小田先生のさんすう力UP教室
図形のセンスを鍛えよう
2017.4.27
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さんすう力を高めるにはどうしたらいいの? まあ、そんなに難しく考えないで、まずはお子さまと一緒に問題に取り組んでみましょうよ。
こんにちは、100名城スタンプラリーに挑戦中の小田です。お城っていいですよね。もともとは天守かっこいいなぁ、というところから入ったのですが、最近は城下町を歩くのも好きになってきました。たとえばお城の入口のところは敵がまっすぐ入ってこられないよう、道が曲がりくねっていたりするのですが、その面影をしのばせるような「曲がった道路」を見つけたりすると、テンションがあがります。
さて、今回は図形の問題です。フリーハンドで図形をかいてみよう! というお題なので、「問題」というのとはまた少し違う感じではありますが、これもとても大事な話です。もちろん、正解・不正解というのはありませんので、気軽に挑戦してみてください。
それでは早速問題に行ってみましょう。
Stage26:図形のセンスを鍛えよう
正六角形を、なるべく正確にかいてみてください。
ただし、定規や分度器、コンパスなどの道具を使ってはいけません。
指導のヒント
定規や分度器、コンパスを使わないからといって、ノートの端や鉛筆を定規代わりに使っていい、ということではありません。冒頭でもお伝えした通り、今回の問題は「フリーハンドでかく」というのがテーマです。
もちろん、厳密にかくことが大事ではなく、“なるべく正確に”かいてみよう、と頑張ることそのものが重要です。
「正六角形」をあまり見たことがないお子さまは、実際に「正六角形」の形をしたものを見ながらかいてもかまいません。その際には、「すべての辺とすべての角がそれぞれ等しい六角形」という正六角形の“定義”を天下り的に与えるのではなく、「どんな特徴がある?」と聞いてあげると、より学習が深まるでしょう。
解答
それなりに正確にかけていればOKです。
とくに正解・不正解というのはありませんが、かいてみた図をいろいろな向きに向けて、どの方向から見ても「正六角形」に見えるかどうか、確認してみてください。
「あまり上手くかけていない」ときは、見る方向を変えてみることで、意外とすぐに気づくでしょう。
さんすう力UPのポイント
図形問題を解くとき、すぐにいろいろと思いつく人と、なかなか手がかりが得られない人がいます。その違いはどこにあるのでしょうか。
それは、端的に言ってしまうと、問題に登場している図形の特徴を、どれだけ把握しているか、ということです。
解くために必要な情報が“ことば”で書かれている文章題と違い、図形問題では、図形の中にヒントがあります。つまり、図形として提示された情報は、いちいち言葉では解説してくれません。そのため、自分でその手がかりを見つけていく必要があるのです。
図形の特徴、というのは、学校の授業などでもいろいろと学習はするのですが、聞いたことを覚えていくだけでは、いざ問題を解くときに自由に取り出してこられる、というふうにはならないでしょう。そうなるためには、それらを“感覚的に”きちんと定着させる必要があります。そのための有効なトレーニングが、今回の課題である「フリーハンドで図形をかく」ということです。
たとえば正六角形をフリーハンドでかこうとしてみると、最初はなかなかうまくかけません(最初からうまくかけた人は、とてもセンスがあります)。なんとなくこういう形、と漠然と捉えているだけでは、その図形の特徴をきちんと把握している、とは言えないからです。そこで、もっとよく正六角形を観察してみてください。図1のように「正三角形が6個集まった形」と捉えることもできますし、図2のような隠された長方形を見つけ出すこともできます。図3のように、並べてみたときの様子も、特徴を知るヒントになります。
そうやって、細かいところまで注目し、その特徴を再現し、また元の図形と見比べて、うまくかけているかどうかチェックする、ということを繰り返していけば、その図形の特徴を「感覚的に把握する」ところまでいけるようになるでしょう。
もっと問題
正八角形を、なるべく正確にかいてみてください。
ただし、定規や分度器、コンパスなどの道具を使ってはいけません。
- 解答
正八角形は、図1のように「正方形の角を切り落としたもの」と捉える方法があります(切り落とす位置は、真ん中の残る辺が少し長めになるように)。図2の対角線も、ヒントになります。図3のような向きで捉えるなら、円をイメージするのがいいでしょう。中心角が45度なので、180度の半分で90度、その半分で45度、とやっていくのは、それほど難しくないでしょう。
いかがでしょうか。ぼほ毎回図形がテーマのときには宣伝させていただいているのですが、『東大脳さんすうドリル 図形編(幻冬舎エデュケーション)』というドリルを出させていただいております。図形編だけでなく、無印(計算編)や基礎編も出させていただいているのですが、先日『基礎編』に重版がかかりました! おかげさまで、ご好評いただいているようです。この連載だけでは物足りないな、もっといろいろと問題を解いてみたいな、という方がいらっしゃいましたら、ぜひ『東大脳さんすうドリル』シリーズをよろしくお願いいたします。
それではまた来月!
文:小田・敏弘(おだ・としひろ) 数理学習研究所所長。灘中学・高等学校、東京大学教育学部総合教育科学科卒。子どものころから算数・数学が得意で、算数オリンピックなどで活躍。現在は、「多様な算数・数学の学習ニーズの奥に共通している“本質的な数理学習”」を追究し、それを提供すべく、幅広い活動を展開している(小学生から大人までを対象にした算数・数学指導、執筆活動、教材開発、問題作成など)。 公式サイト:http://kurotake.net/ 主な著書
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