子どもと楽しむ料理の科学

ヨーグルトの力で鶏肉がジューシーに!タンドリーチキン

「科学する料理研究家」平松サリーさんが、料理に役立つ知識を科学の視点から解説します。お子さまと一緒に科学への興味を広げていきましょう。

本格インド料理をご家庭で

タンドリーチキンとは、鶏肉をヨーグルトと各種スパイスに漬け込んで、タンドールという釜で焼いたインド料理。今回紹介するレシピは各種スパイスをカレー粉に、タンドールをオーブンに置き換えて、自宅でも作りやすくアレンジしたなんちゃってタンドリーチキンですが、ヨーグルトの力でお肉がジューシーに仕上がります。

オーブン料理というと、難しそうでちょっと敷居が高いイメージがあるかもしれませんが、スイッチを押したらあとは放っておくだけなので実はとってもお手軽です。鍋にかかりきりになる必要がないので、メイン料理を焼きながら副菜の準備や洗い物ができます。火を使わないのでお子さんにも手伝ってもらいやすいですね。

オーブンで焼いたときの、こんがりとした風味がおいしいので、家にオーブンはあるけどあまり使えていない、という方はぜひこの機会に挑戦してみてください。オーブンがなくてもできる、フライパンで作るレシピも併せて紹介しています。

タンドリーチキン

作り方/レシピ

材料(2人分)
鶏もも肉 1枚(300g程度)
パプリカ 1/2個
ズッキーニ 1/2本
*プレーンヨーグルト(無糖) 大さじ3
*ケチャップ 大さじ1
*カレー粉 大さじ1/2
*にんにくすりおろし 小さじ1
*生姜 小さじ1/2
*塩 小さじ1/2
*サラダ油 大さじ1

※上記の倍量(4人分)で作ると、材料の使い残しがなく作りやすいです。温め直してもおいしいので作り置きにもおすすめ。

1.鶏肉を切る 

鶏もも肉は1枚を4等分に切る。

2.漬け込む 

ポリ袋に*を入れて、外側からもむようにして混ぜる。

鶏肉を加えて軽くもみ、30分〜1日なじませる。

しっかり漬け込んだ方がジューシーでおいしいので、前日のうちに用意しておくのがおすすめ。

ポイント

ヨーグルトは乳酸という酸が豊富。酸性の食品や調味料に肉を漬け込むと、肉の保水性が上がるため、やわらかくジューシーに仕上がります。ヨーグルトの他にも、酢を使ったマリネ液やワインに漬け込むのも同じような効果が期待できます。

また、肉のpHがやや酸性に傾くことで、肉に含まれるタンパク質分解酵素が活発になるという効果もあります。酵素のはたらきでタンパク質の分解が進むため、肉がやわらかくほぐれやすくなったり、うま味が増したりします。

タレをなじませ味をつけるだけなら20分程度の漬け時間でも良いのですが、酸による効果を狙うのであれば数時間〜一晩漬けておくのが望ましいです。前日や当日の朝に手順2か3まで準備しておけば、あとは食べる直前に焼くだけなので忙しい日の夕食にもいいですね。漬けたまま袋ごと冷凍保存しておくのも便利です。冷蔵庫や流水で解凍してから使いましょう。

3.野菜を切る 

パプリカは半分に切って種とヘタを取り除き、2cm幅に切る。

ズッキーニは1cm厚さに切る。

4.焼く
オーブンの天板にクッキングシートを敷き、四隅をねじって汁がこぼれないようフチを作る(オーブン加熱可能な耐熱容器を用意してもよい)。2から鶏肉を取り出し、皮を上にして並べる。
袋に残った漬けダレに3の野菜を入れて絡め、鶏肉の周りに並べる。鶏肉を囲むように並べると、肉汁が染みておいしい。200〜220℃に予熱したオーブンで15〜20分、こんがりと焼き色がつくまで焼く。

もともと高温の釜(タンドール)で焼いて作る料理なので、オーブンの温度は高めに設定した方が、焼き色がこんがりとついてタンドリーチキンらしい仕上がりになります。最高温度が200℃のオーブンなら200℃で、200℃以上まで可能なものであれば220℃に予熱する。

オーブンがない場合 

4.焼く 

フライパンを中火で熱し、サラダ油小さじ1を加える。鶏肉を並べ、漬けダレを絡めた野菜も加えて5分焼く。裏返して、さらに5分焼いたらできあがり。

冷めてもおいしいからお弁当にもぴったり

照り焼きや唐揚げなど、鶏肉を使った料理はお弁当の定番。その理由は鶏肉の脂がとける温度にあります。
お肉の脂は冷えると固まって白っぽくなります。例えば、牛肉の脂がとける温度は40〜50℃なので、温かいうちに食べれば気になりませんが、冷めると脂が白っぽく固まり、ボソボソと嫌な食感になります。豚肉の脂は33〜46℃でとけるので、脂が少ない部位ではさほど気になりませんが、脂が多くなるとやはり舌触りに影響します。一方、鶏肉の脂がとける温度は30〜32℃。人間の体温よりも低いので、脂が冷えて固まっても口の中でとけて気になりにくく、冷めた状態で食べるお弁当向きのお肉なのです。


料理の温度は肉の脂以外にも影響を与えます。たとえば、冷えるとにおいの成分が揮発しにくくなるため、お弁当は風味が少なく味気なく感じられやすいという難点があります。カレー粉などのスパイスや、にんにく、生姜、胡麻、青のりなど風味の強い食材を活用すると冷めても風味豊かで、飽きることなく食べられます。
 なお、プラスチックのお弁当箱はカレー粉を使った料理で黄色く着色してしまうことがありますが、日光に当てると退色するのでご安心ください。

 

5/26(木)更新の次回では、「練り物がプリッとする理由」について、科学の視点から解説いたします。お楽しみに!

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プロフィール

科学する料理研究家、料理・科学ライター

平松 サリー(ひらまつ・さりー)

科学する料理研究家、料理・科学ライター。京都大学農学部卒業、京都大学大学院農学研究科修士課程修了。生き物がつくられる仕組みを学ぼうと、京都大学農学部に入学後、食品科学などの授業を受けるうちに、科学のなかに「料理がおいしくできる仕組み」があることを知る。大学在学中に、科学をわかりやすく楽しく伝えたいとブログを始め、2011年よりライター、科学する料理研究家として幅広く活躍している。著作には『おもしろい! 料理の科学 (世の中への扉)』(講談社)などがある。

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