子どものココロジー

集中できない子

子どもの心のそのココロは? 子どもの行動の裏側にある心理を知るコーナーです。

気が散りやすい子には 集中する経験を

 何かをやり始めたと思ったらすぐに立ち歩いたりして続かない。大人から何か指示されていても別のことに気を取られて本来の目的を忘れてしまう。漢字の宿題を途中までやったかと思えば算数をやり始めたり、そうかと思えば明日のしたくをしてみたり――など、子どものこうした姿から、「うちの子には集中力がないのでは……」と嘆く親御さんの話を耳にします。
 しかし、一見落ち着きがなく、何かに取りかかるのに時間がかかったとしても、宿題や読書などにある一定時間集中できているのであればあまり心配することはありません。この時期の子どもは一つのことに夢中になってしまうと、ほかのことがわからなくなってしまったり、逆に興味のあるものを見つけたとたんに今までやっていたことをほうり出して別のことに取りかかったりするものです。何を優先するべきかはおかまいなしで、目の前のことに夢中になってしまい、気がすんだころには最初にするはずだったことをすっかり忘れてしまっているのです。何かに夢中になっているときには、周りの声が聞こえなくなったり、親のいいつけをちゃんと理解せずに返事だけしたりするようなこともありますが、このようなことは年齢が上がってもよくあることです。これは目についた物事への好奇心からの行動であり、とくに心配することはないでしょう。
 子どもが集中できる時間は、好きなことをやっているときと、いやいややっているときとでは異なりますが、低学年のうちはせいぜい20~30分だといわれています。小学校の授業は45分間のところが多いですが、低学年の子どもにとっては45分間集中するのは難しいので、学校の先生方もいくつかの区切りや、何かしらの気分転換を入れながら授業をしています。
 ですから、集中力に欠けて落ち着きのないことが気になる子には、そのおりおりに集中する経験をさせるとよいでしょう。なるべく周りの刺激が少なくなるように環境を整えて、勉強やそのほかの活動に集中できるように工夫してあげるのです。とくに、何かを作ることや楽器の練習、読書など、丹念に手順をふんでいくものが望ましいのですが、まずは子どもが好きなことを見つけることが大切です。無理強いするのではなく、「おもしろい」と思える雰囲気のなかで親と一緒に楽しむこともポイントです。

ぼんやりしている子は 生活の見直しを

イラスト・根岸麻衣子

 一方で、人の話を集中せずぼんやり聞いているために、指示どおりの行動ができなかったり、いっせいに何かを始める際にも初動が遅かったり、という子もいます。ぼーっとしているときには、何も考えていないように見えるのですが、実は別のことを考えていたり、たんにそのことに興味がもてなかったりするだけなのかもしれません。ぼんやりしている時間が長いようであれば、優しく声をかけて会話する機会をもってみたり、散歩したり、家の掃除や家事などを一緒にやったりしながら、様子を見てみましょう。何かすべきことがあるときには、明確にどのような手順で行えばよいかをはっきりと説明してあげるとよいでしょう。
 日中学校や外でエネルギーを消耗しているときや、つまらないとき、やることがないときに、家でぼーっとしているということはよくあることです。しかし、寝不足や、睡眠時間はとれていても眠りが浅いために体温がなかなか上がらないことが原因で、午前中はぼーっとしてしまう子もいます。このような場合は、生活全般を見直すと同時に、鼻づまりがないかもチェックしてみましょう。鼻づまりは集中しづらくなるだけでなく、熟睡を妨げる原因にもなるのです。

何かのきっかけで 集中できるようになることも

 集中力のなさがどうしても気になるときには、担任の先生に学校での様子を聞いてみるのもよいでしょう。学校ではとくに問題なさそうであれば、あまり神経質にならずに様子をみましょう。「これをしなさい」とか「あれはしたの?」と頻繁に注意したり、しゃべり続けてみたり、早口や大声でまくしたてたりすればするほど子どもは親の話を聞かなくなります。何かをしていたらその手を休ませて、「こっちを見て」と言って目を合わせて、静かな声でゆっくりと話しかけるようにしましょう。「今から何をするところなの?」とか、「そのためにまず何をしなくてはいけない?」などと質問形式にして、子どもに答えさせるのも効果的です。自分で今の状況を考えて、言葉に出して言ったことは頭に入りやすく実行しやすいものです。
 気が散りやすいとか、ぼんやりしているなどという性質は、一般的には生まれもっての気質と家族構成や育て方、住宅事情などを含めたお子さんを取り巻く環境とが相互に影響しあってできあがっているものです。気質を変えるのは難しいですが、たとえば、友だち関係が楽しくなったり、熱中できるようなおもしろいものと出合ったりということがきっかけとなって集中できるようになることもあります。低学年のうちは、「自分だけ聞いていないことや知らなかったことがよくある」とか、「うっかりしたり、まちがえたりすることが多い」といったことを自覚するのは難しいかもしれません。しかし何度も失敗を繰り返すことでいつかは気づくものです。「先生が話しているときはちゃんと聞こう」という姿勢や、「何かに書きとめよう」といった工夫が生まれれば、それが集中力にもつながります。

プロフィール

塚崎 京子 (つかさき・きょうこ)

お茶の水女子大学大学院人間文化研究科博士前期修了。白梅学園大学子ども学部および鎌倉女子大学児童学部等で非常勤講師。専門は発達心理学・保育学。

プロフィール

監修

無藤 隆 (むとう・たかし)

東京大学大学院教育学研究科博士課程中退。お茶の水女子大学生活科学部教授を経て、現在、白梅学園大学教授。専門は発達心理学。

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