小田先生のさんすう力UP教室

計算力を鍛えよう

さんすう力を高めるにはどうしたらいいの? まあ、そんなに難しく考えないで、まずはお子さまと一緒に問題に取り組んでみましょうよ。
(執筆:小田敏弘先生/数理学習研究所所長)

 こんにちは、最近入浴剤を使うようになった小田です。正直に言うとどれくらい効果があるのかはよくわからないのですが、とりあえずいい匂いがしてシュワシュワと泡が出ているとなんだか癒されるような気がしないでもありません。このご時世、なかなか温泉には行けないですしね。いろいろと落ち着いたらぜひ行きたいと思っているのですが。
 さて、今回は計算のパズルです。何枚かのカードから決められた枚数を選び、決められた和にする問題です。枚数が多くなったり数が大きくなったりすると意外と難しいのですが、まずは気軽にチャレンジしてみてください。
 それでは早速行ってみましょう。

Stage4:計算力を鍛えよう

例題

下の6枚のカードのなかから3枚を選び、書かれている数の和がちょうど10になるようにしてください。

例題の答え

1と3と6

問題の意味は、大丈夫でしょうか。「和」は「あわせた数」と説明してあげてください。
基本的にはまずお子さんの好きなようにさせてあげればいいでしょう。何をしていいのかわからなくて止まってしまっている場合には、「例えば、1と2と3を選ぶと、あわせていくらになる?」と聞いてあげてください。「6」と答えられたら、「そういう感じで、あわせて10になるものを探してごらん」と伝えましょう。
試行錯誤する過程で、書いたり消したりが大変そうな場合は、実際に数字の書かれた紙を用意するのも有効です。
お子さんが答えを見つけたら、まずは「この3枚でいくらになる?」と聞いてあげてください。「10」という答えが返ってくると思いますが、本当に10になっていたら正解です。なっていなかったら、「惜しい!〇〇になっているよ」と伝えてあげましょう。

解いてみよう

それぞれのカードのなかから決められた枚数を選び、書かれている数の和がちょうど決められた数になるようにしてください。

Level 1

(1)下の5枚のカードのなかから3枚を選び、書かれている数の和がちょうど10になるようにしてください。

(2)下の6枚のカードのなかから3枚を選び、書かれている数の和がちょうど10になるようにしてください。

(3)下の6枚のカードのなかから3枚を選び、書かれている数の和がちょうど15になるようにしてください。

Level 2

(4)下の5枚のカードのなかから3枚を選び、書かれている数の和がちょうど20になるようにしてください。

(5)下の6枚のカードのなかから3枚を選び、書かれている数の和がちょうど30になるようにしてください。

(6)下の7枚のカードのなかから4枚を選び、書かれている数の和がちょうど30になるようにしてください。

Level 3

(7)下の7枚のカードのなかから3枚を選び、書かれている数の和がちょうど50になるようにしてください。

(8)下の8枚のカードのなかから3枚を選び、書かれている数の和がちょうど100になるようにしてください。

(9)下の8枚のカードのなかから4枚を選び、書かれている数の和がちょうど100になるようにしてください。

解答

Level 1

(1)2と3と5 (2)1と4と5 (3)2と6と7

Level 2

(4)4と7と9 (5)8と9と13 (6)3と6と8と13

Level 3

(7)12と14と24 (8)18と35と47 (9)6と15と27と52

さんすう力UPのポイント

「計算力を鍛えたい」と思っている人は多いでしょう。しかし、やみくもに計算ドリルをこなせば計算力がついていくかというと、そういうわけでもありません。本当に計算力を身につけるためには、そもそも計算力とは何なのか、を考える必要があるでしょう。計算力とひとくちに言っても、その中には様々な要素が含まれるからです。私自身も、いろいろと「計算力」について考えてきたわけですが、その中で、とりわけ大事な要素のうちの1つだと思っているのは、やはり「数を自由に扱う力」です。
実際の生活や、算数の問題の中でさえ、「この計算をしなさい」という機会はあまり多くありません。それよりも、何かの値を求めたくて計算をしたり、問題を解くために計算したりという場面の方が多いのではないでしょうか。「計算力を身につけたい」と思うとき、それは多くの場合、そういった場面で正確に計算できるようになりたいということでしょう。そうすると、「手順通りに計算できるようになる」という意味での「計算力」だけでなく、「目的に応じて適切な手段を選べるようになる」という意味での「計算力」を身につける必要があるのです。

目的に応じて適切な計算手段を選べるようになる、つまり、数や計算を自在に操れるようになるためには、当然ながら、まず「目的ではなく手段として計算をする」機会を増やすことが重要です。
今回の問題は、その「自由に計算する」ための練習です。3つの合計が10になるようにする、と言われたとき、最も原始的な方法としては、「適当に3つの数を選び、実際に足してみる」というやり方がありますね。もちろん、最初はそうやって地道に探すこともとても大事です。しかし、ある程度慣れてきたのであれば、工夫して考えることもできるでしょう。たとえば例題で、まず「1と2と3」の合計を計算してみたとします。この合計は「6」ですね。そうすると、次に「1と2と4」の合計を考えるとき、「3が1増えて4になったから、合計も1増えて7になるな」と考えることができます。さらに発展させると、「1,2,3で6なら、あと4増やせばいいな」と思い至れば、2を4増やした「1,6,3」という組み合わせはずいぶん見つかりやすくなるはずです。
他にも様々な工夫ができます。2つの数を足しておいて、「残りいくらで目的の数になるか」を考えるのもいいでしょう。1と2で合計が3だから、10にするには残り7必要、という感じです。今回は7がないので、別の「2枚」をまた同じように試していきます。後半の問題のように、出していく数字の桁数が増えたとき、1の位にだけ注目するという方法もあります。
その他にも、いろいろな方法はあるでしょう。いずれにしても、そうやって様々な角度から計算を捉え、場面場面に応じた方法を考えることで、数や計算についての理解を深めていくことも、計算力を身につける上で重要な要素の1つなのです。

算数の問題というと、「正解が決まっていて融通の利かないもの」というイメージをもっている人もいるかもしれません。確かに、算数には「正解か不正解かがはっきりしている」という面はあるでしょう。しかし、その「正解」に至るまでの道のりは、実はとても自由です。それは、「計算」でさえ例外ではありません。その自由を楽しみ、自由に探検できるようになると、その世界の拡がりも楽しめるようになってきます。今回の問題でも、そういった数や計算の世界の豊かさ・奥深さを感じ取ってくれるといいな、と思います。


 いかがでしょうか。
計算力という話で言うと、手前味噌で大変恐縮ではあるのですが、私自身も『東大脳さんすうドリル 計算編』というものを出させていただいております。こちらでもだいたい似たようなことを書いてはいるのですが、やはり1番大事なことは数や計算と仲良くなることだと思います。数や計算で遊び、数や計算と遊ぶことで、数や計算に対する理解が深まるのです。興味がありましたらぜひよろしくお願いいたします。

 それではまた来月!

文:小田 敏弘(おだ・としひろ)

数理学習研究所所長。灘中学・高等学校、東京大学教育学部総合教育科学科卒。子どものころから算数・数学が得意で、算数オリンピックなどで活躍。現在は、「多様な算数・数学の学習ニーズの奥に共通している“本質的な数理学習”」を追究し、それを提供すべく、幅広い活動を展開している(小学生から大人までを対象にした算数・数学指導、執筆活動、教材開発、問題作成など)。

公式サイト:http://kurotake.net/

主な著書

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