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2020年中学入試動向(首都圏)

今回の記事では、首都圏(1都3県:東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県)の入試動向について、ご紹介します。

中学入試の動きをチェック

新型コロナウイルス感染症の流行によって、学校をはじめ社会全体が変化を余儀なくされている2020年度。中学入試の動向や今後の変更について、アンテナを一層高くしておきましょう。感染症の影響を切り離しても、さまざまな変化の中で学校側が受験者数を増やす目的で入試方法を変更することは十分に考えられます。これまでも、午後入試の実施や男女共学化がありました。近年では、英語入試の導入や学力だけではない「自己推薦型入試」「適性検査型入試」「思考力型入試」なども増えてきています。ただし、難関校では、基本は4教科の学力による入試が行われます。志望校の選択肢をせばめないためにも、まずは4教科の基礎学力をしっかり固めることを心がけましょう。
注目していただきたい点として、2020年度の入試では、巣鴨と世田谷学園が算数1教科入試で受験者数を大幅に伸ばしたことが挙げられます。学校側としては、受験者を増やしたいと考えていますので、今後の午後入試において、算数の1教科入試の導入校が増える可能性は高いでしょう。午前の入試を終えてからの受験になりますので、算数1教科入試は、受験生および学校側の負担が少なく双方にメリットがあるといえます。ただし、今の段階では4教科万遍なく学習を進める必要がありますから、あくまでもプラスアルファの情報として、注意をしながら見ていくとよいと思います。

首都圏の入試動向

基本的には少子化が続きますが、中学入試においては地域ごとに見ていく必要があります。首都圏1都3県の今後4年の小6卒業生の人口動向を見ても、東京はほぼ横ばいまたは微増なのに対し、他の3県は顕著な減少傾向が見られます。首都圏では、これまでの受験率の傾向として、2008年度の16.6%から2014年度には14.1%まで下がり続けました。その後、年ごとに受験率は上がり、2020年度は16.6%をわずかに越え、これまでの最高になりました。受験率の低下は2008年のリーマンショックの影響があったことは否定できないでしょう。そして、受験率の上昇は、学校側の改革の成果。また近年よく話題にあがる大学入試改革の動向から、子どもによりよい教育を受けさせたいというニーズの高まり。さらには、団塊世代ジュニアの中に、自らが中学受験を経験し、中学受験のよさをよく理解している保護者層が増えてきていることも要因ではないかと思われます。ここまでが2020年度までの動きです。

では、2021年度以降の入試はどうなるのでしょう。
過去に首都圏では、東日本大震災の影響も見られたことから、今年の新型コロナウイルス感染症の影響を受けることは間違いないと思います。首都圏および関西圏も含めて全体として、受験率は落ち込む可能性があるでしょう。ただ、それで合格しやすくなるかというとそれは違います。保護者および受験生の受験校を選ぶ基準が厳しくなり、どうしても行きたいと思わせる学校はより人気が出ることも考えられますし、より合格が難しくなる学校も出てくることでしょう。みんなが行きたい学校とそうでない学校の2極化がより顕在化するのがこれからの入試と考えられますから、難関校を志望する場合には、全体の平均データに左右されずに、万全の準備をしておきましょう。

2020年度のトピック

早稲田、慶應、学習院など、大学付属校の人気は依然として続いています。大学入試改革など先行きの見えない中で、少しでも不安を取り除きたいという心理が働くのでしょう。系列大学への進学がほぼ保証されていることから、クラブ活動や課外活動などに思い切り取り組めることも、高い支持を得ている要因と思われます。

それ以外のトピックとしては、巣鴨と世田谷学園の算数1教科入試でしょうか。
前述の巣鴨と世田谷学園は、算数1教科入試の導入により、志願者数が
巣鴨     2019年度 508名 ⇒ 2020年度 766名 (前年比151%)
世田谷学園  2019年度 425名 ⇒ 2020年度 544名 (前年比128%)
と、増加しました。末尾の一覧を見ていただきたいのですが、結果として受験者数も大幅に伸ばし、算数1教科選抜以上に、全体にも関心が高まり好影響がありました。一般的な傾向としては、算数を苦手に感じる受験生は多いので、どこの学校でもうまくいくとは限りませんが、難関校でも広がっていく可能性があります。

2021年度以降の動向

合格者数が多くはないのですが、お茶の水女子大附属中学校が来年度から公立中高一貫校と同様の「適性検査型」入試に移行します。難関校で適性検査型の入試を導入しているところは、光塩女子学院など少数ですが、全体としては大きく広がってきています。

Z会の通信教育でも、公立中高一貫校を志望する会員は多いです。冒頭で、新型コロナウイルス感染症の流行について触れましたが、その影響で、これまで落ち着きつつあった公立中高一貫校の人気が、より高まることも考えられるでしょう。
また、茨城県では、今年度に5校が開校、来年度は土浦第一など3校が開校、その翌年にも2校の公立中高一貫校の開校が決まっており、茨城県の中学受験(受検)の動向は大きく様変わりしそうです。さらに、来年度から本郷が、2022年度から豊島岡女子が、高校での募集を停止しました。それによって中学での募集定員に変更が出てきています。豊島岡女子は交通の便もよく進学実績もよいため、女子には人気の学校ですが、高校からの入学が閉ざされることで、中学受験を検討するご家庭が増えるかもしれません。同様にして、都内の公立中高一貫校にも動きがあります。併設型の5校の高校募集停止です。富士と武蔵が来年度、大泉と両国がその翌年。白鴎が未定とのことです。一方、筑波大附では、今まで音楽・図画工作・家庭科の筆記試験と体育実技がありましたが、来年度から4教科の筆記試験のみとなりました。いずれにせよ、来年度からの入試には大きな変更が加えられるところもあるでしょうから、学校のWebサイトなど、情報収集はまめに行うようにしましょう。

主要難関校の動向

末尾に主要難関校の受験者数、合格者数、実質倍率を掲載しました。それを見ていただければおよその傾向はつかめるかと思い
ますが、選抜方法が多様化し、複数の入試を用意しているところなどでは、合格者を絞り込んでいるものも見られます。なお、
ここには記しませんでしたが、首都圏は学校数が多く、受験日も重要です。関西圏では、統一入試日(1月13日から19日までの
土曜日)とその翌日におおよその結果が出るのに対し、首都圏では、下記のような傾向があります。

・千葉県、埼玉県では、1月に入試を行う学校も多いです(入試解禁日がそれぞれ1月20日、1月10日)。東京都在住の受験生も、前受け(お試し受験)として、千葉や埼玉の学校を受けるケースがあります。
・都内および神奈川県の入試解禁日は2月1日で、公立および国立は2月3日。受験日は、ほぼ2月1日~5日に集中します。
・都内の最難関校の受験日は2月1日に集中します。そのため、神奈川男子御三家である聖光学院、栄光学園は2月2日、浅野は2月3日となっています(平成31年度の浅野の算数入試では、計算問題の答えが31と3分の2になる問題(入試日当日を意識した問題)が出題されました)。都内の最難関校と併願できるよう入試日を工夫しているようです。
・試験日が日曜日に重なると一部のキリスト教系中学校は受験日を別日にします。礼拝の日(安息日)のためです。これをサンデーショックと呼びます。近年では、2015年度がサンデーショックで、例えば、桜蔭を2月1日、女子学院を2月2日に受験するなどが可能になりました。ただし、2021年度以降の4年間にはサンデーショックはありません。

※入試解禁日…優秀な生徒の青田買いを防ぐために、各都道府県の私学協会が、入試を開始してもよいと定める日のこと

首都圏の主な難関校 (合格者数/受験者数、実質倍率)

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