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「SDGs」を自分ごととして考える~一人ひとりが未来のためにできること~(1)

2030年までに達成すべき全世界共通の目標として国連で採択された「SDGs(持続可能な開発目標)」。2030年までのあと10年弱の間に、資源の消費ペースや気候・環境への影響を抑え、誰一人取り残さない持続可能な社会へと変革できるかが、人類と地球の未来を左右すると考えられています。SDGsの達成に向けて、私たち一人ひとりができることは何でしょうか?日本総合研究所でSDGsに関連する調査・研究、企業・自治体向けの取り組み支援などを行われている村上芽さんにお話をうかがいました。
(取材・文 浅田夕香)

目次

SDGsは、途上国だけの目標ではない

――SDGs(Sustainable Development Goals:持続可能な開発目標)について理解する上で、まず押さえておきたいポイントを教えてください。

1つは、貧しい途上国だけの話ではなく、日本に暮らす私たちにも大いに関係があるということです。SDGsは、2015年までに達成すべき目標を掲げたMDGs(Millennium Development Goals:ミレニアム開発目標)の後継となるものですが、MDGsが対象を途上国に限定していたのと異なり、SDGsはすべての国連加盟国を対象としています。SDGsには、貧困・飢餓・保健・教育・エネルギー・環境など幅広い分野の17の目標と169のターゲット(目標を達成するためのより具体的な目標)が設定されていますが、どの目標も世界中のみんなに関係のあるものだということは、大前提として理解していてほしいところです。

もう1つは、知識として覚えればそれでいい、というものではないということです。近年、入試でSDGsが取り上げられることが増えているためか、子どもも大人も、知識として採択年や17の目標を覚えようとしますが、より大事なのは、目標やターゲットの詳細について知る過程で「この目標とあの目標はつながっているんだ」「日本では当たり前だと思っていたけれど、世界全体で見ると当たり前ではないんだ」「世界の人も日本と同じことを悩んでいるんだ」などと気づいたり、考えたりして理解を深め、実際に行動を起こしていくことです。

――達成期限の2030年に向けて、現在の進捗状況はどうでしょうか?

世界全体で見ると、新型コロナウイルス感染症の流行によって進捗がだいぶ後退してしまいました。とくに、教育(目標4:質の高い教育をみんなに)、貧困(目標1:貧困をなくそう)、栄養(目標2:飢餓をゼロに)の分野などでの後退が目立ちます。たとえば、コロナ禍で学校が閉鎖されたことで、学校が再開しても登校できない・しない子どもが多数出ていること、それがとくに女児に多いことなどが途上国で大きな問題になっています。また、児童労働も増加しています。

一方、進捗が期待できるものもあります。たとえば、目標10(人や国の不平等をなくそう)の中に設定されている、外国に出稼ぎに出ている人が本国に送金する際の送金コストを3%未満にするという目標などは、FinTechの進展により、目標を超過して達成できるかもしれません。SDGsが作られてからのITの進展がプラスに働く部分です。

日本国内では、目標5(ジェンダー平等を実現しよう)の進捗が芳しくありません。SDGsの達成度を国際的に比較した報告などを見ると、日本は上位の国と比べ、目標5が突出して悪い状況です。逆に健闘しているのは、目標6(安全な水とトイレを世界中に)や目標9(産業と技術革新の基盤をつくろう)です。

⇒次ページに続く 消費者・生活者として私たちができること

プロフィール

村上 芽(むらかみ・めぐむ)

株式会社日本総合研究所 創発戦略センター シニアスペシャリスト。京都大学法学部卒業後、日本興業銀行(現みずほ銀行)を経て、2003年、株式会社日本総合研究所入社。専門分野はESG(環境、社会、ガバナンス)投資の支援やSDGs、子どもの参加論。主な著書に『図解SDGs入門』『少子化する世界』、共著に『日経文庫 SDGs入門』(いずれも日本経済新聞出版)がある。

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