小田先生のさんすう力UP教室

計算力を鍛えよう

さんすう力を高めるにはどうしたらいいの? まあ、そんなに難しく考えないで、まずはお子さまと一緒に問題に取り組んでみましょうよ。
(執筆:小田敏弘先生/数理学習研究所所長)

 こんにちは、ポイントを集めて景品をもらうのが好きな小田です。例によって、別に景品そのものがそこまで欲しいわけではなかったりするのですが。何でしょうかね、達成感みたいなものはあるような気がします。普段コツコツためたものが、形になるとうれしいというか。交換期限の直前になって無理にたくさんポイントを集めたりしていると、夏休み最終日に宿題を一生懸命やる子どもたちと同じだな、と感じてしまうこともありますよね。
 さて、今回は計算の問題です。「パズル」というほど難しくはない問題ですので、まずは気軽にチャレンジしてもらえれば、と思います。
 それでは早速行ってみましょう。

Stage51:計算力を鍛えよう

例題

 図のなかから、たしてちょうど10になる数字のペアを2組さがしてください。

例題の答え

 3と7、4と6

 問題の意味は大丈夫でしょう。ペアは、隣同士でなくても構いません。
 最初はまず、温かく見守ってあげてください。6個のうち2個の数の選び方は、全部で15パターンなので、すべて調べていっても大した分量ではないでしょう。「同じものを使っていい?」という質問が出てくることがありますが、「使いたければ使っていい」という返答で大丈夫です。もちろん、実際には片方が同じ数だと相手も同じ数になり、「同じペア」になってしまうため、同じ数字を使うことはあり得ないのですが、そういったことも含めて、やっているうちに自分で気づいてくれたらいいな、と思います。
 答えを出したら、計算してみてあげてください。たして10になっていれば正解で、10になっていなければ「これだと~~になるよ」と指摘してあげましょう。

解いてみよう

 それぞれの図のなかから、たして決められた数になる数字のペアをさがしてください。

解答

(1)2と8、1と9  (2)4と7、5と6  (3)5と7、3と9  (4)5と8、6と7
(5)5と9、6と8  (6)7と8、6と9  (7)4と16、5と15、8と12
(8)14と16、13と17、12と18  (9)22と28、14と36、19と31

さんすう力UPのポイント

 いきなりの宣伝で恐縮ですが、拙著『東大脳さんすうドリル』をこの3月、『東大脳さんすうドリル 計算編』としてリニューアルいたしました。2013年に上梓したこのドリル、長らくご愛顧いただけているようで、こちらとしてもとてもうれしく思います。
 そのドリルの中でも主張していることなのですが、計算力をつけていこうとしたとき、一番大事なことは、やはり「数や計算に対するイメージを豊かにしていく」ことです。「数」や「計算」という概念の背景には、一般的に考えられている以上に奥の深い世界が広がっています。計算力をどうやってつけていくか、という話に対して、「質か量か」という議論はよく出てきますが、まずはその「数」「計算」というものについて、多様な側面から見る経験が重要だ、というのが私なりの結論です(その意味では、見るべき側面から見る、という意味での「質」と、なるべくたくさんの視点から見る、という意味での「量」と考えると、「質も量も」という月並みな結論ではあるのですが)。
 今回の問題にも、解いていく中で数や計算に対していろいろな側面から触れあってほしい、という想いがあります。たとえば、例題の説明でも書いたように、「ペアのうちの片方が共通でもう片方が異なれば、和は異なる」というのも、「足し算」に対する理解のひとつでしょう。ほかにも、「3と8で11になるなら、片方を1増やして反対にもう片方を1減らして、4と7でも11になるな」と考えたり、「3と8で11なら、片方を1増やした4と8だと和も1増えて12になるな」ということに気づいたり。2桁の足し算になってくると、たとえば「17+3」を「10+(7+3)」ととらえることができますね。
 数の計算をしていく中で、そういった様々な視点に気づき、いろいろなものを感じ、自分なりの「数」や「計算」に対する理解を積み上げることが、「計算力」を鍛えていくうえで一番重要なことです。そうやって、数や計算に対するイメージを豊かにしてほしい、というのが今回の問題のねらいです。


 いかがでしょうか。

 そういえば、今の季節は修学旅行シーズンのひとつのようですね。私の見ている子たちも、今年は該当する学年の子が多く、準備だなんだとあわただしい日々を送っているようです。私の修学旅行の思い出はというと、正直なところ、ずいぶん昔のことなのであまり覚えていません。断片的に記憶はあるのですが、これといった印象に残るエピソードがあったわけではない、という感じです。別に悪い思い出があるわけでもないので、普通に楽しんだのだと思います。そういえば、いわゆる「龍のついた剣」のキーホルダーは買った記憶がありますね。大人になっていろんなところに出かけ、自分でお土産を買うようになれば、そういうものはどこにでも売っているということに気づきますが、まだ旅行慣れしていない子どもの時分だと、「かっこいい!」「見たことない!」から「買わなきゃ!」となってしまうのかもしれません。まあ、そういったことも含めて、みんな楽しんで来てくれればいいな、と思います。

 それではまた来月!

文:小田 敏弘(おだ・としひろ)

数理学習研究所所長。灘中学・高等学校、東京大学教育学部総合教育科学科卒。子どものころから算数・数学が得意で、算数オリンピックなどで活躍。現在は、「多様な算数・数学の学習ニーズの奥に共通している“本質的な数理学習”」を追究し、それを提供すべく、幅広い活動を展開している(小学生から大人までを対象にした算数・数学指導、執筆活動、教材開発、問題作成など)。

公式サイト:http://kurotake.net/

主な著書

まだZ会員ではない方

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