中学受験コース4年生学習Topic
4年生のうちにおさえておきたい中学入試のしくみ
2022.3.10
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今回は、合否決定や入試科目、倍率のことなど、中学入試の基本的なしくみをご紹介します。今後の学習方針を立てる際や中学受験に関する各種資料をご覧になる際の参考にしてください。ご存じの方には、いま一度確認する機会にしていただければと思います。
4年生のうちにおさえておきたい中学入試のしくみ
入試科目は4教科が基本
中学入試は多様になりつつありますが、大学入試・高校入試ほどではありません。国語・算数・理科・社会の4教科または国語・算数の2教科がほとんどで、関西男子の難関校は国語・算数・理科の3教科も多いです。
ただ個々の学校をみると、日程によっては、4教科か2教科かが選べる入試、1教科で受験できる入試(高輪の算数午後入試、 攻玉社の特別選抜、巣鴨の算数選抜など)、自己推薦書として客観的資料(公文式中学課程認定など)を提出してこれも評価の対象とする入試(公文国際のA入試「国語・数学」「国語・英語」「数学・英語」での受験など) といった、特徴ある入試を取り入れている学校もあります。
志望校が明確な場合には、事前に要項などで調べておき、できるだけ多くの受験機会をいかせるようにするとよいでしょう。また併願校として考えている場合には、日程ごとの形式も確認するようにしてください。
一部の学校では、体育などの実技や面接が課されます。ただし、これらについては、年度によって変わる学校もありますので、中学年のうちから特別な対策をする必要はないでしょう。
こんなとき どうしたら…… その1Q.理科が苦手です。志望校は全日程で2教科受験が選択できるので、国語・算数にしぼって勉強しようかと思うのですが。 |
合否判定は得点ベースが基本
学校によりますが、合否は入試当日の学力試験の得点の総計で決まり、通知表の内容(内申点・報告書)などは参考程度という学校が多いです。前述のように実技や面接が課されることもありますが、基本的には入試の総点で競りあうことになります。ただ、国語・算数の配点が理科・社会の配点の倍に設定されている、教科ごとに基準点を設けている、といった場合もあります。配点や、どのように合否判定をするかは、要項に記載があることが多いので、そこで確認できます。
得点による合否決定について、下の表を見ながら考えてみましょう。
たとえば、Aさん、Bさん、Cさんが、ある試験を受けたとします。ア)のように4教科の配点が同じ場合、3人とも同じ合計点となります。しかし、イ)のように国語・算数の配点が大きいと、3人の合計点に差がつき、表の場合だと1番のAさんと3番のCさんの点差は28点も開きます。また、ウ)のように基準点が設けられていたら、算数の成績が極端に悪いCさんはそれだけで不利になります。
学校のWebサイトで前年度入試の結果を発表する学校も多く、そのデータの中に「合格最低点」「合格平均点」を公開している場合もあります。これらは、高学年になって過去問を演習するときに、自分のその時点の得点と「合格最低点」などの差をみることで、合格まであと何点積み上げなければならないのかを確認する目安となります。
こんなとき どうしたら…… その2Q.小学校の成績がよくありません。中学入試に影響はあるでしょうか。 |
「倍率」の見方
各中学の前年度入試の比較資料として、倍率を目にされることがあるかと思います。倍率には、「出願倍率」と「実質倍率」があります。前者は志願者(出願者)数を募集人員で割った値、後者は実際に試験を受けた受験者数を合格者数で割った値です。出願倍率には受験しなかった志願者が含まれますので、まずは実質倍率に注目しましょう。
なお受験しなかった志願者には、第一志望に合格して併願校を受けなかった方、また、同日同時間帯に複数校出願していて前日までの入試結果で別の学校を受けることにした方などが含まれます。
「出願倍率」や「実質倍率」は年度によって変動します。とくに大学合格実績が伸びた、校舎を新しくした、午後入試を設けるなど受験しやすい入試制度に変更した、といった学校は、急に人気が上がる傾向があります。過年度で見たときに大きく倍率が上下している学校には、そういった背景がある可能性をふまえて比較を進めるとよいでしょう。