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歌手・タレント 高橋みなみさん (1)

今回ズームアップするのは、あのアイドルグループAKB48で結成時から10年間活躍し、2012年からは「総監督」として300人を超えるAKB48グループをまとめてきた「たかみな」こと、高橋みなみさん。難しい年代の女の子たちとどうコミュニケーションをとってきたのか、リーダーとして大事にしてきたものとは? そしてAKB48を卒業してソロ歌手になった今も、「努力は必ず報われると、わたし、高橋みなみはこの人生をもって証明します」と言い切って走り続ける高橋みなみさんの原動力とは何なのだろう。お話をうかがった。
(取材・文=生沼有喜)

わたしの原動力

応援してくれるファンの方たちは一生の宝。
だから、がっかりさせたくない。だから、がんばれる。
AKB48を卒業した今も、それは変わりません。

 

病弱でいじめられていた低学年時代から一転

小学生のころの高橋さん

――AKB48グループの「総監督」を務めていらっしゃいましたが、子どものころからクラスのリーダー的存在だったのですか。

いやもう、まったく逆です。小学校に入る前に気管支喘息を発症してしまって、学校には行けたり行けなかったり。給食も半分ぐらいしか食べられなかったので、そのせいでいじめられたりもしていたんです。病弱でおとなしい子。小学1、2年はまさに暗黒期でした。

――それが変わったのは?

3年生になったころになぜか一気に体調が回復して、さらに4年生のときに転任してきた男の先生が担任になって、その先生の影響でかなりポジティブに変わったんです。リーゼントに青いイタリア製のジャージを着て、車高の低い車で登校してくる。「こんな、漫画に出てくるような先生がいるんだ!」って感じだったんですけど、厳しくもあり、でも生徒一人ひとりをすごく大事に思ってくれる先生で、ことあるごとに「高橋、やってみなよ」と言ってくれたんです。あるとき先生に「高橋、浜崎あゆみの歌、知ってる? 歌ってみてよ」って言われて、ちょっと歌ったら、「おお、いいじゃん!」って。

アイドル活動に全力投球! 勉強との両立は難しかった

――歌手になりたいという夢は小学生のころから?

もともと母親がわたしを芸能界に入れたくて、小さいころからいろいろなオーディションを受けさせられていたんです。わたし自身、歌は聴くものだと思っていたので、いやでいやで(笑)。
ところが担任の先生にほめられ、歌がうまい親友にも「みなみ、歌、うまいじゃん」って言われたことがあって、それからですね、本気で「将来は歌をやりたいな」と。

――そして中学2年生のとき、AKB48のオーディションに合格。

実はそれまでにいくつものオーディションに落ちまくって、これでダメだったら、歌手になる夢はあきらめて学校の勉強に専念しようと思っていたところだったんです。

――勉強といえば、バラエティ番組の学力テストでビリから二番目の成績だったような……。

昔はよかったんですよ! 小学校では学年で2番の成績だったし、中学でも10位以内には入っていたし。勉強はどの科目もみんな好きだったんです。ところがAKB48に入って、踊りなんて踊ったこともないのにいきなり十数曲もの振りを覚えなくちゃいけない。レッスンもある、劇場公演のリハーサルも夜遅くまである。一つのものに集中しちゃう性格なので、学校との両立は難しかったです。AKB48に全力を注いだ結果、今や学力ゼロ(笑)。
ただ、「本気でやりたいことが見つかったのなら、がんばればいい」と言って応援してくれる親だったので、それはすごく心強かったですね。だから続けて来られたのかな、と思います。

シビアに自分と向き合って選んだ、「リーダー」というポジション

――どんないきさつで、AKB48のリーダーになったのでしょうか。

子どもながらに、シビアに考えるタイミングがあったんです。
実はわたし、最初は最前列中央の「センター」ポジションをもらっていたんです。ところがだんだんと自分のポジションが後ろに下がっていって、気がつけば前田敦子が「AKB48の絶対的センター」と呼ばれるようになっていた。人気の面でも敦子にはかなわない。「わたしはセンターにはなれないんだ」って、わかってしまったんです。
でも、AKB48がすごく好きだから、なんとかこのグループに必要とされたいと思った。わたしはこのグループにとってどんな存在なんだろうと、冷静に自分と向きあい始めたんです。そんなときに、リーダー的存在だった「あゆ姉(折井あゆみ)」が卒業して、ぽっかり空いたのが「リーダー」というポジション。あゆ姉に憧れていたわたしは、「あゆ姉みたいになりたい」と、その背中を追いかけるように「よし、リーダーになろう」と決心しました。

プロフィール

撮影/Takeo Dec.

高橋 みなみ (Minami Takahashi)

1991年東京生まれ。2005年14歳のとき、「会いにいけるアイドル」をコンセプトに結成された「AKB48」の第1期メンバーとして活動開始。2009年にAKB48・チームAのキャプテンとなり、2012年には300人以上のAKB48グループをまとめる「総監督」に就任。多くのメンバーから「理想のリーダー像」と言われる。2016年にAKB48を卒業後、ソロ歌手のほか、テレビやラジオで活躍。2016年10月にファーストソロアルバム『愛してもいいですか?』をリリース。著書に『リーダー論』(講談社)などがある。

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