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小学生の心は6年間でこう変わる 親として知っておきたい発達心理学(1)

大人びた6年生と幼い我が子を見比べて、「あと数年であんなふうになれるのかな」と心配になる。朗らかだった子がある時期から急に気難しくなって戸惑う――。子どもは小学校の6年間で大きく成長します。どう変化するのか見通しを持っておかないと、受け止め方に迷い、ときに親子関係がこじれてしまうこともあるようです。発達心理の専門家である渡辺弥生先生に、6年間の発達と親が心がけたい姿勢を教えてもらいました。高学年の保護者の皆さまもぜひご一読を。
(取材・文 松田慶子)

目次

時間や自己をとらえる力、横のつながりが増える小学生時代

――小学校の6年間というのは、子どもの発達においてどのような時期なのでしょうか。

小学校の6年間というのは、研究者の目から見ても、大きな変化が起きる興味深い時期です。

子どもは、いつかは独り立ち、自立をしないといけないですよね。それは決して1人で生きるということではなく、他者と協力しながらも自立した個人として生きていくということです。そのためには、自分の気持ちを相手に伝えたり、相手の気持ちを理解したり、感情をマネジメントしたりする力がまず必要です。

そういったいろいろな力を獲得していくのはもちろん幼児期から始まっていて、赤ちゃんのときのように感情のままに泣いたり怒ったりするのではなく、幼児なりに、我慢したり主張したりすることを覚えていきます。さらに小学生になると、学校という集団のなかで、自分をおさえたり、逆に自分らしさを発揮したりといった場面が増えていくわけです。

――自立するための土台を築くうえで、重要な時期ということですね。

小学校から中学校にかけて、特に大きく変化、成長することが3つあります。

第一に、「時間をとらえることができるようになる」という点。過去や未来を考える力がつくということです。幼児は「ママ、明日お出かけしようね」「ママ、昨日お散歩楽しかったね」ぐらいで、スケジュールを気にしませんが、1年生になれば1週間程度は頭に入ってきますよね。中学年・高学年になると、「ここで友だちと喧嘩したら2、3週間気まずいかも」などと未来を予測したり、「2年生のときはこうだったな」と過去を振り返ったりすることもできるようになります。

次に、「横のつながりが増える」という点。クラスのみんなとのかかわりが増えてきますよね。中学年や高学年になると、「この人は好きじゃないな」という好き嫌いも出てくる一方で、友だち関係を広い視野でとらえることができるようになります。さらには、地理や歴史を学ぶなかで、遠い国に暮らす人や歴史上の人物にまで思いを馳せる、想像できるようにもなってきます。

3つめが「メタ認知ができるようになる」という点。客観的に見る力ですね。「自分って、こんなこと言ってるけどその割にはこうだな……」などと、自分をモニターすることができるようになります。

時間というものに対する理解が深まり、横のつながりが増えて、メタ認知が発達してくるとどうなるか。それだけ賢くもなるけれど、実は悩みも深くなるわけです。だからこそ、この時期には人とのつき合い方、つまりソーシャルスキルや感情のマネジメントというものがとても重要になってきます。

近年は小学校の授業でも、アクティブ・ラーニングなどグループでの対話・交流をとおして学んでいく形式が増えていますよね。ということは、他者とかかわるスキルを小学校低学年のうちから身につけることが、そうした学びを積極的に楽しめるかどうかにもかかわってくると考えられます。つまり、学力にも影響する可能性があるということです。

⇒次ページに続く 「対人スキルは「放っておけば勝手に成熟する」ものではなく、大人が教えることも必要」

プロフィール

渡辺 弥生 (わたなべ・やよい)

法政大学文学部心理学科 教授。教育学博士。大阪府生まれ。1983年筑波大学卒業。同大学院博士課程で心理学を専攻した後、筑波大学助手心理学系、静岡大学教育学部助教授、ハーバード大学教育学研究科在外研究員を経て、2001年法政大学文学部心理学科助教授に。2004年より現職。『子どもの「10歳の壁」とは何か−乗り越えるための発達心理学』(光文社)、『親子のためのソーシャルスキル』(サイエンス社)他、著書多数。

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