東大料理愛好会レシピ
記憶力がよくなる!? DHA
2017.4.27
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東大料理愛好会のメンバーが小さいころによく食べていた体験をもとに、頭がよくなる栄養素とレシピをご紹介します。
子どものころこんなものを食べていました-DHA編-
サケやブリ大根はよく食卓に並んでいました。 藤井さん (東京大学 文科三類2年) イワシの梅干煮は育脳に役立ったと思います。 石井さん (日本女子大学 食物学科管理栄養士専攻3年) 旬の魚をおいしく食べていました。 藤後さん(東京大学 工学部建築学科3年) |
旬のアジをふんわりといただく レシピ1:アジの和風ハンバーグ
材料(2人前)
アジ・・・・・・・・・2尾
しょうが(チューブ)・4cm分
片栗粉・・・・・・・・小さじ2(6g)
塩・・・・・・・・・・2つまみ
砂糖・・・・・・・・・小さじ2(6g)
みりん・・・・・・・・大さじ1(18g)
濃口しょうゆ・・・・・小さじ2(12g)
調理酒・・・・・・・・大さじ1と1/3(20g)
サラダ油・・・・・・・小さじ2
大根・・・・・・・・・40g(目安1cm厚さ分)
ゆずの絞り汁・・・・・お好み(なくてもよい)
作り方/レシピ
(1)アジを三枚おろしにします。皮から身を外したあと、小さな骨を取り除きます。中骨からスプーンを用いて身を外します。
(2)身を包丁で細かく刻みます。ある程度細かくなったら塩を加え、まとめて叩き、刻みます。
(3)(2)に片栗粉としょうがを加え、さらに叩きます。粘り気が出てまとまるようになったら2つのハンバーグ状にまとめます。
(4)フライパンにサラダ油を入れ、熱します。(3)を入れ、弱火~中火でこんがりするまで焼きます。裏返し、蓋をして弱火で3~4分焼きます。
(5)砂糖、みりん、濃口しょうゆ、調理酒をよく混ぜ合わせた後、(4)に加え、煮立たせながら絡めます。
(6)器にたれごと盛ります。
(7)大根をおろし、汁気を切ります。好みでゆずの搾り汁を加え、ハンバーグに添えます。
レシピのポイント!
アジの旬は5~7月で、脂がのっていることから、ほかの時期のアジよりも多くのDHAを摂取することが可能となります。このレシピのポイントは焼いたときに出る脂ごとたれにすることで、本来焼いたときに損失する脂を摂取することができる点です。また、しょうがを加えることで魚の臭みを消し、お子さまでも食べやすくなっています。アジを三枚おろしにする際は内臓をとったあと、包丁の刃先で背骨をかいて丁寧に洗い、こまめに水分をふき取るようにすると、より臭みを抑えられて食べやすくなります。
-実際に作ってみました!-
蒲焼ふうの濃い目の味付けのおかげで、生臭さを感じることなく食べられました。
ごまが香る レシピ2:サーモンとマグロのすき身の丼と中華風ごまだれ
材料(2人前)
白飯 ・・・・・・・・・・300g(めやす)
サーモン(サク)・・・・160g
マグロのすき身 ・・・・・100g
きぬさや ・・・・・・・・2個
白ごま(炒り)・・・・・20g
しょうが(チューブ)・・4cm分
中華スープの素 ・・・・・小さじ1/2
しょうゆ ・・・・・・・・大さじ1と1/3(22g)
酢 ・・・・・・・・・・・大さじ1と1/3(20g)
ごま油 ・・・・・・・・・小さじ2(8g)
作り方/レシピ
(1)サーモンのサクの形を整えます。斜めに包丁を入れ、刺身状にします。
(2)きぬさやを茹でて両端を少し切ったあと、斜めに切ります。
(3)どんぶりに白飯を平たく盛ります。(1)のサーモンをどんぶりの縁に沿うように乗せていきます。
(4)中心にマグロのすき身を乗せ、きぬさやを添えます。
(5)フライパンを熱し、白ごまを入れ、弱火でごまがふっくらとするまで炒ります。すり鉢に入れて、すり鉢の下にぬれた布巾を敷き、ごまをすります。
(6)しょうが、中華スープの素、しょうゆ、酢、ごま油を入れてさらにすります。さらっとしたたれがお好みの場合には、ここで湯を大さじ1(分量外)を加えます。
(7)ゴムベラで縁に残っているごまをこそげるように混ぜ、小さめの器にたれを入れます。(4)の丼に添えます。
レシピのポイント!
サーモンとマグロは冷凍技術の進歩から、旬がないと言われることがあるほど、年中流通している食品です。そんな両者は魚のなかでもトップレベルのDHAを含んでいます。このレシピのポイントは脂質の酸化を防ぐ作用のあるビタミンEを多量に含むごまをたれに使用することで、多価不飽和酸であるDHAを効率よく摂取することができる点です。ごまの香りを出して食欲増進を図るためにいりごまを用いてさらに炒ることと、ごまは消化しにくいので、消化をよくすることがポイントです。サーモン・マグロを花びらに見立て、葉を表現するために用いたきぬさやは5月が旬です。このレシピは年中作ることが出来るので、是非とも初夏にきゅうり、しそといったように、旬の野菜を使って葉を作ってみて下さい。
-実際に作ってみました!-
ゴマの香りが食欲をそそり、軽く食べることができました。
DHAにはこんな効能が!
DHAとはドコサヘキサエン酸のことで、n-3系の多価不飽和脂肪酸の一種です。EPA(エイコサペンタエン酸)とともに魚油に豊富に含まれています。DHAは動脈の血管壁にこびりつく過酸化脂質を取り除く効果をもち、細胞を柔らかくして血管をしなやかにする作用をもつことから、動脈硬化の発症予防に有効なことで知られていますが、脳のはたらきという面で学習面でも役に立つと考えられています。
脳には血液脳関門という部位が存在し、脳にとって本当に大切な物質以外通しませんが、DHAはここを通過できる数少ない物質です。脳は各部位によってはたらきが違い、脳のなかで学習および記憶を司るのは海馬と呼ばれる部分です。この海馬にはDHAが多量に含まれています。記憶は今まで無関係に存在していた神経回路が新たな結合をすることであり、シナプスの伝達が促通することによって効率が上昇すると推定されています。上記した通り、DHAは細胞を柔らかくするはたらきがあるので、海馬へ十分な酸素と栄養を届けます。また、神経伝達物質のアセチルコリンのはたらきを活発にし、シナプスにおける伝達能力が高くなるゆえにDHAを摂取すると記憶力が向上すると言われています。
そのような効果をもつDHAですが、多価不飽和脂肪酸なために酸化しやすい脂肪酸です。脂肪酸が酸化すると過酸化脂質が生成され、生体膜に機能障害を起こすので、カロテン(ビタミンAのプロビタミン)、ビタミンC、ビタミンEといった抗酸化ビタミン類とともに摂取することが大切となります。とくにカロテンは油脂とともに調理すると吸収率が高まるため、ともに加熱調理することが推奨されます。加熱調理に伴い、DHAが流出してしまうため、焼き物の場合は焼きあぶらをたれに用いたり、煮込み料理にして煮汁ごといただいたりといったような工夫が必要となります。昨今サプリメントでDHA含有のものが出ていますが、ほかの栄養素も共に摂取できる点や、吸収率、腸管免疫の事を加味して、食品から摂取することが推奨されています。DHAに変化してくれてかつ、さまざまな効能があるEPAもともにとれることから、ぜひとも青魚をはじめとする魚を調理して食べるようにしてください。
*この記事で紹介しているレシピはアレルギー対応はしておりません。アレルギーをお持ちの方はご注意ください。
東京大学料理愛好会
東京大学を中心に、さまざまな大学・専門学校に通うメンバーで構成されている。都内のキッチンスタジオで週に1度調理実習を行い、腕を磨く。
最近では、NHK総合テレビ『あさイチ』にメンバーが出演したり、大手回転寿司チェーンかっぱ寿司にメニュー提供など積極的に活動。
著書に『東大料理愛好会 頭がよくなるレシピ』など。