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歌手・タレント 高橋みなみさん (2)

わたしの原動力

応援してくれるファンの方たちは一生の宝。
だから、がっかりさせたくない。だから、がんばれる。
AKB48を卒業した今も、それは変わりません。

 

リーダーとして大事なのは、一人ひとりと信頼関係を築くこと

――年齢差のある女の子ばかりのグループをまとめるのには、大変な苦労があったと思います。

大変でした、ほんとに(笑)。年上のメンバーもいますから、注意したりしかったりして、嫌われたらいやだな、と。だからこそ、挨拶をする、遅刻はしない、楽屋の掃除もきちんとする、苦手なダンスも人よりたくさん練習する。リーダーとして認めてもらえるように、日々の生活一つひとつをちゃんとすることを心がけていました。まずはそこからです。
それから、信頼関係ができていない段階でしかったり注意したりアドバイスしたりしても、「なんでこの人に言われなきゃいけないんだ」と反発されて終わってしまうのがオチなので、一人ひとりとコミュニケーションを取って、「この人なら信頼できるな」と思ってもらえる関係性を築いていくことに時間と労力を注ぎました。やっぱり、信頼しあえる人間関係が、チーム全体のパフォーマンスを上げることにもつながっていくんですね。
あと、女の子ってプライドが高いから、人前で怒られるのをいやがるんです。そこは、裏に呼んでこっそり伝えたり、メンバー全員に向かって話して、最後にちらりとその子を見て「あなたに言っているんだよ」とわからせるとか、いろいろ工夫しました。

よいと思ったらすぐに、具体的にほめてあげるのがポイント

――逆に、ほめるときのコツはありますか。

何がどういいのか、具体的に言ってあげたほうが相手は喜びますし、「自分のことを見てくれているんだ」「こんなところまで見てくれている人がいるんだ」とわかれば、手を抜かないでもっとがんばろうって思うものです。
アイドルの世界も理不尽なことだらけで、がんばっているのに見てくれない、認めてもらえないということがたくさんあるんです。そこで気持ちが折れて腐っていくのか、それとも自分なりの立ち位置を見つけて努力していけるのか。そこで、「だれかが見てくれている」と思えるかどうかがすごく大事になると思うんです。
ゴールも正解もだれにもわかりませんから、わたしは具体的なアドバイスはしませんけれども、よいところに気がついたらすぐに、「あのトーク、よかったじゃん」「踊りのあの振り、いいね!」とか、伝えるんです。それをきっかけに、本人が自分の得意分野とか、これをがんばろうっていう目標を見つけられたらいいな、と思って。

「努力は必ず報われると、これからも人生をもって証明します」

小学生のころの夢は「歌手になる」ことだった。

――2015年4月に「アイドル」を卒業して、2016年10月にはソロアルバムを出されました。アイドル時代との意識の違いってありますか。

人に元気を与えたいという気持ちは、変わらないですね。
東日本大震災のあと、AKB48の活動としてずっと被災地訪問をさせていただいて、音楽の力のすごさを痛感したんです。言葉で伝えきれないことでも、音楽ならどこか気持ちの隙間に入ることができる。そういう音楽を、これからはソロの歌手として表現していきたいと思っています。

――よくスピーチでおっしゃっていた「努力は必ず報われる、わたし、高橋みなみはこの人生をもって証明します」という言葉。わたしたちはこれからも期待していいですか。

はい! もちろん、努力が必ず報われるとは限りません。いつ報われるかもわからない。でも、努力しなければ未来はないんです。がんばることがスタートだと思うので、わたしはとにかく自分で自分のお尻を叩きながら、がんばり続けたいと思います。いつか「努力が報われた」と思う瞬間があっても、きっとまたすぐに新たな目標が生まれると思うので、この「証明」は一生続くんじゃないかな。
以前は、「がんばれ」っていう言葉が嫌いだったんです。AKB48時代は毎週末のように握手会があって、ファンの方々から「がんばってください」「がんばってください」って言われるので、「もうがんばってるよぉ。しんどいよぉ」って思っていたんですよ。でも、あるファンの方からお手紙で、「顔晴れやかに」という意味で「顔晴れ(がんばれ)」っていう言葉をいただいて、みなさんからの「がんばってください」という言葉が、「顔晴れやかにやってください」というメッセージなら、わたし、がんばれるな!って。
なかには優しさから、「そんなにがんばらなくてもいいよ」って言ってくださる方もいるんですけど、でもわたし、がんばっている自分が嫌いじゃないんです。それに、こんなに応援してもらっているのにがんばらないなんてもったいない。人生ってがんばりどころがいっぱいあると思うので、立ち止まらずに進んでいきます!

――これからも「顔晴れやかに」、その笑顔と声でみんなに元気を与え続けてください。高橋さんのソロ歌手としての活躍を楽しみにしています。

プロフィール

撮影/Takeo Dec.

高橋 みなみ (Minami Takahashi)

1991年東京生まれ。2005年14歳のとき、「会いにいけるアイドル」をコンセプトに結成された「AKB48」の第1期メンバーとして活動開始。2009年にAKB48・チームAのキャプテンとなり、2012年には300人以上のAKB48グループをまとめる「総監督」に就任。多くのメンバーから「理想のリーダー像」と言われる。2016年にAKB48を卒業後、ソロ歌手のほか、テレビやラジオで活躍。2016年10月にファーストソロアルバム『愛してもいいですか?』をリリース。著書に『リーダー論』(講談社)などがある。

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