特集

コロナでどう変わった? 小学生の生活と学び(後編)(1)

前回4月号に引き続き、コロナ禍による小学生の生活・学習への影響について、Z会をご受講中の保護者さまにご回答いただいたアンケート結果を見ながら、発達心理学の研究者である酒井厚先生(東京都立大学)とともに考えていきます。
この2年間、直接的なコミュニケーションの機会が減少し、「ほかのご家庭の様子がわからない」「気がかりなことがあるが改めて話す場がない」とお感じの方も多いのではないでしょうか。この特集を、今後の生活へのヒントとしていただければ幸いです。

本記事の「前編」もあわせてご覧ください。

記事中のアンケートデータ・ご紹介する保護者の方の声はすべて、下記の調査によるものです。

Z会小学生向けコース会員保護者アンケート
「コロナ禍における小学生の生活と学び」より
(実施期間:2021年12月23日〜2022年1月6日/回答者数:1,589人)

※グラフ内の数字は四捨五入しているため、内訳の合計が100%にならない場合があります。

目次

 

◆コロナ禍で進んだ、デジタル機器を使った学び

Q.コロナ禍以降、お子さまは、次のような学習を経験されましたか。

Q.家庭学習(宿題・Z会を含む)でデジタル機器を使うことについて、保護者さまのお考えをお聞かせください。

<フリーアンサーより>

  • 苦手な計算をゲーム感覚で楽しんで学べる点がいい。(1年生)
  • 疑問に思ったことをすぐに解決できる。 ゲーム感覚で学習を進められるので、学習をするきっかけを作りやすい。(2年生)
  • タブレットを開くほうが、教科書とノートを開くより心理的にハードルが低い様子。また授業動画が始まるとおのずと先生の話を聴き始める。(3年生)
  • 機器を使うこと自体に、ゲーム操作のような直感的なおもしろさがあるようで、進んで学習にとりかかっている。(3年生)
  • 文章を書くことに苦手意識があるが、PCでのレポート作成だとわりと嫌がらずに取り組んでいる。(3年生)
  • タブレット学習は、紙の教材に比べて学習へのハードルが低いので、取り組みやすい。 苦手な単元でもタブレットなら嫌がらず勉強している。(4年生)
  • コロナ禍に突入したばかりでまだ学校のデジタル対応ができていない頃、紙学習の山で子どもが勉強を嫌がるようになった。それに比べると、絵や動画が入るデジタル機器は、取り組みが比較的楽しいようで、安心している。(4年生)
  • 「少しだけ興味がある」という程度のものにも、ハードルが下がって取り組めるようになった。(4年生)
  • 苦手分野に取り組むのにもハードルが低いように感じる(そこから伸びていく可能性を感じる)。(6年生)

――「GIGAスクール構想」の前倒し実施によって学校の環境整備が一気に進んだこともあり、小学生の家庭学習においても、デジタル機器を使うという場面が一気に増えているようです。
今回のアンケートでは、デジタル機器を使うメリットとして、「学習のハードルが下がった」「疑問点があっても自己解決できるようになった」という声も多く挙がりました。

デジタル機器を使った学習について中学生対象に行った調査では、おもしろさ・満足度などの点で、学習意欲につながっているという結果が出ています。それが学習習慣につながっていけば、学力にも影響してくる可能性はあるでしょう。子どもにとっては学習の選択肢が広がったわけで、ポジティブに捉えるべきことではないでしょうか。

Q.お子さまがデジタル機器を使うことで、次のような変化がありましたか

<フリーアンサーより>

  • デジタル機器の取り扱いにものすごく慣れた。検索なども(まだタイピングは遅いのでおもに音声検索をしているが)検索キーワードの組み合わせ方など、探し方がうまいなと感じる。何でもフットワーク軽く、すぐ「調べてみる!」と言うようになった。(3年生)
  • レポートを作ったり、工程表を作ったりと、いろいろな面でデジタルを使うようになった。手で書くより打ったほうがはやいと言うようになり、デジタルに慣れた感じがする。(5年生)
  • PowerPointでの資料作成が上手になった。昔はクラス発表の際には画用紙に手書きで資料を作ったけど、内容よりも資料の作成に時間がとられていた。資料はパワポで短時間で作成し、発表の練習に時間が割けるようになった。(5年生)
  • タイピングや動画編集など、デジタル機器について自主的に積極的に楽しく学習している。(5年生)

<フリーアンサーより>

  • 自ら興味をもったことを検索して調べるようになり、習っていない難しい漢字でも読めるものが増えた。(2年生)
  • 自ら調べる力がついた。自主的にニュースを読み、その内容を家族や友だちと話す機会が増えたと言っていた。その結果、学校でのグループディスカッションで問題提起したり、学習したことをさまざまな項目と紐付けして頭に入れられるようになったりしたとのこと。(4年生)
  • 気になったことや興味あることを自分でサッと調べるようになった。(5年生)
  • 調べものをしたついでに、また違う調べもの……のように好奇心が広がりやすくなった。自分の調べたいことが自分でわかるようになった。(5年生)
  • 新しく学んだことをネット検索でさらに深く学習することが、以前より増えた。学年で学ぶ内容を超えた内容も、自ら学習するようになった。(5年生)
  • 図書館に行かなくても、自分が興味のあることがらについてインターネットを利用して深く広く学習できるようになった。(6年生)

――9割以上の方が「お子さんがデジタル機器の扱いに慣れた」と回答されています。子どもたちの吸収力の高さを感じますね。

習得のスピードは、むしろ大人よりも速いくらいかもしれませんね。
みなさんが挙げられているとおり、紙媒体ではできなかったことがデジタル機器を使うことで簡単にできるようになるという面は多々あります。
紙での学習が必要なくなるとか、すぐにデジタル教材が紙教材にすべて取って代わるというわけではないと思いますので、それぞれのよいところがあることを認めて、目的に応じて使い分けていくという考え方が必要だろうと思います。

⇒次ページに続く ◆デジタル機器とうまくつきあうには何が必要?

プロフィール

酒井厚(さかい・あつし)

東京都立大学人文社会学部教授。早稲田大学人間科学部を卒業後、同大にて博士号取得。国立精神・神経センター精神保健研究所、山梨大学を経て現職。専門は発達心理学、発達精神病理学。主な研究テーマは、子どもが他者に抱く信頼感と仲間関係の発達プロセス。日本パーソナリティ心理学会賞、日本子ども学会優秀発表賞など受賞。

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