東大料理愛好会レシピ
旨味たっぷりの貝を手軽に! あさり【最終回】
2020.3.12
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東大料理愛好会のメンバーが毎月1つずつ食材を取り上げ、旬の食材のレシピをご紹介します。
今月のテーマは「あさり」
3月のテーマはあさり。和食では酒蒸しやしぐれ煮、海外でもボンゴレやパエリアなどシーフードを使った料理ではおなじみで、まさに二枚貝の代表格といえる食材です。 日本に数多く存在する、縄文時代に作られた貝塚からは、あさりの貝殻がよく出土するようです。あさりは日本の歴史に深く根ざした食材なんですね。 また、あさりは実は海を綺麗にする役割をもっています。あさり1個(10g)あたり1時間に1リットル程の水をろ過する効果があり、10個のあさりでお風呂一杯分の水を24時間でろ過できる計算になるそうですよ。 今月はそんなあさりを使った丼物と、スープをご紹介しようと思います。 1品目はあさりの卵とじ丼です。水煮缶を使うことで、あさりの旨味がたっぷり詰まった汁まで無駄なくいただけて、とても美味しかったです。しょうゆやさとうといった和食定番の味付けは食べていてホッとしますね。卵とじの丼といえばやはりカツ丼や親子丼が浮かびますが、あさりはさっぱり優しい味わいで、簡単に作れるので、朝食にしてもよいのではないかな、と思いました。 2品目は、みそでコク旨・クラムチャウダーです。隠し味にみそを入れては塩辛いのではないかと思いましたが、グッとコクが出るだけでなく、味がまとまります。ご家庭でお試しの際は、みその種類をいろいろと変えてみてもおもしろいかもしれませんね。 執筆:萩原 東京大学2年 |
主食 あさりの卵とじ丼
材料4人分(画像は1人分)
あさり水煮缶・・・・・固形量200g
酒・・・・・・・・・・大さじ4
水または水煮缶の汁・・160cc
卵・・・・・・・・・・4個
玉ねぎ・・・・・・・・1個
★しょうゆ・・・・・・大さじ4
★みりん・・・・・・・大さじ4
★さとう・・・・・・・大さじ4
小ねぎ・・・・・・・・飾りとして
作り方/レシピ
(1)玉ねぎを薄切りにする。
(2)あさり水煮缶を固形と液体にわける。液体が160ccに足りない場合は、水を足す。液体と酒、玉ねぎを合わせる。
(3)卵を粗めに溶いておく。
(4)★を合わせる。
(5)(2)と(4)を小さめの鍋で中火で一煮立ちさせ、火を弱める。
(6)水分が半分程度になり、玉ねぎに色がついてきたら卵を回しかけて蓋をする。卵白が白っぽくなったら、火から下ろす。
(7)どんぶりにご飯をよそい、(5)をかけて小ねぎを散らして完成。
レシピのポイント!
・(3)で卵を粗く溶くことで、まとまりのいい卵とじになります。
汁物 みそでコク旨・クラムチャウダー
材料4人分(画像は2人分)
あさり水煮缶・・・・・・・固形量150g
じゃがいも・・・・・・・・1個
玉ねぎ・・・・・・・・・・1/2個
ベーコン・・・・・・・・・2パック
牛乳・・・・・・・・・・・1200cc
コンソメ・・・・・・・・・大さじ1
みそ・・・・・・・・・・・大さじ1
塩・・・・・・・・・・・・少々
有塩バター・・・・・・・・20g
生パセリ・クラッカー・・・飾りとして
作り方/レシピ
(1)あさり水煮缶の水を切っておく。
(2)じゃがいもは皮を剥き1㎝角、ベーコンは1㎝幅に切り、玉ねぎは薄切りにする。
(3)有塩バターで(2)を中火で炒める。
(4)玉ねぎが透き通ってきたら、あさり・牛乳・コンソメを加えて加熱する。
(5)じゃがいもがやわらかくなってきたら火を弱め、みそを溶かし入れて塩で適宜調味する。
(6)器に盛りつけ、生パセリ・クラッカーをそえて完成。
レシピのポイント!
・みそを最後に入れることで風味を最大限に楽しめます。
レシピ開発裏話
今回のテーマはあさりです。下ごしらえに時間がかかるという印象をおもちの方も多いと考え、今回はあさりの水煮缶を使った二品を提案します。
1品目はあさりの卵とじ丼です。
親子丼やカツ丼など、丼物が好きなお子さまも多いのではないでしょうか?お米がたくさん食べられるので、育ちざかりのお子さまにはもってこいですよね。親御さんにとっても、洗い物が少なくて済む点で重宝するのではないかと思います。今回のレシピは缶を汁ごと使うことで、出汁の染みた卵とじを簡単に作ることができてオススメです。
2品目は、みそでコク旨・クラムチャウダーです。
隠し味のみそはスープにコクやまろやかさを与えるだけではなく、あさりの生臭さの原因である「トリメチルアミン」を吸着し、旨味を引き立てる効果があると言われています。今回はみそを最後に加えて風味を残すレシピにしましたが、臭みを取ることを優先するならば初めからみそを加えて煮込むとよいでしょう。
余談ですが、あさりの水煮缶の汁で炊いたお米は茶飯のようでとても美味しいですよ。ぜひ捨てずにご活用くださいね。
今回をもって本連載は終了となります。東大料理愛好会としては3年間、私は責任者として1年間本連載に携わってまいりました。少しでも読者さまの食育の一助を担うことができていたらとても光栄です。ありがとうございました。
執筆:佐々木 東京家政大学3年
*この記事で紹介しているレシピはアレルギー対応はしておりません。アレルギーをお持ちの方はご注意ください。
Z会より
2017年から約3年にわたり、手軽でおいしいレシピを紹介してきた本連載は、今回で最終回となります。掲載レシピ数はなんと74種類!過去の連載もこちらからご覧いただけますので、気になるものはぜひ作ってみてくださいね。
ご愛読ありがとうございました。
東京大学料理愛好会
東京大学を中心に、さまざまな大学・専門学校に通うメンバーで構成されている。都内のキッチンスタジオで週に1度調理実習を行い、腕を磨く。
最近では、NHK総合テレビ『あさイチ』にメンバーが出演したり、大手回転寿司チェーンかっぱ寿司にメニュー提供など積極的に活動。
著書に『東大料理愛好会 頭がよくなるレシピ』など。