東大料理愛好会レシピ

緑黄色野菜の万能選手!にんじん

東大料理愛好会のメンバーが毎月1つずつ食材を取り上げ、旬の食材のレシピをご紹介します。

今月のテーマは「にんじん」

 お子さまの好き嫌いに悩む保護者の方はたくさんいらっしゃると思います。実際、わたしも生魚、牛肉、ブロッコリー、ごぼうなど……好き嫌いが本当に多く、給食をよく残しており、偏食を治すのにずいぶん時間がかかりました(まだ一部食べられないものがあります……)。ただ、どんなお子さまでも多少の差こそあれ、大人になるにつれて次第に好き嫌いが治っていくのは、おそらく「だましだまし」食べさせ続けるという保護者の方の努力があってこそのことだと思います。嫌いな食材の味に徐々に慣れていくことで、苦手意識を克服でき、楽しめる料理の幅も広がっていくのですね。

 今回わたしたちがピックアップした食材は「にんじん」です。どこのスーパーでも手に入るうえ外食の際もよく目にする緑黄色野菜の代表格ですが、ピーマンやなすと並んで子どもの苦手な食材にあげられることも。しかし、実は、千切りサラダや炒め物、あえ物、煮物はもちろん、ピューレにすることで決め手のソースや甘いスイーツに変身させることもできるなど、シーンを問わず使える野菜です。

 この万能性をうまく利用して、レシピではラビオリやマフィンといった子どもが大好きなメニューのなかに、にんじんをうまく織り込むことで、苦手なお子さまでもおいしく食べられるように工夫しました。とくにラビオリはお子さまと一緒に生地を作り、さまざまな具を入れるなどして楽しむことができます。健康維持に必要なビタミンAが豊富に含まれていることから、成長期にはたくさん食べていただきたい食材ですので、苦手意識が少しでもなくなればと思います。
 

執筆: 藤後 東京大学4年

副菜 にんじんのあえもの2種[5分]

にんじんは生のままでも、軽くゆでてもおいしくいただけます。
薄くスライスしていますので、にんじんが苦手な方にもおすすめです。

 

副菜 にんじんのあえもの2種

材料(1人分)

にんじんスライス・・・A・Bそれぞれ20g
A.ナッツマヨネーズ
 水・・・・・・・・・小さじ2
 酢・・・・・・・・・小さじ1/2
 しょうゆ・・・・・・小さじ1/2
 粒入りピーナッツバターまたはお好みのナッツ
    ・・・・・・・小さじ2
 マヨネーズ・・・・・小さじ1/2~1
B.ピリ辛ドレッシング
 水・・・・・・・・・小さじ1
 酢・・・・・・・・・小さじ1/2
 しょうゆ・・・・・・小さじ1/4
 砂糖・・・・・・・・小さじ1/2
 豆板醤・・・・・・・小さじ1/4
 ごま油・・・・・・・2滴

(1)にんじんの皮は必要に応じてむき、ピーラーなどで薄くスライスします。

(2)お湯を沸かします。

(3)熱湯のなかににんじんスライスをいれて1,2分ゆでます。※生食の場合は不要。

(4)にんじんが食べやすい固さになったらザルに取り出し、水気をよく絞ってください。

(5)ドレッシングを作ります。マヨネーズ以外の調味料をすべて混ぜてから、少しずつマヨネーズを加えて調味します。

(6) (4) に(5) を適量あえて完成。

上手に作るワンポイントアドバイス

A.
胡麻あえによく似た柔らかな風味のソースです。マヨネーズ系のソースを作るときは、最後にマヨネーズを加えることで味の調整がしやすくなります。

B.
胃がほんのり温まる辛さ。にんじんにもう1品加えるとよりバランスのよい味になるので、春からが旬のグレープフルーツなどを加えてもよいでしょう。

 

軽食 にんじんのおかずマフィン [40分]

にんじんのペーストなどを混ぜ込んで作るマフィンです。
にんじんペーストは一度に作って冷凍しておくと便利です。      

軽食 にんじんのおかずマフィン

材料(中マフィン5個分)

にんじん・・・・・・・・1本(150g)
スライスベーコン・・・・60g
ほうれん草・・・・・・・40g
オリーブオイル・・・・・適量
ホットケーキミックス・・150g
卵・・・・・・・・・・・1個
牛乳・・・・・・・・・・80mL

作り方/レシピ

(1)にんじんを薄切りにする。

(1)にんじんは薄切りにします。鍋ににんじんを入れて、水をひたひたより多めに入れて中火で加熱します。※10分程度で火が通ります。

(2)ほうれん草は水で洗い、ざく切りにします。

(3)スライスベーコンは2cmの幅に切ります。

(4)にんじんに火が通ったらザルに取って水気を切り、つぶします。にんじんを取り出した鍋でほうれん草をゆでます。軽くしんなりしたら取り出して水気を絞り、冷まして適当な長さに切ります。

(5)油を敷いた鍋でスライスベーコンをよく炒め、(4)のにんじんを加えて水気を飛ばします。

(6)(5)を冷ましている間にオーブンを200度に予熱します。

(7)ボウルに牛乳と卵を入れてよく混ぜ、ホットケーキミックスを加えて軽く混ぜてから(5)を約140g加えて、だまにならないよう切るように混ぜます。

(8)マフィンカップに生地を入れる

(8)マフィンカップの2割程度まで生地を入れてから、ほうれん草を入れます。ほうれん草どうしが重なりすぎないように少量ずつ入れ、余ったほうれん草は残りの生地と絡ませてマフィンカップに入れます。マフィンカップの底を軽く叩きつけて、生地の偏りを直します。※全体量はマフィンカップの5割~7割におさめておきます。

(9)オーブンで加熱する。

(9)天板に乗せた(8)を200度に予熱したオーブンに入れて、180度に下げて20分加熱します。焼きあがったら、マフィンの中心にようじをさして生の生地がついてこなければ完成。※オーブンの上段だと火力が強い場合は、下段を使用してください。

上手に作るワンポイントアドバイス

・ホットケーキミックスを使うことで失敗しづらくしています。具材の水分量に気をつけてください。

・レシピでは、ほうれん草を使用していますが、豆や季節野菜をうまく取り入れてアレンジしてみてください。

・ベーコンの脂があるため、バターを使わずにさっぱり仕上げました。厚みのあるベーコンをさいの目切りにして加えると食べ応えアップ! その場合はよく焼いて余分な油を落とします。

主菜 にんじんと白身魚のラビオリ[80分] 

生地を手作りするかわりに餃子の皮を生地として用いてもおいしく召し上がれます。                    ぜひ、お子さまと楽しく作ってみてください。

主食 にんじんと白身魚のラビオリ

材料(2人分)

にんじん・・・・・・・・85g
白身魚(今回は鰆)・・・140g
お好みのチーズ
(今回はパルミジャーノ・レッジャーノ)
     ・・・・・・・10g(お好みで)
バター ・・・・・・・・・10g
ケチャップ・・・・・・・大さじ1
塩、こしょう・・・・・・適量
オリーブオイル・・・・・適量
A.ラビオリの生地
 卵(最低60g)・・・・1個
 薄力粉・・・・・・・・50g
 強力粉・・・・・・・・50g
 塩・・・・・・・・・・ひとつまみ 

作り方/レシピ

(1)ラビオリの生地を作ります。ボウルに粉を入れて中央をくぼませ、卵を入れます。指先でくるくると卵と粉を少しずつなじませながら、吸水させていきます。まとまってきたら、乾燥する前に指先やボウルについた生地をきれいに集めて一緒にまとめます。表面の粉っぽさがなくなってきたら、きれいな台の上でよくこねます。表面につやがでてきたら、ラップで包み冷蔵庫で1時間~2時間休ませます。

(1)粉に卵を入れる。
(1)指先で卵と粉をなじませながら吸水させる。
(1)生地をきれいにまとめる。
(2)にんじんの薄切りをバターで炒める

(2)具を作ります。にんじんを薄切りにして鍋に入れ、バターで炒めます。油がなじんだら軽く塩をふり、柔らかくなるまで弱火で火を通します。出来上がったらボウルにとってつぶします。

(3)白身魚は一口大に切ります。フライパンに油を敷いてこんがりと焼きます。

(4)焼きあがった魚を(2)に混ぜる。

(4)焼きあがった魚のうち20gを、身をほぐしながら(2)に混ぜます。チーズも削って加えます。

(5)ラップをかけて生地を伸ばす

(5)冷蔵庫から(1)を取り出して、クッキングシートの上に乗せラップをかけて生地を伸ばしていきます。画像のようにたたみ、伸ばすのを5回ほど繰り返したら、生地を半分カットします(この半分は余ります。冷凍して保存しておくと便利です)。

(6)小さじ1程度ずつ具を乗せ、切り分ける

(6)カットした生地をたたまずに薄く伸ばしていきます。1mmより薄くのばしたら、間隔をあけながら(4)を小さじ1程度ずつのせていきます。生地をかぶせるようにたたんで隙間をふさぎ、ピザカッターか包丁で1個ずつに切り分けます。生地をくっつけるために縁はフォークなどで圧着します。

(7)鍋で熱湯を用意し、塩を適量入れ、(6)を茹でます。5分経って浮き上がっていたら端を食べてみて、モチモチしていれば取り出します。

(8)ソースを作ります。オリーブオイルとケチャップを(4)の魚の残りとともにフライパンで加熱します。温まって油がなじんだら(7)のゆで汁を大さじ1加えます。ソースがまとまったらラビオリを絡めて完成。

上手に作るワンポイントアドバイス

  • 生地は薄くのばすことがポイントです。
  • 塩分の強いチーズを使う場合には塩こしょうを加減してください。

 

レシピ開発裏話

 幼いころのわたしは乱切りのにんじんが苦手だったことを思い出し、にんじんが少し苦手なお子さまへ向けたレシピをと考えました。どのレシピもにんじんの主張が強くならないようにしていますが、お好みに合わせてにんじんとほかの材料の配合を変えていくことによってにんじん独特のおいしさを引き出すこともできます。

 にんじんペーストの作り方はお好みでかまいませんが、今回、ラビオリはバターと塩で炒めてつぶす方法、マフィンは水から煮てつぶす方法で作りました。ほかにはミキサーなどでペーストにしてから加熱する方法もあります。丁寧に加熱するとさらに甘みが増しますので、料理によって使い分けてみてください。

執筆:田代 東京音楽大学4年

 

*この記事で紹介しているレシピはアレルギー対応はしておりません。アレルギーをお持ちの方はご注意ください。

 

 

東京大学料理愛好会

東京大学を中心に、さまざまな大学・専門学校に通うメンバーで構成されている。都内のキッチンスタジオで週に1度調理実習を行い、腕を磨く。
最近では、NHK総合テレビ『あさイチ』にメンバーが出演したり、大手回転寿司チェーンかっぱ寿司にメニューを提供したりするなど積極的に活動。
著書に『東大料理愛好会 頭がよくなるレシピ』など。

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