小田先生のさんすうお悩み相談室(3~6年生)

展開図の問題を攻略する

さんすう力を高めるにはどうしたらいいの? 保護者の皆さまから寄せられるさまざまなお悩みに、小田先生がするどくかつ丁寧にお答えしていきます。
(執筆:小田敏弘先生/数理学習研究所所長)

 こんにちは、ポイントを集めて景品をもらうのが好きな小田です。最近集めているのは健康飲料についているポイントなのですが、2カ月くらいで50ポイント近く集めなければなりません。しかし物が物なので、「1日1本(1ポイント分)が目安」とか書かれていたりするわけですよ。毎日飲むしかないですかね。頑張りたいと思います。
 さて、今回のお悩みは「展開図」についてです。展開図を組み立てる問題はいろいろなテストで出てきますが、そのできあがりがイメージできなくて困っている、という人も多いでしょう。どうすれば、そういった問題を攻略できるのでしょうか。今回はそんなお悩みに答えていきたいと思います。
 それでは早速行ってみましょう。

お悩み15:展開図の問題を攻略する

 「どうやったら頭の中で展開図を組み立てて考えられるようになるの?」と子どもに聞かれ、言葉に詰まってしまいました。できるようになる方法を教えてください。

(小学4年生・保護者)

さんすう力UPのポイント

なぜ算数で展開図の問題が出題されるのか

 展開図の問題で困ったとき、「展開図を頭の中で組み立てられるようになれたらな」と思うことは多いでしょう。しかし、そこでまず考えていただきたいことは、「どれくらい複雑な展開図を、どれくらいスムーズにイメージできるようになりたいか」ということです。夢も希望もない話で申し訳ないのですが、「どんな複雑な展開図でも、見ただけで頭の中に完成図が思い浮かぶ」というのは、実際のところ単なる“特殊能力”でしかありません。努力すれば誰でも身につけられる、というものではないのです。もし、そこ(どんな展開図でも完成形をイメージできる)を目指しているのなら、それは諦めたほうがよいでしょう。
 さて、もう一度確認します。「展開図を頭の中で組み立てられるようになりたい」というのは、どれくらい複雑なものを指していますか。そして、それができるようになりたいのは、何のためですか。こちらで勝手に答えを用意してしまうなら、それは「テストに出てくるレベルのもの」であり、「テストなどで正解するため」ではないでしょうか。もしそうであるならば、ただやみくもに「展開図の完成形をイメージできるようになりたい」と思うだけでは、あまり効果がありません。
 そもそも、なぜテストで「展開図を組み立てる」問題が出題されるのでしょうか。先にお伝えしたように、その能力はある程度から先は単なる特殊能力です。もちろん、学校の先生はそんな“特殊能力”をもっている子を見極めたい、と思っているわけではありません(例外として、中学入試においては、たまにそういった意図を感じる場面があります。ただそれも結局、“普通の子”はほとんど解けない問題になってしまうため、“特殊能力”をもった子がほかで多少落としても挽回できる、というような、ある意味では救済措置的な役割にしかなっていません)。
 それでもテストで「展開図を組み立てる」問題を出すのは、「立体を構成する面について、どれくらい理解しているか」を知りたいからです。つまり、テストで出題される展開図の問題を攻略するために一番重要なことは、「立体を構成する面についての理解を深める」ことなのです。

「組み立てて立方体にならないものを選ぶ問題」を攻略する

 たとえば、立方体を構成している面はどうなっているでしょうか。これは「正方形が6枚」ですね。展開図の例としては、図1のようなものがあるでしょう。ここでさらに注意深く見ていきます。立方体は四角柱でもあるので、6つの面は「2つの底面と4つの側面」と見ることもできます。ここで「柱体の側面」の特徴を考えると、ひとつ重要な性質として「つなげると長方形になる」というものがありますね。要するに“帯”状になるわけですが、この“帯”に注目して展開図を見てみましょう。そうすると、図2のような展開図には、5つの面がまっすぐに並んでしまっている場所があるので、組み立ててもうまく立方体にならない、というのがわかるはずです。立方体は、どの向きから見ても、“帯”の部分は4つの面でできているので、最大でもまっすぐに並ぶのは4つのはずだからです。「組み立てて立方体にならないものを選びなさい」という問題はよくありますが、そういった特徴を理解していれば、別に頭の中で組み立てなくても、「明らかにできないもの」を選べることは結構あるのです。

「向かい合う面を選ぶ問題」を攻略する

 ほかには、「向かい合う面を選びなさい」という問題もよくありますね。これも、“帯”に注目するといいでしょう。向かい合う面を底面同士と考えると、それらはそれぞれ“帯”を挟んだ反対側にあるはずです。たとえば、図3の(ア)の面と向き合う面を考えてみましょう。隣あう面は当然向かい合うわけがないので、まず(イ)の面は“帯”を構成する面の1つだとわかります(「隣あう面は向かい合わない」というのも、ある意味では立体の面に関する“理解”のひとつですね)。そうすると、(イ)(ウ)(エ)のラインが“帯”にあたると見えるので、その向こう側にくっついている(オ)が(ア)の向かいにある面だとわかります。

「ある頂点とくっつく頂点を選ぶ問題」を攻略する

 さらに、立方体を構成する面は、図4のように「2枚ずつ×3」と見ることもできます。こうやって見てあげると、「一番遠い点の位置」がわかります。図5において、立体にしたときにAから一番遠い頂点はGですが、このAとGは図4のような「2枚ずつ」にわけたときに、その「2枚でできる長方形」の対角線の端と端にあたります。それを理解していれば、図6で(ア)の頂点とくっつく点がどれか、というような問題が出てきたときに、「(ア)から一番遠い頂点が(イ)の点、さらにその(イ)から一番遠い頂点を考えた(ウ)の点が、(ア)と同じ点になっているはず」と考えることができるでしょう。


 こうやって見てみると、立方体ひとつとっても、様々な見方ができると思いませんか。もしかするとテクニック的な要素が強いと感じるかもしれませんが、その背景にあるのは、やはり「立体の面の構成に対する理解」です。立方体の面について考えるとき、単に「正方形が6枚」で終わるのではなく、ほかにも様々な視点から見てみることで、立方体の構造に対する理解は深まります。そして、そうやって理解を深めていけば、「展開図を組み立てる問題」の多くは別に組み立てなくても「正解する」ことができるでしょう。ついでに言えば、実は、そうやってきちんと理解を深めていけば、「頭の中で組み立てる」力も少しずつ身についていったりもします

学校で習う「基本的な図形」の理解を深めるには

 立方体だけには限らず、「学校で習う立体」はいずれも「基本的な図形」です。テストで出題される問題は、たとえ多少複雑に見えたとしても、一般的にはその「基本的な図形」を組み合わせた形がほとんどのはずです。そこで測られているのは、特殊能力ではなく、立体に対する理解の深さなのです。展開図を学習する際には、もちろん、ある程度実際に組み立ててみて雰囲気をつかむことが大事でしょう。しかし、それだけでなく、その立体を様々な視点から見てみることで、その立体を構成する面の特徴をいろいろと探し出し、それらを言葉にしていくことで自分の「理解」につなげることも、とても大事なことなのです。
 せっかく時間と労力を割いて勉強するのですから、身につくかどうかわからない“特殊能力”を追い求めるのではなく、着実な「算数の学習」を進めていきましょう。


  いかがでしょうか。

 そういえば、今の季節は修学旅行シーズンのひとつのようですね。私の見ている子たちも、今年は該当する学年の子が多く、準備だなんだとあわただしい日々を送っているようです。私の修学旅行の思い出はというと、正直なところ、ずいぶん昔のことなのであまり覚えていません。断片的に記憶はあるのですが、これといった印象に残るエピソードがあったわけではない、という感じです。別に悪い思い出があるわけでもないので、普通に楽しんだのだと思います。そういえば、いわゆる「龍のついた剣」のキーホルダーは買った記憶がありますね。大人になっていろんなところに出かけ、自分でお土産を買うようになれば、そういうものはどこにでも売っているということに気づきますが、まだ旅行慣れしていない子どもの時分だと、「かっこいい!」「見たことない!」から「買わなきゃ!」となってしまうのかもしれません。まあ、そういったことも含めて、みんな楽しんで来てくれればいいな、と思います。

 それではまた来月!

保護者の皆さまから算数のお悩みを募集します!

お子さまの算数の学習に関して、悩んでいることやお困りのことはありませんか。もしございましたら投稿フォームからお送りください。どのような内容でも大歓迎です!

文:小田 敏弘(おだ・としひろ)

数理学習研究所所長。灘中学・高等学校、東京大学教育学部総合教育科学科卒。子どものころから算数・数学が得意で、算数オリンピックなどで活躍。現在は、「多様な算数・数学の学習ニーズの奥に共通している“本質的な数理学習”」を追究し、それを提供すべく、幅広い活動を展開している(小学生から大人までを対象にした算数・数学指導、執筆活動、教材開発、問題作成など)。

公式サイト:http://kurotake.net/

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