰ってくるまでの段取りを考え、実行するだけでも、十分な練習になるでしょう。

3つめは、だれかの誕生日会など、パーティーのプランニングです。いつ、何をするか、だれを呼ぶか、料理は何を用意していつだれがつくるか、ケーキはどこに頼むか、だれが取りに行くのか、飾りやプレゼントはどうするのか、だれが準備するのか、などを子どもに考えてもらうのです。

どれも、ポイントは楽しみながらやることと、出来の良し悪しを問わないことです。生活のなかに段取りをする場面はたくさんあるので、少しずつトライしてみてください。

⇒次ページに続く 「保護者による途中の軌道修正は不要」

プロフィール

高取しづか(たかとり・しづか)

ことばキャンプ教室主宰。NPO法人JAMネットワーク代表。「ことばキャンプ」の基本理念を考案し、全国のことばキャンプ教室普及につとめる。「子どもを自立に導く親子コミュニケーション」をテーマに、書籍の出版や新聞・雑誌コラムを執筆する。全国で1万人以上に講演・講座をおこなっている。
また、児童養護施設、里親家庭等で社会的養護の子どもたちへの社会貢献活動を行っている。神奈川県子ども・子育てアドバイザー、神奈川県青少年問題協議会委員を歴任。
主な著書に『時間のマネジメント』 (合同出版)など。『めちゃカワMAX!! 小学生のステキルール 夢をかなえる 時間の使い方BOOK』(監修、新星出版社)『「ことば力」のある子は必ず伸びる!』(青春出版社)他多数。

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