子どもと楽しむ料理の科学

グルテンって何? 小麦粉の特別な性質と手作りうどん

「科学する料理研究家」平松サリーさんが、料理に役立つ知識を科学の視点から解説します。お子さまと一緒に科学への興味を広げていきましょう。

もちもちうどんを作ってみよう

小麦粉に水を加えてこねると、粘り気と弾力のある生地になります。これは、小麦に含まれる2種類のタンパク質が結びつき「グルテン」という構造ができるためです。この性質によって小麦はパンや麺類、お菓子など、世界中で幅広く使われてきました。
例えば、小麦粉に塩やイーストなどを加えてこねたものを発酵させると、ゴム風船のようによく伸びてふくらみ、ふっくらとしたパン生地が出来上がります。うどんやそうめんなどの麺類を作る際にも、生地の伸びや仕上がりの“コシ”に、グルテンが影響を与えています。
今回は手作りうどんのレシピとともに、グルテンの性質や小麦粉の種類と使い分けについて紹介します。お子さんと一緒にうどんをこねながら、小麦粉の不思議な性質について考えてみましょう。

グルテンと小麦粉生地の性質

小麦粉生地の粘り気や弾力のもとになるグルテンは、「グルテニン」という細長いバネのような形をしたタンパク質と「グリアジン」という粒状のタンパク質からできています。グルテニンに水を加えると、バネの両端が他のグルテニンと結びついて連結し、より長いバネを作ります。また、バネの中ほどの部分も他のグルテニンとゆるく結びつくので、生地をこねるうちにこれらが何重にも重なり合って網目のような構造ができあがります。この網目の間に粒状のグリアジンが入り込んでできるのがグルテンです。

グルテンの特徴は、力が加わると形を変える柔軟性と、力に反発して戻ろうとする弾性の両方を併せ持つことです。小麦粉で麺や餃子の皮を作る際、手やめん棒で強い力を加えれば薄く押し伸ばすことができますが、できた生地や麺を手に持っても、弾力があるので重力に負けて伸びきってしまうことはありません。パン作りでは発酵で発生したガスによって、生地が内側から押されて風船のように膨らみますが、弾力があるので伸びすぎて破れてしまうことはないのです。

グルテンの弾性を生み出しているのはバネ状のグルテニンです。バネを引っ張って伸ばした後、手を離すと縮むように、グルテニンのバネもゆっくり戻ろうとする性質があります。

一方、柔軟性を助けているのは粒状のグリアジンです。生地に力を加えると、網目がずれて動いたり、バネが伸びたりすることで生地が伸びたり広がったりするのですが、グリアジンはグルテニンの網目の間に挟まって、バネ同士がくっつくのを防ぎ、動きやすい状態にしています。

生地をよくこねる理由

うどん作りでもパン作りでも、生地をしっかりとこねる工程が重要です。

「こねる」と一口に言っても、小麦粉の生地をこねるのと、ハンバーグなどの肉ダネをこねるのとでは手の動かし方がずいぶん異なります。ハンバーグなどの肉ダネは、手で握るようにこねますが、小麦粉の生地をこねる場合は、伸ばして折りたたむ、という操作を繰り返しましょう。

生地を伸ばすと、くしゃくしゃになっていたグリアジンが引き伸ばされて平行に並びます。これを折りたたんで再び伸ばして、という作業を繰り返すと、規則的に並んだグリアジンのバネが何重にも重なって細かい網目状になり、キメの細かいなめらかな生地になります。

グルテンの網目構造はうどんの骨組みとなる重要な要素。これが細かく均一にできていると、コシのある食感の良いうどんになるのです。

グルテンとは……

小麦に含まれるグルテニンとグリアジンの2種類のタンパク質が結びついてできていて、うどんのコシのある食感を生み出しているもの!

作り方/レシピ


手打ちうどんでぶっかけうどん

 

■材料(2人分)
中力粉 200g(または薄力粉100g+強力粉100g)
塩 5g
水 90mL
打ち粉(または片栗粉) 適量(大さじ2程度あればOK)

刻みネギ、揚げ玉、レモンなどお好みの薬味
めんつゆ

 

1.材料を混ぜる

塩を水に溶かし、塩水を作る。大きめのボウルに小麦粉を入れ、塩水を半量加えてスプーンで手早く混ぜる。さらに残りの塩水を加えてなじませるように混ぜる。粉に水がなじんでぼろぼろとした状態になったら、手のひらで生地に体重をかけて押さえるようにして、生地を団子状にまとめる。

 

2.生地をこねる

厚手のビニール袋(大きめのチャック付きポリ袋など)に生地を入れ、足で小刻みに踏んで平たく伸ばす。5分ほど踏んだら伸びた生地を三つ折りにして再び踏む。これを3〜4回繰り返す。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

3.生地を寝かせる

生地を丸め、乾かないようにビニール袋に入れて1〜2時間程度寝かせる。
生地を指で押して、跡が少し残るくらいになったらOK
(こねてすぐはグルテンの弾力が強いので、指で押しても跡が残りませんが、しばらく寝かせると弾力が弱くなり跡が残るようになります)

 

 

 

 

4.生地を伸ばす

台に打ち粉をふって生地をのせ、生地にも打ち粉をふる(キッチンの作業台やテーブルの上に製パン用のマットを敷くか、ラップを敷いて作業すると衛生的で片付けも簡単です)。
めん棒で3〜4mm厚さに伸ばす。このとき、生地を90度ずつ回しながら伸ばすと四角く伸ばすことができる。

 

 

 

5.生地を切る

生地の両面に打ち粉を振り、屏風だたみにする。
まな板に打ち粉を振って生地をのせ、生地の上から打ち粉を多めに振る。包丁で2〜3mmの太さに切る(ゆでると太くなるので、細めに切ります)。
切り終えたら麺を軽く振ってほぐしながら打ち粉を払う。

 

 

 

 

6.ゆでる

鍋に2リットル以上の湯を沸かし、沸騰したら麺を入れる。菜箸で軽くほぐしたらふきこぼれないように火加減を調節し、10分程度ゆでる(麺の太さや好みによってもゆで時間は前後するので、途中で1本取り出して味見をしながら加減してください)。

7.仕上げ

麺がゆで上がったらざるにあげ、流水でよく洗う。水気を切って器に盛り、好みの薬味とめんつゆをかけて食べる。

小麦粉の種類と用途

小麦粉は、含まれているタンパク質の量によって強力粉、中力粉、薄力粉に分けられます。もっともタンパク質の量が多いのが強力粉。タンパク質が多いということは、その分グルテンも多くできるので、もっちりとしてよく伸びる生地になります。パンやピザ、パスタなどに使われます。

一方、薄力粉はタンパク質の量が少なく、その分グルテンも少なくなります。したがって、ケーキやクッキーなどのお菓子作りや天ぷらの衣に使うとさっくりとした食感に仕上がります。

強力粉と薄力粉の中間程度のタンパク質を含んでいるのが中力粉です。うどん作りには主に中力粉が使われます。中力粉で上手にうどんが作れたら、次は薄力粉や強力粉でもうどんを作って比べてみるとグルテンのはたらきがよくわかります。薄力粉でうどんを作ると、生地に弾力がないので、手で持ったときに重力に負けて麺の形が崩れやすく扱いが少し難しいです。食感はすいとんに近いですね。逆に、強力粉で作ると弾力が強すぎて、こねたり薄く伸ばしたりするのに力がいります。

10/22(木)更新の次回では、「サツマイモが甘くなる加熱のコツ」について、科学の視点から解説いたします。お楽しみに!

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プロフィール

科学する料理研究家、料理・科学ライター

平松 サリー(ひらまつ・さりー)

科学する料理研究家、料理・科学ライター。京都大学農学部卒業、京都大学大学院農学研究科修士課程修了。生き物がつくられる仕組みを学ぼうと、京都大学農学部に入学後、食品科学などの授業を受けるうちに、科学のなかに「料理がおいしくできる仕組み」があることを知る。大学在学中に、科学をわかりやすく楽しく伝えたいとブログを始め、2011年よりライター、科学する料理研究家として幅広く活躍している。著作には『おもしろい! 料理の科学 (世の中への扉)』(講談社)などがある。

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