東大料理愛好会レシピ
火を通すことでレシピが広がる!トマト
2018.8.9
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東大料理愛好会のメンバーが毎月1つずつ食材を取り上げ、旬の食材のレシピをご紹介します。
今月のテーマは「トマト」
大学生になってから自由な時間が増えたので、よく海外に一人旅に出るのですが、その道中は観光地の見物だけではなく、ローカルな暮らしを肌で感じてみようといつも心がけています。先月訪れたアメリカ西海岸のロサンゼルスでは、現地に住む方々がどのように、何を買って暮らしているのだろうかと純粋に興味があったので、低価格のスーパーからオーガニック系のスーパーまで幅広く見てきました。もちろんスケールや品揃えは日本のスーパーと少し異なりますが、もっとも印象的だったのは、トマトやパプリカ、ズッキーニなど無数の夏野菜がダイナミックに陳列されている光景でした。野菜は味や食感だけでなく、その見た目も非常に大事だということを改めて実感しました。鮮やかな色の多い夏野菜は、食卓を華やかにし、夏バテ気味の身体に食欲をもたらしてくれるのかもしれません。 今月は、このような夏野菜の代表格であるトマトを使ったレシピを2品考案してみました。ポイントとしては、生で使うと青臭さが気になるお子さんも多いのではないかと考え、火を通すことでより一層トマト本来の旨味を引き出そうと考えました。とくに2品目のトマトカレーピラフは、トマトの甘さとカレーのスパイシーさがとても合っていてお気に入りです。 レシピでは2品とも生のトマトを使用しましたが、一方でほとんどのスーパーやコンビニでは、生のトマトのほかに、トマト缶やトマトペーストなどトマトを原材料とした商品が数種類売られているかと思います。私は大学通学のため一人暮らしをしているのですが、授業やアルバイトで時間がとれない日にはトマト缶を使って素早く簡単な煮物やパスタを作る場合が多く、非常に重宝しています。忙しいときには、健康バランスを考えた、手の込んだ料理をいつも作れるとは限りません。生トマトは切るだけで充分見栄えがよいですし、ピューレの缶などは買い置きしておけることを考えると、トマトはさまざまな使い方ができる万能野菜なのではないでしょうか。ぜひトマトで食卓を彩ってほしいと思います。 執筆: 藤後 東京大学4年 |
主菜 生トマトから作るエビチリ
生のトマトを煮詰めて、旨味をギュッと濃縮させました。
材料(2人分)
冷凍シーフードミックス・・・・250g
トマト・・・・・・・・・・・・2個
玉ねぎ・・・・・・・・・・・・1/2個
しょうが・・・・・・・・・・・2かけ
ごま油・・・・・・・・・・・・大さじ2
サラダ油・・・・・・・・・・・大さじ1
お湯・・・・・・・・・・・・・適量
大葉・・・・・・・・・・・・・1枚(飾りとして)
(A)下処理として
(ア)片栗粉・・・・・・大さじ2
塩・・・・・・・・小さじ1
(イ)酒・・・・・・・・小さじ2
片栗粉・・・・・・大さじ2
(B)合わせ調味料
豆板醤(トウバンジャン)・・小さじ1
オイスターソース・・・・・・大さじ1/2
塩・・・・・・・・・・・・・小さじ1/3
しょうゆ・・・・・・・・・・小さじ1
作り方/レシピ
(1)しょうがと玉ねぎをみじん切りにします。
(2)トマトが被る程のお湯を沸かします。トマトのお尻に浅く十字の切れ込みを入れ、10-20秒ゆでてから冷水にさらし、皮を剥いて2cm角に切ります。熱湯は残しておいてください。
(3)(2)の熱湯に分量外の塩少々と冷凍シーフードミックスを加えます。
(4)冷凍シーフードミックスの氷の膜が溶け、具がバラけたら引き上げて水を切ります。
(5)(4)に(A)-(ア)をふって1分揉み、さっと洗ってペーパータオルで水気を拭きます。
(6)(5)と(A)-(イ)を絡めます。
(7)サラダ油をひき中火で熱したフライパンに(6)を加え、表裏1分焼いて取り出します。
(8)フライパンの油をペーパータオルで拭き、ごま油を加え、弱火にします。
(9)みじん切りにしたしょうがと玉ねぎを炒め、香りが立ったら豆板醤とトマトを加え3-4分ほど煮詰めます。
(10)(9)がとろりとしたら(B)を加えて味を整え、(7)を加えさっと混ぜて器に盛ります。
上手に作るワンポイントアドバイス
・トマトは煮詰めれば煮詰めるほどおいしくなります。焦がさないように気をつけてください。
・油を多めに使い具材を高温で熱することで魚介はプリプリに、トマトは旨味がグッと引き立ちおいしくなります。
主食 生米から炊くトマトカレーピラフ
玉ねぎとトマトの甘味に香ばしいおこげがよく合います。
ピラフはフライパン一つでできてとても手軽です。
材料(1人分)
洗っていない生米・・・・・・・200cc
オリーブオイル・・・・・・・・大さじ1
にんにく・・・・・・・・・・・2かけ
玉ねぎ・・・・・・・・・・・・1/4個
ピーマン・・・・・・・・・・・1/2個
ウインナー・・・・・・・・・・80~100g程度
カレー粉・・・・・・・・・・・小さじ1
トマト・・・・・・・・・・・・1/2個
パセリ・コショウ・・・・・・・適量
(A)スープストックとして
水・・・・・・・・・・・250cc
酒・・・・・・・・・・・大さじ1
みりん・・・・・・・・・大さじ1
薄口しょうゆ・・・・・・大さじ1
オイスターソース・・・・小さじ1
作り方/レシピ
(1)にんにく、玉ねぎ、ピーマンをみじん切りにします。ウインナーは7mm程に切ります。
(2)オリーブオイルをフライパンにひき、弱~中火にかけます。
(3)(1)を入れます。にんにくの香りが立ち、玉ねぎが透き通ってくるまで炒めます。
(4)生米を入れます。お米に油を吸わせるように2-3分炒めます。
(5)生米が透き通ってきたらカレー粉を入れ混ぜ合わせます。
(6)(A)を投入し、火を強めます。混ぜずに軽くフライパンを揺すります。
(7)煮立ったら弱火にし、くし切りにしたトマトを加えます。
(8)フライパンにフタをして20分待ちます。
(9)20分経ったらフタを開けて一度状態を確認します。水っぽいようなら3分程、時間を延長してください。
(10)炊き上がったら蒸らさず器に盛ります。
(11)お好みでパセリやコショウを散らして完成です。
上手に作るワンポイントアドバイス
・玉ねぎは弱火で長時間加熱すると甘味が出ておいしいです。
・(4)の生米を焦がさないように気をつけてください。
・(6)の段階で全体を混ぜてしまうと生米につけた油の膜が取れてしまい、ピラフに粘りが出てしまいます。優しく揺すってください。
レシピ開発裏話
今回はフライパン1つで手軽にできるレシピを2品考えてみました。
生野菜としていただくイメージが強いトマトですが、加熱されたトマトは甘味を出してくれたり、トロミ剤になったりと、料理のよいアクセントになります。
今回の1品目はエビチリです。”エビチリの素”を使わなくても簡単に作ることができます。余談ですが、私は自家製のチリソースを作り野菜と絡めて食べることがあります。
まず、すりおろした適量の香味野菜をごま油で炒めます。
次に、お好みの野菜適量、豆板醤を小さじ1〜2加え、焦がさないように気をつけながら炒めます。そして、トマトケチャップ大さじ4-5と、水を1/2カップ加えて煮立たせます。そこに、はちみつ小さじ1(or砂糖大さじ1)、味噌を少し加えて調味します。最後に、片栗粉小さじ1を同量の水で溶いたものを加え、さっと混ぜて完成です。辛い場合は、仕上げに卵黄を加えるとまろやかでおいしく召し上がれます。
こちらもぜひ作ってみてください。
次に、ピラフについてです。
ピラフは炒飯とは違い、本来は炒めた生米をスープで炊く料理です。手が込んでいるように思えますが、フライパン1つで1人前から手軽に作ることができます。1人前のお米を研いだり洗い物をしたりする手間を考えると、ピラフは簡単にできると言えるでしょう。
一般的に、米を飯にする(生米を食べられる状態にする)には米重量の1.5倍、米容量の1.2倍の水分が必要とされているため、今回はその規則に則りレシピを制作しました。トマトの水分が出て、見た目の想像よりは薄い味になります。濃い味付けがお好みならば、水を25%ほど減らして炊くことをおすすめします。また、レモン汁を少々垂らして食べるとよりおいしいですよ。
執筆:佐々木 東京家政大学2年
*この記事で紹介しているレシピはアレルギー対応はしておりません。アレルギーをお持ちの方はご注意ください。
東京大学料理愛好会
東京大学を中心に、さまざまな大学・専門学校に通うメンバーで構成されている。都内のキッチンスタジオで週に1度調理実習を行い、腕を磨く。
最近では、NHK総合テレビ『あさイチ』にメンバーが出演したり、大手回転寿司チェーンかっぱ寿司にメニューを提供したりするなど積極的に活動。
著書に『東大料理愛好会 頭がよくなるレシピ』など。