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2021年中学入試動向(首都圏)

今回の記事では、首都圏(1都3県:東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県)の入試動向について、ご紹介します。

中学入試の動きをチェック

新型コロナウイルス感染症の流行によって、昨年から学校をはじめ社会全体が変化を余儀なくされています。中学入試の動向や今後の変更について、アンテナを一層高くしておきましょう。今後もさまざまな変化を受けて学校側が受験者数を増やす目的で入試方法などを変更することは十分に考えられます。これまでも、午後入試の実施や男女共学化がありました。近年では、英語入試の導入や学力だけではない「自己推薦型入試」「適性検査型入試」「思考力型入試」なども増えてきています。ただし、難関校では、基本は4教科の学力による入試が行われます。志望校の選択肢をせばめないためにも、まずは4教科の基礎学力をしっかり固めることを心がけましょう。

注目していただきたい点としては、各学校の倍率です。末尾にも主要な学校のデータを掲載しましたが、いわゆる難関校と呼ばれる学校の倍率が総じて下がりました。駒場東邦など一部の例外はありますが、新型コロナウイルス感染症の影響を受けて、他県への受験を控える傾向があったようです。また、2020年度に注目をあびた算数1教科入試ですが、こちらも落ち着きました。巣鴨と世田谷学園の受験者数は、過去3年間の推移をみると、巣鴨が「476⇒701⇒597」、世田谷学園が「395⇒504⇒411」です。多ければ翌年は避ける、少なければチャンスと考える層の受験が増えるのが一般的です。2021年度は、2020年度の受験者増の反動とコロナの影響を受けたように思われますが、算数1教科入試の需要がなくなったわけではありません。今後も注目の学校となることでしょう。ただし、今の段階では4教科万遍なく学習を進める必要がありますから、あくまでも選択方法のひとつとして見ていくことをおすすめします。

首都圏の入試動向

受験者数は少子化の影響を受けますが、中学入試においては地域ごとに見ていく必要があります。首都圏1都3県の今後4年の小6卒業生の人口動向を見ても、東京はほぼ横ばいまたは微増なのに対し、他の3県は顕著な減少傾向が見られます。首都圏では、これまでの受験率の傾向として、2008年度の16.6%から2014年度には14.1%まで下がり続けました。その後、年ごとに受験率は上がり、2021年度は16.9%と、これまでの最高になりました。受験率の低下は2008年のリーマンショックの影響があったことは否定できないでしょう。そして、受験率の上昇は、学校側の改革の成果や、子どもによりよい教育を受けさせたいというニーズの高まり。さらには、団塊世代ジュニアの中に、自らが中学受験を経験し、中学受験のよさをよく理解している保護者層が増えてきていることも要因ではないかと思われます。ここまでが2021年度までの動きです。

では、2022年度以降の入試はどうなるのでしょう。
昨年に引き続いて、新型コロナウイルス感染症が今後どうなっていくのか注意してみていく必要があります。仮に、受験率が落ち込んだとしても、それで合格しやすくなるかというとそれは違います。保護者および受験生の受験校を選ぶ基準が厳しくなり、どうしても行きたいと思わせる学校はより人気が出ることも考えられますし、より合格が難しくなる学校も出てくることでしょう。難関校を志望する場合には、全体の平均データに左右されずに、万全の準備をしておきましょう。

2021年度のトピック

早稲田、慶應、学習院など、大学付属校の人気は依然として続いています。大学入試改革など先行きの見えない中で、少しでも不安を取り除きたいという心理が働くのでしょう。系列大学への進学がほぼ保証されていることから、クラブ活動や課外活動などに思い切り取り組めることも、高い支持を得ている要因と思われます。

それと合わせて、全体的には安全志向が感じられます。新型コロナウイルス感染症の影響を受けて、受験者数はほぼ前年並みだったものの、受験校を絞ったご家庭も見られました。受験慣れを目的とした他県へのお試し受験やチャレンジ校の受験が敬遠されたようです。元々、進学する予定のない学校の受験のため、それによる難易度の変化はあまり期待できませんが、どちらにしても悔いのない受験をしてもらいたいものです。また、学校説明会だけでなく、入試に関する手続きについてもWeb化をする学校が増えました。さらには、入試直前になって面接の中止を決めた学校も、女子校を中心に多く出ました。今後もさまざまな変更のあることが予想されますから、まめに情報収集していく必要があるでしょう。

2022年度以降の動向

合格者数が多くはないのですが、お茶の水女子大附属中学校が今年度から公立中高一貫校と同様の「適性検査型」入試に移行しました。難関校で適性検査型の入試を導入しているところは、光塩女子学院など少数ですが、全体としては大きく広がってきています。

Z会の通信教育でも、公立中高一貫校を志望する会員は多いです。冒頭で、新型コロナウイルス感染症の流行について触れましたが、家庭の経済状況を踏まえて、私立中学を避けて、これまで落ち着きつつあった公立中高一貫校の人気がより高まることも考えられるでしょう。茨城県では、昨年度に5校が開校、今年度は土浦第一など3校が開校、来年度にも2校の公立中高一貫校の開校が決まっており、茨城県の中学受験(受検)の動向は大きく様変わりしそうです。また、都内の公立中高一貫校にも動きがあります。併設型の5校の高校募集停止です。富士と武蔵が今年度、大泉と両国が来年度。白鴎が未定とのことです。そして、千葉県では、千葉市立稲毛高等学校附属中学校(令和4年4月に千葉市立稲毛国際中等教育学校として開校)が2025年春に高校募集を停止します。その影響で、来年度は2クラス募集から4クラス募集になることが発表されています。

さらに、今年度から本郷が、来年度から豊島岡女子が、高校での募集を停止しました。それによって中学での募集定員に変更が出てきています。豊島岡女子は交通の便もよく進学実績もよいため、女子には人気の学校ですが、高校からの入学が閉ざされることで、中学受験を検討するご家庭が増えるかもしれません。
一方、筑波大附では、今まで音楽・図画工作・家庭科の筆記試験と体育実技がありましたが、今年度から4教科の筆記試験のみとなりました。来年度も報告書点に英語を加えるという変更が発表されています。
いずれにせよ、来年度からの入試には大きな変更が加えられるところもあるでしょうから、学校のWebサイトなど、情報収集はまめに行うようにしましょう。

主要難関校の動向

末尾に主要難関校の受験者数、合格者数、実質倍率を掲載しました。それを見ていただければおおよその傾向はつかめるかと思いますが、選抜方法が多様化し、複数の入試を用意しているところなどでは、合格者を絞り込んでいるものも見られます。なお、ここには記しませんでしたが、首都圏は学校数が多く、受験日も重要です。関西圏では、統一入試日(1月13日から19日までの土曜日)とその翌日におおよその結果が出るのに対し、首都圏では、下記のような傾向があります。

・千葉県、埼玉県では、1月に入試を行う学校も多いです(入試解禁日がそれぞれ1月20日、1月10日)。東京都在住の受験生も、前受け(お試し受験)として、千葉や埼玉の学校を受けるケースがあります。
・都内および神奈川県の入試解禁日は2月1日で、公立および国立は2月3日。受験日は、ほぼ2月1日~5日に集中します。
・都内の最難関校の受験日は2月1日に集中します。そのため、神奈川男子御三家である聖光学院、栄光学園は2月2日、浅野は2月3日となっています。都内の最難関校と併願できるよう入試日を工夫しているようです。
・試験日が日曜日に重なると一部のキリスト教系中学校は受験日を別日にします。礼拝の日(安息日)のためです。これをサンデーショックと呼びます。近年では、2015年度がサンデーショックで、たとえば、桜蔭を2月1日、女子学院を2月2日に受験するなどが可能になりました。ただし、2022年度以降の3年間にはサンデーショックはありません。

※入試解禁日…優秀な生徒の青田買いを防ぐために、各都道府県の私学協会が、入試を開始してもよいと定める日のこと

首都圏の主な難関校 (合格者数/受験者数、実質倍率)

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