小田先生のさんすう力UP教室

数のセンスを身につけよう2

さんすう力を高めるにはどうしたらいいの? まあ、そんなに難しく考えないで、まずはお子さまと一緒に問題に取り組んでみましょうよ。
(執筆:小田敏弘先生/数理学習研究所所長)

こんにちは、最近グルメ漫画を読みだした小田です。そういえば、令和の目標として「餃子を作れるようになる」というのを考えていたりもしたような気がしますが、今のところおいしい餃子を食べるくらいしかしていないような気もします。まあ、令和はまだまだ始まったばかりですし、気長に行こうと思います。

さて、今回は計算の迷路です。ルールとしては難しくないと思いますので、まずはお気軽に挑戦してみてください。

それでは早速行ってみましょう。

Stage58:数のセンスを身につけよう2

例題

下のような迷路があります。答えが15より大きくなるところだけを通って、スタートからゴールまで進んでください。(ちょうど15になるところは通れません。)

例題の答え

問題の意味はいいでしょう。迷路なので、もちろん、分岐もあれば行き止まりもあります。もしお子さんが先に進めなくてとまどっているようであれば、「別の道も探してみよう」と声をかけてあげればいいでしょう。あとは、温かく見守ってあげてください。

ゴールまでたどりついたら、通ったマスの計算が、それぞれいくらになっているか確認してあげてください。通ったすべてのマスの答えが15より大きくなっていれば、正解です。もし、答えが15以下になるところを通っていたら、「ここは通れないよ」と伝えてあげてください。

解いてみよう

下のような迷路があります。それぞれ、答えが決められた数より大きくなるところだけを通って、スタートからゴールまで進んでください。

解答

さんすう力UPのポイント

小学校低学年のうちにどういった算数の学習をするのか、というのは、結構難しい問題だと思います。学校でやるような単純な計算ではあまり困っていないけれども、かといって、先取り学習をさせても難しくてうまく進まない、というのは、よくある状況でしょう。実際、小学校低学年のうちは、抽象的だったり複雑だったりする概念が理解できることも少ないので、先取り学習をするのはなかなか難しいことも多いです。そして、「わかること」が少ない以上、「できる学習」の幅もそこまで広いものではありません。それでは、その「わかること・できること」がまだまだ少ない時期に、どういった学習をすすめていけばいいのでしょうか。

その疑問に対するひとつの答えは、「数や計算に対するイメージを豊かにしていく」ことです。数や計算は、“算数”“数学”の入り口です。その奥には、本来豊かな世界が広がっています。単純な計算ができていたとしても、それで“数”や“計算”というものを完全に理解しているわけではないのです。もちろん、それが悪いことだと言いたいわけではありません。そもそも、それらについて小学校低学年のうちに“完全に理解”することは不可能です(というより、大人にだって難しいことでしょう)。ここで言いたいことは、とくに小学校低学年のうち、学校での学習に余裕があるのであれば、もっと“数”や“計算”についての理解を深めていく余地は実はまだまだありますよ、ということです。

いろいろなシチュエーションでいろいろな計算をしてみると、どれも少しずつ様子が違うことに気づきます。足し算ひとつ取ってみても、2つの数を単純に足すときと、3つの数を足すときでは、雰囲気が少し違います。決められた和になるように足すときもあれば、同じ数ずつ足していくときもあります。(ちなみに、そういった学習を重点的にやるには、計算のパズルなどもひとつの方法でしょう。手前味噌ですが、拙著『東大脳さんすうドリル 計算編』はそれを意図して作っています。)

今回の問題は、「足した答えのだいたいの大きさを考える」というものです。もちろん、正確に計算して通れる・通れないを判別してもいいのですが、正確に計算せずに“だいたい”で通れる・通れないを判断しても、迷路を進んでいくことができます。だいたいの大きさを考えるときと、きちんと正しい値を出すときでは、脳の違った部分を使うでしょうし、数・計算の違った側面を見ることもできるでしょう。そうやって、数や計算をいろいろな側面から見る機会を増やし、それらに対するイメージを豊かにし、理解を深めていってほしい、というのが、今回の問題の狙いです。


 いかがでしょうか。

毎年年末になると思うのですが、1年というのはあっという間に過ぎてしまいますね。ただ、思い返してみれば、今年も去年とはまた違う1年にはできた気がしますし、それはそれでいろいろと成長があったのかな、とも思います。今年できなかったこともまだまだたくさんありますが、来年はそのうちの一部でもできればいいな、と思っています。

それではまた来年!

文:小田 敏弘(おだ・としひろ)

数理学習研究所所長。灘中学・高等学校、東京大学教育学部総合教育科学科卒。子どものころから算数・数学が得意で、算数オリンピックなどで活躍。現在は、「多様な算数・数学の学習ニーズの奥に共通している“本質的な数理学習”」を追究し、それを提供すべく、幅広い活動を展開している(小学生から大人までを対象にした算数・数学指導、執筆活動、教材開発、問題作成など)。

公式サイト:http://kurotake.net/

主な著書

まだZ会員ではない方

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