特集

小学生のプレゼンテーション術 〜“発表”の苦手意識をなくすには(1)

自由研究や調べ学習などの学習の成果や、自分の考えをみんなの前で発表する、いわゆるプレゼンテーションの機会は、小学校生活において多々あります。子どもが自信をもって、自分らしく発表できるようになるには、どんな練習や工夫をするとよいのでしょうか? コロナ休校中の2020年3月に、人に伝える力を育むプログラム「子どもが教える学校」を立ち上げ、10代のためのプレゼンテーション講座などを提供している鈴木深雪さんにうかがいました。
(取材・文 浅田夕香)

目次

プレゼンテーションは「相手にわかりやすく説明し、“行動”してもらうための技術」

――鈴木さんは、企業の商品企画・営業部門で何百社にも提案をされていたとうかがいました。そして今は、子ども向けのプレゼンテーション講座などを主宰なさっています。そもそもプレゼンテーションとは、どういうものだとお考えですか?

わたしはプレゼンテーションを「相手にわかりやすく説明し、“行動”してもらうための技術」と定義しています。

たとえば、何かを「やりたい!」となったとき、1人でできることには限界があり、一緒にやる仲間や環境があるからこそできることがあります。大人になっていけばいくほど、多様な考え方や背景を持つ、さまざまな人と協力していく場面が増え、自分の思いや考えを相手に伝えていくことがコミュニケーションとして必須になってきます。そしてわたしがとくに大事にしているのは、伝えた内容を理解してもらったうえで、相手に“行動”してもらうことです。たとえば、クラブ紹介であれば新入生に入部してもらう、入学試験の面接であれば志望校から合格をもらう、といった具合です。

 

 

また、子どもたちを取り巻く環境や時代の変化を鑑みると、これからの子どもたちは、誰かが考えた答えに従うのではなく、自分なりの答えを見つけてそれを周囲に発信していくことが今の大人以上に必要な時代を生きていくことになります。

子どもの好きなものややりたいことといえば、「野球かサッカーか」「ピアノかエレクトーンか」などと選択肢が限られていた時代から、「わたしはプログラミング」「わたしはYouTuber」といったように、これまで以上に人の数だけ答えがある多様な時代に変わってきています。

だからこそ「わたしはこれが大事なんだ」とか「これを一緒にやらないか」などと自分から自分の思いや考えを「この指止まれ」と発信して仲間を募ったり、プロジェクトを立ち上げたりしながら、時代を切り拓いていく必要がある。そのときに重要な役割を果たすのがプレゼンテーションではないかと感じています。

――となったときに、プレゼンテーションに必要なものはなんでしょうか?「論理立てて話す」「わかりやすい資料を作る」など、技術面に目を向けがちですが、相手に行動してもらうには何を意識するとよいでしょうか?

相手に伝わり、行動してもらえるプレゼンテーションは、3つの要素のかけ算でできていると子どもたちに伝えています。それは、優先順位の高い方から「1:伝えたい気持ち」「2:相手への想像力」「3:伝わる方法」の3つです。

 

 

1つめの「伝えたい気持ち」とは、文字どおり「わたしのこの気持ちを伝えたい」「わたしはこれを相手に提案したい」といった、自分自身の思い。伝える側のこの思いがしっかりあるからこそ、相手の心が動き、行動につながるプレゼンテーションになるわけです。

2つめの「相手への想像力」は、自分が伝えたいことについて、聞き手がどんな知識や考えを持っているのか、聞き手にとってのメリットとはなんだろう、といったことを想像する力。相手を想像しながら、伝えるべきことを考えて、プレゼンテーションを組み立てていきます。

そして最後の要素が、相手をひきつける話法や、話し方の順番、資料の作り方などの「伝わる方法」、いわゆるプレゼンテーションのテクニックです。

この3つの要素はかけ算なんです。3つ目の伝わる方法に、わたしたちはつい着目してしまいがちです。もちろん実践できればすごく威力がありますが、伝えたい気持ちもなく、聞き手を慮(おもんぱか)ることもないのなら、どれだけテクニックを重ねても、ゼロに100や1000をかけるのと同じでゼロのままです。
大事なのは「伝えたい気持ち」と「相手への想像力」です。とくに小学生のうちは、わかりやすいプレゼンテーションのテクニックに走るのではなく、自分だけの伝えたい気持ちを掘り下げたり、相手にあわせてどんなふうに伝えるべきかを想像したり、こういった部分に力を注ぐことがとっても大切になります。

⇒次ページに続く “発表”の苦手意識をなくすには

プロフィール

鈴木 深雪(すずき・みゆき)

子どもが教える学校 主宰。2001年大日本印刷(株)に入社。商品企画として多様な業界数百社へのプレゼンを経験、教育事業にも従事。2016年独立、経営者の思考整理・プレゼン資料代行事業を立上げ。2020年、コロナ休校中の子ども達が自分の好きをプレゼンする「子どもが教える学校」をスタート。発表嫌いの克服プログラムは公立小でも採用、1年たらずで130人参加。NHK・めざましどようび・東京新聞に取り上げられる。プライベートは小3男子の母。

関連リンク

おすすめ記事

子どもの長所の見つけ方、伸ばし方(1)子どもの長所の見つけ方、伸ばし方(1)

特集

子どもの長所の見つけ方、伸ばし方(1)

夏休みに体感! 身のまわりにある算数のおもしろさ(1)夏休みに体感! 身のまわりにある算数のおもしろさ(1)

特集

夏休みに体感! 身のまわりにある算数のおもしろさ(1)

子どものストレス 〜「心の筋肉」を鍛えて上手につきあうには(1)子どものストレス 〜「心の筋肉」を鍛えて上手につきあうには(1)

特集

子どものストレス 〜「心の筋肉」を鍛えて上手につきあうには(1)

  • Z-SQUARE ホーム
  • 特集
  • 小学生のプレゼンテーション術 〜“発表”の苦手意識をなくすには(1)

Back to TOP

Back to
TOP