特集

どう変わった? 小学校の外国語教育(3)

保護者の方のよくあるお悩みQ&A

ここからは、小学生の保護者の方からZ会によく寄せられる、英語学習に関するお悩みに対して、直山さんにご回答いただきました。

Q <文法の誤りを正すべき?>

子どもが話す英語を聞いていると、複数形の‘s’が抜けていたり、冠詞が抜けていたりと、文法の理解が怪しく見えます。都度、声かけをした方がよいのでしょうか?

A 誤っていると教えることは悪いことではありません。
 ただし、言い方に注意。

保護者の方がお子さんの間違いを正すことはまずいことではありません。ただし、言い方には注意が必要で、子どもが否定された気持ちになる言い方は控えたほうがいいですね。たとえば、お子さんが“I like apple.”と言った場合は、頭ごなしに正すのではなく、“Wow, you like apples. I like apples, too.”などと、お子さんが自分で気づくことができるように、さりげなく‘s’が必要だと伝えることをおすすめします。

Q <小学校での英語授業に不安があるのですが…>

小学校の先生には、英語教育の専門家ではない先生もいると思います。正しい発音や文法を教えてもらえるのでしょうか?

A 先生たちは、英語を使おうとする姿勢のモデル。
一緒に力をつけていく存在として見てほしいのです。

今一度、小学校の外国語教育では何を教えるのか?というところに立ち返っていただきたいと思います。

子どもたちの「英語って楽しいな、使ってみたいな」という思いを耕すのが小学校の外国語教育であって、先生は、その大きな味方になる存在です。確かに、発音の流暢さに欠ける先生もいるかもしれません。けれど、どの先生も臆することなく、ALTなどと英語でコミュニケーションをとろうとしています。

その姿を見た子どもたちが「ALTみたいな発音ではないけれど、あんなふうに話せば伝わるんだ」と感じ、英語を使おうとするモデルとして認識することが、子どもたちの背中を押すわけです。こうした先生方の姿勢が子どもたちに与える影響を、保護者の方は温かく見守っていただきたいと思います。発音の面は心配せずとも大丈夫です。子どもたちには、ALTやデジタル教材の音声など、発音のお手本になるものがたっぷりありますから。

Q <学校+αで英語を学ぶことをどう思う?>

学校以外でも英語を学ぶことについて、どのように考えますか?

A お子さんにもっとやってみたいという意欲があるなら、止めることはありません。

機会があるのなら、また、お子さんにやる気があるなら、学ぶこと自体はいいことだと思います。私も、小学4年生から希望して英会話教室に通い、英語でやり取りをする楽しさを知りましたし、発音が磨かれたことで、中学の英語の授業で音読をほめられ、すごくうれしかった経験があります。本人に意欲があるならそれは喜ばしいことなので、止めることはないと思いますよ。

ただし、私たちとしては、公教育の中で十分な英語教育を受けられるように学習指導要領をつくっていますし、先生方も責任を持って指導するので、そこは安心していただきたいと思います。

――最後に、主に小学生のお子さまをお持ちの保護者の方々に向けてメッセージをお願いします。

小学生の子どもたちは、この先長く続く外国語習得の助走期間にいます。将来、お子さまが遠くへ飛び立つには、子どもたち自身の意欲を耕すことがいちばん大切です。保護者が無理強いをしたり、成果を焦ったりすることなく、「英語が使えると楽しいね!」と、できるようになった喜びをお子さまと一緒に味わっていただきたいですね。そうした保護者の方の支えがあってこそ、お子さまの英語力はどんどん伸びてゆくことでしょう。

 

――今回は大変参考になるお話を聞かせてくださり、ありがとうございました。

プロフィール

直山木綿子(なおやま・ゆうこ)

文部科学省 初等中等教育局 視学官
国立教育政策研究所 教育課程研究センター 研究開発部 教育課程調査官・学力調査官

英語科教諭として京都市の中学校に勤務後、1998年度より京都市立永松記念教育センター(現京都市総合教育センター)に勤務。京都市における小学校英語指導計画、教材を作成、小学校外国語活動のカリキュラムを開発。2009年4月より文部科学省へ。小学校の外国語教育用教材『Hi, friends!』『We Can!』『Let’s Try!』の開発・活用や、全国各地での研修や講演など、日本の英語教育の充実と推進に日々邁進する。

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