東大料理愛好会レシピ
皮膚と粘膜を守る…ビタミンA
2017.11.23
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東大料理愛好会のメンバーが小さいころによく食べていた体験をもとに、頭がよくなる栄養素とレシピをご紹介します。
子どものころ、こんなものを食べていました-ビタミンA-
田代さん(東京音楽大学3年) 受験期は寒さから体調を崩すことが多く、とくに鼻かぜと目の乾燥に悩んでいました。ビタミンAはこれらの改善が期待でき、不規則な生活のなかでも取り入れやすい緑黄色野菜に多く含まれていることも魅力的です。カボチャの煮物が大好物で、祖母が間食用にと頻繁に作ってくれました。いま思い返すと、栄養のバランスや腹持ちがよく、甘みもほどよいため間食にぴったりでした。 藤後さん(東京大学3年) ビタミンAは日本人の食生活で非常に摂取しやすい栄養素なのではないかと思います。オムレツなどの卵料理をわたしの親はよく出してくれていましたが、卵黄には多くのビタミンAが含まれているので効率よくとれます。また、視力低下を抑えるはたらきもあるとのことで、目が疲れる受験期にはおすすめです。ただし、鶏レバーなどはビタミンAの含有量が多いので、とり過ぎてビタミン過剰症にならないよう注意が必要です。 鈴木さん(聖心女子大学2年) 勉強時の夜食には、にんじんとごぼうのきんぴらをよく食べていました。なんといっても作り置きができるのですぐに食べることができるので便利ですし、ごぼうは免疫力を高めてくれるので大切な時期の風邪などの予防にも最適です。また、よくかまないといけないため、眠気覚まし、脳の活性化にも繋がり、暗記などの効率もアップします。加えてスーパーフードであるゴマをあえることで、手軽に良質なタンパク質、カルシウムなどがとれますので、ぜひお試しください! |
鶏レバーとキノコのグラタン[40分]
材料(1人前)
鶏レバー・・・・・・・20g~
お好みのキノコ・・・・40g
玉ねぎ・・・・・・・・40g
セロリ・・・・・・・・10g
リンゴ・・・・・・・・40g
オリーブオイル・・・・大さじ1杯
にんにく・・・・・・・1/2片
塩・・・・・・・・・・適量
チーズ・・・・・・・・適量
生クリーム・・・・・・200ml
またはホワイトソース
└小麦粉(10g)・バター(10g)・牛乳(200ml)・ 顆粒コンソメ(適量)
作り方/レシピ
<作り方>
(1)レバーとハツを分け、バットかボウルを使って、レバーを流水で洗います。水の赤みや油っぽさがなくなるまで何回か水を取り替えます。(ハツは縦に二つに割きます。)
(2)レバーの筋と脂を取り除きます。
(3)水をひたひたに注ぎ、小さじ1の塩を入れて10分置いておきます。
(4)水で軽くすすいで、ペーパーで水気をとります。
(5)野菜とリンゴは薄切りにします。きのこは石づきを取って小分けにします。
(6)ホワイトソースを作ります。(生クリームを使用する場合にはこの工程は省略してください)
①レンジで牛乳を軽く温めます。
②小鍋にバターを弱火で溶かし、小麦粉をすべて入れます。色がつかないように混ぜ、牛乳をごく少量加えます。しっかりなじんだらさらに少量加えます。全体が混ざり、ドロッとしたら残りの牛乳を加えます。
③顆粒コンソメを控えめに加えて、塩で味を調えます。
(7)別の小鍋にオリーブオイルとニンニクを入れ、弱火でじっくり加熱します。
(8)きのこを加えて軽く焼き目をつけたらレバーを加えて全体を軽く焼きます。※混ぜてはいけません。
(9)きのことレバーを取り出して玉ねぎとセロリを炒めます。しんなりしてきたら塩をひとつまみ入れます。玉ねぎが色づき、甘みが出てきたらホワイトソース(または生クリーム)を加えてよく混ぜます。
※レバーが苦手な場合は、ここでレバーを崩してソースと混ぜ合わせるとよいです。加熱しすぎないようご注意ください。
(10)耐熱皿に、温かいホワイトソース、きのこ、レバーの順に重ねます。
(11)リンゴで蓋をし、チーズをのせてグリルで10分加熱します。チーズに焼き色がついたら完成です。
レシピのポイント
①レバーは豚・牛・鶏とありますが、今回は食べやすい鶏のレバーを使います。
②ソースにレバーの旨味は出にくいので、玉ねぎを炒めることでコクを出します。
③セロリは臭み消しになるのでぜひ入れてください。
④リンゴのほのかな甘みと酸味がレバーの独特な風味をやわらげます。
⑤牛乳を100mlにするとプルンとした固さのホワイトソースに仕上がります。
パンとの相性抜群! ホワイトソースをトマトソースに変えてもおいしくできます。パスタや炒めものにしてもよいでしょう。
忙しい朝に! 一食分のビタミンが詰まった食べるスープ[15分]
材料(1人前)
にんじん・・・・・・・・40g
かぼちゃ・・・・・・・・40g
鶏むね肉(皮なし)・・・60g
まいたけ・・・・・・・・適量
ホタテ・・・・・・・・・1枚程度
ごま油、米油・・・・・・小さじ1
鶏がらスープの素・・・・小さじ1
水・・・・・・・・・・・200ml
塩・・・・・・・・・・・適量
作り方/レシピ
<手順>
(1)にんじんは斜め薄切りにして、さらに斜め半分に切る。かぼちゃは皮側1cmを切り落として角切りにし、実は1cm厚に切りそろえる(色紙切り)。
(2)鶏肉とホタテは一口サイズに切る。まいたけは小分けにする。
(3)小鍋に米油を敷き、中火でにんじんとかぼちゃを炒める。油が回ったら、まいたけを敷き詰めて焼き色を付ける。
(4)まいたけがしんなりしたら、鶏肉とホタテ、塩をひとつまみ入れる。鶏肉の色が変わったら水とスープの素を加える。
(5)蓋をして5分程度加熱する。かぼちゃに火が通っていたら完成。
レシピのポイント
【栄養素内訳】
①ビタミンA:にんじん・かぼちゃ ②ビタミンD:まいたけ ③ビタミンE:かぼちゃ ④ビタミンK:鶏肉・かぼちゃ ⑤ビタミンB1:まいたけ ⑥ビタミンB2:まいたけ ⑦ナイアシン:鶏肉・まいたけ ⑧ビタミンB6:鶏肉 ⑨ビタミンB12:ホタテ ⑩葉酸:かぼちゃ・まいたけ ⑪パントテン酸:鶏肉 ⑫ビタミンC:かぼちゃ ⑬たんぱく質:鶏肉・まいたけ・ホタテ
ビタミンたっぷりのスープで1日を元気に過ごしてください。
ビタミンAの効用
ビタミンAの効用としては、眼精疲労や視力の回復が期待できます。ビタミンAは目の網膜にある物質ロドプシンの主成分であるためです。また、皮膚や粘膜を正常に保つほか、強い抗酸化力を持ち、アンチエイジングにも効果的です。肌荒れやドライアイが気になり始めたら積極的に取り入れてみてください。調理面では、脂溶性のものは油と一緒に調理することで吸収率が高まります。
ビタミンAには、鶏レバーやイカなど動物性食品に含まれるレチノールと植物性食品に含まれているカロテン類があります。体内での利用率はレチノールの方が高く、カロテン類は体内で必要な分だけビタミンAに変わります。1日の摂取基準として推奨されるのは成人で700~850㎍RAE、耐容上限量は2700㎍RAEとされています。脂溶性のビタミンAは、耐容上限を超えて摂取すると体内、おもに肝臓に過剰に蓄積されて、肝障害などの副作用を起こす恐れがあるため、摂取量には気をつける必要があります。
ビタミンAの含有量が多い食材としては、肉類のレバーがあげられます。ビタミンAの含有量は鶏レバー>豚レバー>牛レバーの順で、鶏レバーは臭みも少ないため食べやすい食材です。しかし、10g程度の一口大で1400㎍RAE含まれているため、食べすぎには注意が必要です。魚類では、アンコウの肝やウナギ、ギンダラやアナゴといったやや高級な食材が上位を占めます。こちらも食事として摂取するとまとまった量をとりやすいため、食べすぎに気をつけたいところです。
日ごろ取り入れやすい食材は緑黄色野菜で、にんじん・ほうれん草・かぼちゃなどに豊富に含まれています。とくににんじんはかぼちゃの2倍以上の含有量を誇り、少量でも食事に取り入れやすい食材です。ビタミンAの摂取のためだけでなく、緑黄色野菜は1日120g以上の摂取を目標にしたいところです。(厚生労働省策定の「健康日本21」より)
*この記事で紹介しているレシピはアレルギー対応はしておりません。アレルギーをお持ちの方はご注意ください。
東京大学料理愛好会
東京大学を中心に、さまざまな大学・専門学校に通うメンバーで構成されている。都内のキッチンスタジオで週に1度調理実習を行い、腕を磨く。
最近では、NHK総合テレビ『あさイチ』にメンバーが出演したり、大手回転寿司チェーンかっぱ寿司にメニューを提供したりするなど積極的に活動。
著書に『東大料理愛好会 頭がよくなるレシピ』など。