小田先生のさんすう力UP教室(1・2年生)

やってみる力を育てよう2

さんすう力を高めるにはどうしたらいいの? まあ、そんなに難しく考えないで、まずはお子さまと一緒に問題に取り組んでみましょうよ。
(執筆:小田敏弘先生/数理学習研究所所長)

 こんにちは、最近忘れ物が多い小田です。最近というか、昔からではありますが。小学生のころはあまりそういう自覚もなかったのですが、通知表の「忘れ物をしない」の欄には(おそらく)一度も○がついたことがありません。なかなか○がつかないので、先生厳しすぎだろう、と思っていたのはここだけの秘密です。今振り返ると、具体的なエピソードを思い出せないくらい、こまごまと日常的に忘れ物をしていたのだろうと思います。今がわりとそういう感じなので。

 さて、今回は純粋なパズルの問題です。算数・数学的な知識や技能は基本的に必要ないので、ぜひ気軽に楽しんでみてください。

 それでは早速行ってみましょう。

Stage48:やってみる力を育てよう2

例題

図のような迷路があります。ルールにしたがって、スタートからゴールまで進んでください。

  • すべての部屋を必ず1回ずつ通ってください。
    (通らない部屋があったり、同じ部屋を2回以上通ったりしてはいけません)
  • 数字の書かれている部屋は、その順番で通ってください。
    (たとえば、1の部屋より先に2の部屋を通ったりしてはいけません)

例題の答え

 まずはいつも通り、問題の意味が理解できているかどうかの確認ですね。すべての部屋(マス)を1回ずつ通る、というのはとくに確認してあげてください。書かれている通り、通らない部屋があったり、同じ部屋を2回通ったりしてはいけません。
 あとは基本的にノーヒントで大丈夫でしょう。試行錯誤を温かく見守ってあげてください。お子さんが答えを出したら、問題の条件と照合してあげます。つまり、すべての部屋を1回ずつ通っているか、数字の書かれた部屋は順番に通っているかを確認するのです。そこがクリアできていれば正解です。通っていない部屋があったり、同じ部屋を2回通ったり、順番通りに通っていなかったりしたら、そこを具体的に指摘してあげてください。

解いてみよう

<例題>のルールにしたがって、それぞれの迷路をスタートからゴールまで進んでください。

解答

さんすう力UPのポイント

 本連載では、パズル的な問題も多く扱ってきましたし、その他、わたしの実際の授業でも、そういった問題を扱う場面は多いです。そうすると、「やはり算数力を伸ばすにはパズルを解かせるのがいいのか」と思う方もいらっしゃるようです。個人的な意見としては、そういった意見については否定はしないものの、全面的に肯定できるものではないな、というのが、最近感じているところです。

 わたし自身はもともとパズルが好きで、そこから算数・数学へとつながっていった部分もあるので、ひとつのルートとしてそういう道が存在するのは、おそらく事実なのでしょう。しかし、長年いろいろな子どもを見てきた経験上、あくまでパズルはパズル、算数は算数である、というあたりまえのことを忘れてはいけないな、とは強く思います。パズルに限らず、「○○をすると算数が得意になる!」という言説はよく見かけますが、よくよく考えてみると、そういうふうに考えるのはその「○○」に対して少し失礼ではないでしょうか。パズルが好きな人はパズルが好きだからパズルを解くわけであって、別に算数ができるようになるためにパズルを解いているわけではありません。算数のためにパズルがあるわけではないのです。

 算数ができるようになるために一番重要なことは、パズルを解くことそのものではなく、「好きなことに熱中して、その中で頭を使っていろいろ工夫する」ことです。「算数が得意になるために○○をする」のではなく、「好きな○○をやっていくうちに、もっとうまくなりたい、もっとできるようになりたい、と思って工夫をし、それが算数につながっていく」というのが、実際のところなのです。

 Stage37:やってみる力を育てよう で「試行錯誤が大事」という話をしました。しかし、そうやって「ああでもない、こうでもない」と悩むことができる前提には、その対象に熱中していることが必要です。自分の中から気持ちが湧き出てこなければ、“うまくいかなかった”ときに、「もっとほかにもこうしてみよう」という気にならず、諦めてしまうからです。逆に言えば、熱中できるものであれば、それが何であれ、最終的には算数・数学につながっていくでしょう。いろいろと工夫した結果“うまくいく”というのは、大げさに言えば「自分の知恵によって周りの世界に影響を及ぼした」ということです。その快感こそ、人類が算数・数学を発展させてきた根本的な原動力なのです。

 とくに低学年のお子さんの成長を見守る上で大事なことは、やはりそういった、子どもが興味をもっているものを最大限尊重することでしょう。教育関係者は口をそろえて「遊ぶことが大事」と言いますが、要するにそれは、子ども自身が熱中できるものを大事にしてほしい、という意味でもあります。子どもたちは、自分の世界の中でおもしろいことを見つけ出し、そこからさまざまなものを学び取っています。その力を信じ、温かく見守ってもらえたら、と思います(ついでに、パズル好きな人間の1人として、パズルを楽しんでくれる人も増えていってくれたらいいな、とは少し思います)。


 いかがでしょうか。

 そんなこんなで、今年度も1年間どうもありがとうございました。最近は時の流れも速く感じるようになり、今回もあっという間の1年間だったような気がします。年度が替わると、生徒たちの学年も1つ上がるわけですが、そうやって生徒たちがどんどん成長していく姿を見るのが、毎年の楽しみです。「もう○年生になったのか! 大きくなったなあ!」というのは、“おっさん”の定番のセリフではありますが、気にせず繰り返し使っていきたいと思います。

 一応はこれで一区切りですが、また来年度も変わらず連載させていただきますので、引き続きよろしくお願いいたします。

 それではまた来月!

文:小田 敏弘(おだ・としひろ)

数理学習研究所所長。灘中学・高等学校、東京大学教育学部総合教育科学科卒。子どものころから算数・数学が得意で、算数オリンピックなどで活躍。現在は、「多様な算数・数学の学習ニーズの奥に共通している“本質的な数理学習”」を追究し、それを提供すべく、幅広い活動を展開している(小学生から大人までを対象にした算数・数学指導、執筆活動、教材開発、問題作成など)。

公式サイト:http://kurotake.net/

主な著書

まだZ会員ではない方

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