小田先生のさんすう力UP教室(1・2年生)

やってみる力を育てよう

さんすう力を高めるにはどうしたらいいの? まあ、そんなに難しく考えないで、まずはお子さまと一緒に問題に取り組んでみましょうよ。
(執筆:小田敏弘先生/数理学習研究所所長)

 こんにちは、もうすぐ誕生日をむかえる小田です。歳をとるのは一年ぶりなので、うまく歳をとれるかどうか不安です。みたいなネタを毎年のようにここに書いていた時期があり、それも飽きたので昨年度は書かなかったのですが、今年度は復活させました。まあ、うまく歳をとる、というのは、実際には少し考えこむ表現でもありますよね。今年度は「うまく歳をとる」ことができればいいな、というのは改めて思いました。

 さて、初めての方は初めまして、昨年度から引き続きの方はいつもありがとうございます。このコーナーは、わたしが普段子どもたちに解いてもらっている問題を紹介・解説していくコーナーです。問題を解くときにどういうところに気をつけてほしいか、その問題を解くことでどうしてほしいか、についても書いていきますので、お子さまの算数の学習で困っている方がいれば、何かお役に立てればいいなと思います。もちろん、気軽に問題だけ楽しんでいただくのも大歓迎です。

 それでは早速行ってみましょう。

Stage49:やってみる力を育てよう

例題

 たて・よこに入れた数の和が、書かれている数になるよう、空いているマスに数を入れてください。ただし、太い線で区切られたブロックには、1~3がそれぞれ1回ずつ入ります。

例題の答え

 まずは、お子さまが問題の意味を把握できているか、確認することが大事です。たとえば、一番上の段であれば、「3+□+1」で「5」になる、ということです。一番左の列は「3+□+2」で「8」になります。太線で区切られたブロックの中には、「1、2、3」が1回ずつ入ります。違うブロックであれば、同じ段や同じ列に同じ数が何回入っても構いません。
 お子さまが問題の意味を把握できているようでしたら、しばらく好きに取り組ませてあげましょう。うまく解くコツなどはもちろんありますが、そういったことは基本的に伝えなくて大丈夫です。
 お子さまが自分なりの答えを出せたら、問題の条件と照合しながら答え合わせをしてあげてください。つまり、「たてや横の数の和が指定されている数になっているか」「各ブロックの中が1、2、3になっているか」を確認するのです(答えを見て、「ここの数字があっている」と指摘するのではありません)。計算が合わないところや、数字が同じブロックに重複して入っている箇所があれば、そこを指摘します。
 それを何度か繰り返し、最終的にすべての条件をクリアしていたら、大きく○をつけてあげてください。

解いてみよう

 たて・よこに入れた数の和が、書かれている数になるよう、空いているマスに数を入れてください。ただし、太い線で区切られたブロックには、決められた数がそれぞれ1回ずつ入ります。

解答

さんすう力UPのポイント

 実は前回のテーマも「やってみる力を育てよう」だったのですが、今回も年度初めということで、あえてまた「やってみること」、つまり「試行錯誤」をテーマにしました。昨年度の最初でも書いた通り(この回も同じテーマですが)、年度初めの記事では必ずそのテーマを取り上げることにしているからです。なぜそういうふうにしているかというと、もちろん、その「やってみる」ことが、算数の学習を進めていくうえで一番重要な姿勢だと思っているからです。

 2020年の大学入試改革が近づく中、「主体的な学び」という表現がいろんな場面で見られるようになってきています。確かに、子どもが自分から勉強に取り組んでいる姿を想像すると、なんだか“教育”がうまくいっているようなイメージはあるでしょう。しかし、この「主体的」という表現は、慎重に扱う必要がある言葉です。そもそも「主体的」というのはどういう状態を指すのでしょうか。さらに言えば「主体」とは何なのでしょうか。

 わたしが一番恐れているのは、「大人が思う“理想的な状態”に子どもが積極的に向かっていく」ことを「主体的」と表現されてしまうことです。それこそ、「子どもが自分から勉強に取り組んでいる姿」という漠然としたイメージは、一歩間違うと「子どもを内側からコントロールしてそういう状態を作り出す」ということにつながりかねません。端的に言えば、それは要するに「大人の顔色をうかがう子ども」を育ててしまう、ということです。

 「主体的な学び」を促すためには、一人ひとりの子どもの「主体」を大事にするのが大前提です。子どもと大人とでは、「見えているもの」「感じていること」が違います(もちろん、子どもと大人でなくても、人間は一人ひとりそれぞれに物の見方も感じ方も違っています)。そういった一人ひとりの“主体”が大事にされる、つまり、否定されることなく認められて初めて、「主体的な学び」は成立します。

 前回の記事でも書きましたが、わたしがパズル的な問題を子どもにやってもらうことが多いのは、別にパズルそのものに特別な意味があると思っているからではありません。しかし、「パズル」というものの特性上、子どもの「主体」を大事にするうえで扱いやすい教材であるとは思っています。まず、「ルールがわかれば参加できる」ということ、そして、「ルールの中では何をやってもいい」ということ。さらには、「目標をクリアしたかどうかが自分で納得できる」こと。ほかにも「間違い、というフィードバックに対して、納得しやすい」ことなどがあげられます。

 要するに、子ども自身が何をやっているのかがわかっていて、正しくても間違えても、その結果に納得できる、ということが大事です。そうして、自分なりにやってみて、うまくいくこと、いかないことを自分の中に蓄積していくことで、どういうふうに“やって”いけばいいのか、がおぼろげながら見えてきます。その経験の積み重ねが、算数の学習で「新しいこと」「難しいこと」が出てきた際にも、自分なりに“やって”みて理解する原動力になるのです。

 テーマには「やってみる力を“育てる”」と書いていますが、これは無理やり引っぱって伸ばす、ということではありません。子どもが「やっていること」「やろうとしていること」を認めてあげることで、やってみる力が育っていくのを温かく見守る、ということです。算数の学習に限らず、まずは自分で「やってみる」経験を大事にしてあげてください。


 いかがでしょうか。

 そんなこんなで、いよいよ新年度がスタートしますね。さらに言えば、もうすぐ元号も新しくなるということで、わたし自身もいろいろと新しい事に挑戦できたらいいな、と思っています。わたしには「数学博物館」を作る、という夢があるのですが、そちらも何かしら進められたらいいですよね。ちなみに、先日行った確定申告の結果、昨年度の本代・資料代は前年比の1.5倍以上になっていました。そのおかげで収入自体は減ってしまったわけですが、それはそれ、夢の「博物館(+図書館)」に一歩近づいた、ということで。今年度も頑張りたいと思います。

 ついでに宣伝で恐縮ですが、以前からご好評いただいていた『東大脳さんすうドリル』、このたび『東大脳さんすうドリル 計算編』としてリニューアルいたしました! さまざまな迷路やパズルを解きながら、数と仲良くなり、数や計算に対するセンスをみがいていく、というドリルですので、興味のある方はぜひよろしくお願いいたします。

 それではまた来月!

文:小田 敏弘(おだ・としひろ)

数理学習研究所所長。灘中学・高等学校、東京大学教育学部総合教育科学科卒。子どものころから算数・数学が得意で、算数オリンピックなどで活躍。現在は、「多様な算数・数学の学習ニーズの奥に共通している“本質的な数理学習”」を追究し、それを提供すべく、幅広い活動を展開している(小学生から大人までを対象にした算数・数学指導、執筆活動、教材開発、問題作成など)。

公式サイト:http://kurotake.net/

主な著書

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