特集
おうちで季節の行事を楽しもう ~2021年も笑顔で過ごす(2)
2020.12.24
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おせち料理、恵方巻、福茶……。“いつもと違う!”を感じるひと手間を
――家庭で行事をするには、保護者の方がある程度の時間と手間をかける必要がありますね。
お母さんもお父さんもお忙しいので、無理はしないでいただきたいのですが、行事の機能の1つであるメリハリ、特別感を生み出すには、ひと手間かけたほうがいいのは確かです。いつも使わないお皿を出すだけでもいいので、親子でやってみてください。
むしろメリハリをつけるために、行事の前後は家事を手抜きしてしまう、というのもいい方法だと思いますよ。
――なるほど!
では具体的に、小学生のお子さんが気軽にできるような、行事の参加の仕方をお教えください。たとえばもうすぐお正月です。
小学生でも気軽に行事に参加できること
お正月
●おせち料理の準備をしてみましょう
お料理をお重に詰める、お皿に盛りつける
南天のような赤や松のような緑の濃い色をどこかにいれるとお正月らしさが増す。
●飾りつけをしてみましょう
箸置きや箸袋作りに挑戦
「お正月って何色かな?」と聞いてみて、お子さまが思い浮かべた色で鶴を折って箸置きにする。
家族全員分の箸袋を作ってみるのもいいですね。
箸置き、箸袋、ともに100円ショップの折り紙で作成。
箸袋は水引の代わりに、赤い刺繍糸を束ねたものに南天の葉を挿しました。
柚子を使って器を作る
柚子を半分に割って、お子さんに中をくりぬいてもらう。
黒豆を詰めると、色が引き立て合って華やかになります。
節分
●鬼の面を作る
●恵方巻を一緒に作ったりお皿に並べたりする
●福茶を作る
塩昆布・梅干し・豆まき用の大豆などをお湯に入れる。健康を願って飲む習わしがあります。
ご近所花見、衣替え。身近なことが楽しくなる!
――桃の節句では、先ほどうかがったように、男の子も参加していいのですね。
そうです。ひな壇飾りやちらし寿司作りなど、活躍の場は多いと思います。
春になったらお花見もいいですね。といっても桜の名所に出かけるのではなく、ご近所を散歩する。ゆっくり歩いてみると、思いがけずたくさんの植物を見つけることができると思います。雑草の本を持って、どんな植物があるのか探すのも楽しいものです。
花が咲いていたら、少し持って帰って生けてみてください。春の草のかわいらしさにびっくりすると思いますよ。つくしがたくさん見つかったら、少し摘み取って食卓の一品に加えてもいいですね。
――いい時間になりそうですね。
ところで高学年のお子さんには、どんな行事の参加の仕方が向いているでしょうか。
おうち行事を記録した手書きノートを作ってもらうというのはどうでしょう。大掃除はどこを誰が担当するとか、おせち料理でおいしかったものは何かなど記録してもらう。家庭での行事の様子を写真に撮ってSNSにアップする方も多いと思いますが、お子さんが主体になってノートを作ることで、お子さんの記憶に残りやすく、振り返ることもできて楽しめるのではないでしょうか。
おうち行事ノートを作ってみましょう
ここでは、お正月に関連したテーマをご紹介します。
テーマに沿って、調べたこと、やってみたことを記録してみましょう。
できたら、写真やイラストを入れてもいいですね。
◆行事に関して、子どもが由来などを調べるのに適したテーマ
・大掃除ってなんでするの?
・どうしてお年玉、もらえるの?
・お雑煮には何が入っているのかな?
◆親子で会話するのに適したテーマ
・大掃除はどこを掃除したらよい?
・おせち料理で食べたいもの
・チャレンジしてみたいお料理
・何がおいしかった?
・お年玉でどんなことをしたいか
・パパとママが子どものころはどんなお正月をしていた?
◆子どもの気持ちを記録する
・楽しかったこと・つまらなかったこと
・お年玉の予想と現実
・初詣で何を祈った? 行けなかったら何をお願いしたかった?
・お正月以外の行事何がある? やってみたいおうち行事を考えよう
――行事を親子一緒にすることで、家事のしかたなども伝えることができそうですね。
そうですね。衣替えもいいと思いますよ。6月頭と10月頭のお休みの日を「わが家の衣替えの日」と決め、家族で一斉に衣類を入れ替える。そのときにたたみ方やしまい方を教えてあげるといいですね。小学校高学年になると、自分の領分という感覚が出てくると思います。「お母さん、部屋に入ってこないでね」と。衣類の管理の仕方を教えるのは、その尊重にもなると思います。スッキリ片づくと気持ちいということにも気づくでしょう。
――お子さんが自分で片付けられるようになると、保護者の方もラクになりますね。
服を色別に収納するお子さんもいれば用途別に並べるお子さんもいます。お子さんなりのルールを守っているようなら、親御さんは口を出さないほうがいいですね。お子さんのやり方をほめると、自分でどんどん片づけるようになると思います。
洋服のたたみ方。
『しばわんこと楽しく学ぼう 和のせいかつ』(白泉社より)
お正月は、家族そろって笑顔で過ごそう
――やはり最初はほめることが大切なのですね。
衣替えに限らず、お子さんに参加してもらうときには、多少うまくできなくともほめたほうがいいと思います。毎年その行事をすることでだんだんうまくなるでしょうし、こうした経験から時の経過も感じられ、またその人の根っこになるのだと思います。
とはいえ無理にほめようとせず、親御さんが行事を楽しむことが大切ではないでしょうか。親御さんが楽しんでいると、お子さんも真似したくなるもの。それに、親御さんが笑顔でいるのがお子さんには一番うれしいことです。
――なるほど。
わたしは、「“笑う門には福来る”だから、たとえ親子ゲンカをしていてもお正月は笑って過ごそう」と教えられました。これもメリハリ。行事の良さだと思いますよ。2021年も笑顔で過ごせるといいですね。
――そうですね。ありがとうございました。
プロフィール
川浦 良枝(かわうら・よしえ)
1963年、東京都生まれ。武蔵野美術大学短期学部卒業。デザイン会社勤務を経てフリーのイラストレーター、デザイナーに。カレンダーやグリーティングカードなどの製作を手がける。2000年より、雑誌「MOE」(白泉社)にて『しばわんこの和のこころ』の連載を開始。NHKでアニメ化も。主な作品に『しばわんこの和のこころ1・2・3』『しばわんこの和の行事えほん』『しばわんこと楽しく学ぼう 和のせいかつ』 (いずれも白泉社)などがある。