子どもと楽しむ料理の科学
混ぜるだけ! カラフルラムネ菓子
2019.6.27
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「科学する料理研究家」平松サリーさんが、料理に役立つ知識を科学の視点から解説します。お子さまと一緒に科学への興味を広げていきましょう。
ひんやり? しゅわしゅわ! ラムネ菓子の不思議
主な原料は3つ
一般的なラムネ菓子のおもな原材料は、ブドウ糖、コーンスターチ(または馬鈴薯などのデンプン)、クエン酸の3つ。クエン酸は、柑橘類や梅干しなどに多く含まれる酸の仲間で、レモンのような酸味があります。これらのほかに色素や香料を加えて色や香りをつけているものもあります。
ラムネ菓子のひんやり感を作り出しているのは「ブドウ糖」という糖の仲間で、果物やはちみつに含まれる甘味成分の一つです。果物やはちみつにはこれ以外にも「果糖」という糖が含まれています。また、上白糖やグラニュー糖、三温糖などのいわゆるお砂糖は「ショ糖」と呼ばれる糖が主成分になっています。
さて、このブドウ糖には「水に溶けるときに周囲の熱を吸収する」という性質があります。ラムネを口に入れると、唾液に含まれる水分にブドウ糖が溶けるので、このとき口の中の熱を奪ってひんやり感じるというわけです。ショ糖も少しだけ熱を吸収するのですが、重さあたりの熱吸収量で比較するとブドウ糖はショ糖の約3倍の熱を吸収するため、よりひんやりと感じます。
ちなみに、飴やガムなどに使われるキシリトールという甘味料は、溶けるときにブドウ糖の約2.5倍もの熱を吸収するので、一層ひんやりします。
では、しゅわしゅわするのはなぜでしょうか。しゅわしゅわするタイプのラムネには、先ほどの3つの原材料に加えて「重曹(炭酸水素ナトリウム)」が使われています。重曹は、クエン酸と一緒に水に溶かすと、化学反応を起こし、二酸化炭素という気体を発生させます。これによって、ぶくぶく泡が立ち、口の中でしゅわしゅわと感じられるのです。
また、この反応が起こる際にも、ブドウ糖が溶けるときに熱を吸収したのと同じように、周囲の熱を吸収します。そのため、しゅわしゅわ感と同時にひんやり感も感じるはずです。
ラムネ菓子を作る際、ブドウ糖が手に入らない場合は、粉砂糖で代用することもできます。粉砂糖の主成分は、普通の砂糖と同じショ糖なので、ブドウ糖を使ったときのようなひんやり感は感じられませんが、重曹を使ったしゅわしゅわラムネにすると、クエン酸との化学反応によってひんやりするのでオススメです。
ラムネ菓子がひんやり、しゅわしゅわするのは…… 「ブドウ糖が溶けるとき」と「重曹とクエン酸が反応するとき」に口の中の熱を奪い、同時に二酸化炭素の泡が発生するから! |
作り方/レシピ
用意するもの
すり鉢、すりこぎ、粉ふるい、ボウル、バターナイフ、クッキングシート
型:小さめのクッキー型や計量スプーン。
小さじの半分量(2.5ml)の計量スプーンがあるとちょうど良いです。
※クエン酸や重曹はスーパーまたはドラッグストアで購入できます。掃除用のものと食用のものがあるので、必ず食用のものを使用してください。ブドウ糖はドラッグストア、食用色素はスーパーの製菓コーナーなどで購入できます。
1.粉を混ぜ合わせる
ボウルにブドウ糖、コーンスターチ、クエン酸を入れてさっと混ぜる。
4.乾燥させる
型から外し、クッキングシートなどの上に載せてしばらく乾燥させたらできあがり。
できたては、口に入れた瞬間ほろっと崩れてスッと溶けるソフトな食感、1日ほど乾燥させると、カリッとかみごたえのある食感に変わります。
プラス知識! 重曹で炭酸ジュースも作れます!
7/25(木)更新の次回では、「卵の黄身だけ固めるには…」について、科学の視点から解説いたします。お楽しみに!
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プロフィール
科学する料理研究家、料理・科学ライター
平松 サリー(ひらまつ・さりー)
科学する料理研究家、料理・科学ライター。京都大学農学部卒業、京都大学大学院農学研究科修士課程修了。生き物がつくられる仕組みを学ぼうと、京都大学農学部に入学後、食品科学などの授業を受けるうちに、科学のなかに「料理がおいしくできる仕組み」があることを知る。大学在学中に、科学をわかりやすく楽しく伝えたいとブログを始め、2011年よりライター、科学する料理研究家として幅広く活躍している。著作には『おもしろい! 料理の科学 (世の中への扉)』(講談社)などがある。