小田先生のさんすう力UP教室

積み木の数を数えよう

さんすう力を高めるにはどうしたらいいの? まあ、そんなに難しく考えないで、まずはお子さまと一緒に問題に取り組んでみましょうよ。
(執筆:小田敏弘先生/数理学習研究所所長)

こんにちは、今年の目標も「健康的な生活」に決めた小田です。かれこれ4年目ですよね、この目標。そういえば2019年11月号「いろんな形を作ってみよう」あたりで「ラジオ体操を始めた」みたいなことを書いたかと思いますが、なんと、断続的にではありますがまだちょくちょく続けています。これは頑張って続けていきたいと思います。あとは、筋トレしてお腹周りをすっきりさせていければいいな、とも思います。

さて、今回は積み木の個数を数える問題です。今回も、ルールとしては難しくないと思いますので、まずはお気軽に挑戦してみてください。

それでは早速行ってみましょう。

Stage59:積み木の数を数えよう

例題

(ア)の積み木を使って(イ)の形を作るには、何個必要でしょう(ただし、積み木はすきまなく積んであるものとします)。

 

例題の答え

8個

問題の意味はいいでしょう。まずは自由にやらせてあげてください。
見えていないところを数えていなさそうな場合は、「隠れている積み木もあるよ」と伝えてあげてください。
立体をイメージするのが難しそうな様子なら、積み木やサイコロなどで実際に形を作ってみるといいでしょう。
お子さんが自分で作ることができれば自分で作ってもらってもいいのですが、それが難しい場合は、まず保護者の方が作ってあげてください。
立体が完成したら、最初はそのまま崩さずに数えてみるのがいいでしょう。
数えていくのが難しかったり、なかなか数が合わなかったりするときは、まず「どうやったらうまく数えられるかな?」と聞いてみます。
なかなかアイディアが出てこなかったり、答えが合わなかったりする場合は、作った立体を崩したり戻したりして数えても大丈夫です(崩したり戻したりが難しそうなら、その部分は手伝ってあげても大丈夫です)。

解いてみよう

次の(1)~(8)の形は、それぞれ(ア)の積み木を何個使えば作ることができるでしょう(ただし、積み木はすきまなく積んであるものとします)。

解答

(1) 6個  (2) 8個  (3) 8個  (4) 10個  (5) 14個  (6) 11個  (7) 14個  (8) 20個

さんすう力UPのポイント

今回のような「積み木の数を数える」問題は、小学校低学年の算数の学習ではおなじみの問題のひとつでしょう。場合によっては、就学前から取り組んでいるお子さんもいらっしゃるかもしれません。
こういった問題を解いてもらう目的のひとつとして、「立体図形に慣れる」ということはもちろんあるのですが、実はこの問題にはもうひとつ重要なテーマがあります。
それは、「物の個数を数える」練習をする、というものです。

「算数」の学習を続けていくと、そのうち名前が「数学」になります。数学は「数について学ぶ」と書きますが、その「数」はもちろん、物の個数を「数える」ところから出発しています。その意味では、「物の個数を数える」というのは、最も原始的な「数学との出会い」であるということもできるでしょう。
とはいえ、原始的だからと言って、それほど単純・簡単なものではありません。実際に今回の問題でも、なかなか1回では正解できない子は多いです。しかし、なかなかうまくいかない、ということは、逆に言えばそこには「うまく数える」ための工夫の余地がたくさんあるということです。そうやって、「簡単にはいかないことに対して、頭を使って工夫をする」ということこそ、「数学」の原点なのです。

具体的にどういった工夫をするのか、というのは、もちろん正解はありません。オーソドックスなものとしては、段ごとに分けて数える、という方法はあるでしょう。ほかに、縦に分けて見て「3個のところが〇箇所、……」とやっていく方法もあります。そういった一般的なアイディアでなくても、たとえば今回の問題なら「(6)は(4)に1個足した形だから、(4)より個数が1個多いはず」というのも、とてもよい発想です。もちろん、なかなかアイディアを出せなくて困っている場合は、いくつか具体的に提示して助けてあげるのは大事なのですが、たとえうまくないアイディアだとしても、子どもが子どもなりに考えて何かをしているのであれば、そのこと自体にとても価値があります。それはまさに「数学」の入口に立った、ということなのですから。
「物の個数を数える」というのは、原始的でありながら、難しく、奥の深いテーマです。その「難しさ」に「知恵」を使って立ち向かう経験、「数学」する経験を積んでほしいなというのが、今回の問題の狙いです。


いかがでしょうか。
いよいよ本格的に受験シーズンになってきましたね。中学受験はもうすぐクライマックス、大学受験もセンター試験が行われました。高校受験も、じきに入試が始まっていくでしょう。この時期に毎年思うことは、どの段階であっても「受験生」って本当にすごいな、ということです。自分にも「受験生」だった時期はあるので、手放しに持ち上げるのも何か違う気はするのですが、しかし大人になって「受験生」を客観的に見ていると、そのエネルギーや成長速度には驚かされてばかりです。もちろん、オトナから見るとまだまだ足りない部分はたくさんあるのですが、だからこそ逆に、一生懸命もがき、少しずつ成長していく姿が美しいのだと思います。受験がうまくいくことを陰ながら祈ってはいますが、それよりも何よりも、どういう結果がでたとしても、その先の人生が豊かになっていくだろうということは確信しています。保護者の方々も、どこかのタイミングで「受験生の保護者」になる機会があるとは思いますが、その際はお子さんの成長を温かく見守ってあげてください。

それではまた来月!

文:小田 敏弘(おだ・としひろ)

数理学習研究所所長。灘中学・高等学校、東京大学教育学部総合教育科学科卒。子どものころから算数・数学が得意で、算数オリンピックなどで活躍。現在は、「多様な算数・数学の学習ニーズの奥に共通している“本質的な数理学習”」を追究し、それを提供すべく、幅広い活動を展開している(小学生から大人までを対象にした算数・数学指導、執筆活動、教材開発、問題作成など)。

公式サイト:http://kurotake.net/

主な著書

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