東大料理愛好会レシピ

記憶力と集中力UPに…チロシン

東大料理愛好会のメンバーが小さいころによく食べていた体験をもとに、頭がよくなる栄養素とレシピをご紹介します。

子どものころこんなものを食べていました-チロシン編-

タラコやすじこをよく食べていました。  板山さん (東京女子大学 現代教養学部人間科学科2年)
チロシンというと、わたしは幼いころからタラコやすじこなどをよくご飯と一緒に食べていました。というのも、青森県に住む祖父母がおいしい魚などを買って、東京に送ってくれていたからです。中高生時代は、タラコやすじこをおにぎりの具にして、学校や塾のお弁当にと母が持たせてくれていました。勉強の合間に食べることで、これらに多く含まれるチロシンが、集中力を高めるだけでなく、とくに受験期にはたまりやすいストレスの緩和にも役立っていたかもしれません。ただし塩分やコレステロール値が高いので、食べ過ぎには注意です!

だだちゃ豆、家族の大好物でした。  高松さん (東京大学 教養学部理科一類2年)
自分が受験生のころはあまり意識していませんでしたが、家族が基本的にだだちゃ豆(山形特産の甘い枝豆)が大好きで、毎週のように塩ゆでで食べていたのが懐かしいです。
また、自分はおなかが弱く、とろとろでくさみのあるチーズや牛乳があまり得意ではなかったのですが、それでも乳製品を食べやすいようにチーズははちみつがけにしたり、牛乳は少し常温にしたりと配慮してくれていました。 

朝ごはんにチーズトーストが定番でした。 石井さん (日本女子大学 食物学科管理栄養士専攻3年)
わたしの母親は幼稚園に通っていたころから現在にかけて、朝ごはんにチーズトーストを頻繁に出してくれていました。また、受験期の夜食にネギを散らしたとり肉入りの卵雑炊を作ってくれていて、消化吸収、栄養素の事を考えていたのかなと思います。チーズやとり肉に含まれているチロシンやビタミンB6やナイアシンがわたしの勉学を助けてくれていたのかなと今になって思います。

とろけるチーズがおいしい レシピ1:チキンチーズフライ

材料(4人前)

とりむね肉 ・・・・・・・・・2枚
塩 ・・・・・・・・・・・・・2つまみ
コショウ ・・・・・・・・・・少々
スライスチーズ ・・・・・・・4枚
薄力粉 ・・・・・・・・・・・適量
卵 ・・・・・・・・・・・・・1個
パン粉 ・・・・・・・・・・・適量
揚げ油 ・・・・・・・・・・・適量
ミニトマト ・・・・・・・・・8個
じゃがいも(小さいもの) ・・2個
レモン汁(なくてもよい) ・・1/2個分

作り方/レシピ

(1)とり肉を半分に切る。

チキンチーズフライを作る

(1)とりむね肉に塩・コショウで下味をつけてから重量が等しくなるように半分に切ります。
(2)横に切れ込みを入れ、スライスチーズを端からはみ出さないように挟みます。
(3)薄力粉をまぶします。
(4)ボウルに卵を溶き、バットに移します。(3)をつけます。その後にパン粉をつけます。

(5)とり肉を揚げ焼きする。

(5)深めの鍋に油を肉の厚みの半分くらいの高さまで油を注ぎ、180℃程度になるまで温めます。④を入れ、黄金色になるまで揚げ焼きし、ひっくり返したら同様に揚げ焼きします。

きれいな色がつき、揚げているときの音が変化したら取り出して油をきります。

付け合わせを作る

(1)じゃがいもの芽をとり、皮を厚めにむいた後、くし切りにして柔らかくなるまでゆでます。
(2)ミニトマトを洗い、へたをとります。

チキンチーズフライと共に盛り付け、レモン汁をかけて完成です。

レシピのポイント!

チロシンを多く含むとり肉とチーズを使い、6月が旬であり、アミノ酸代謝に必要な葉酸やビタミンB6を含むトマトとじゃがいもを付け合わせにすることで旬の食材を味わえる、お子さまでも食べやすいレシピにしました。このレシピのポイントはとり肉を同じ重さに分けることで、厚いほうを火が通りやすいように加工することです。火の通りが心配でしたら上部を削ぐように肉を開くと、火が通りやすくなります。

-実際に作ってみました!-

とろけるチーズがとりむね肉に絡まり、むね肉特有のパサパサ感を感じることなく、おいしく食べられました。

色味が楽しい! レシピ2:ガパオライス

作り方/レシピ

材料(4人前)

とりひき肉(ぶた肉でも可能) 400g
パプリカ(赤と黄合わせて)・1と1/2個
バジル ・・・・・・・・・・2枝
白飯 ・・・・・・・・・・・4膳分
卵 ・・・・・・・・・・・・4個
油(肉用) ・・・・・・・・大さじ2
油(卵用) ・・・・・・・・大さじ1・1/3
しょうゆ ・・・・・・・・・大さじ3
オイスターソース ・・・・・大さじ3
砂糖 ・・・・・・・・・・・小さじ2
料理酒 ・・・・・・・・・・大さじ2
塩コショウ ・・・・・・・・少々
水 ・・・・・・・・・・・・大さじ1・1/3

(2)パプリカを切る。

(1)ご飯を炊いておきます。
(2)パプリカを7mm~1cm角に切ります。
(3)フライパンに油を入れて熱し、ひき肉をそのまま入れます。焼き目がついたらひっくり返して両面に焼き目をつけます。パプリカを入れ、肉をほぐしながら中火で炒めます。

(7)ひき肉とパプリカを炒める

(4)しょうゆ、オイスターソース、砂糖、料理酒を器に入れ、砂糖を溶かしてから(3)に加えます。
(5)調味料が全体に回ったら火を止め、バジルを形の良い葉を4セット残してちぎり入れます。火を止めたまま混ぜます。
(6)器に白飯と(5)を盛ります。
(7)別のフライパンに油を大さじ1/3(小さじ1)入れて熱し、卵を入れてから水を大さじ1/3(小さじ1)を加え、フタをして目玉焼きを作ります。白身が固まったら取り出し、(6)の上に乗せ、塩コショウをし、(5)で残しておいたバジルを飾ります。この工程を人数分行います。

レシピのポイント!

パプリカはピーマンと比べ、ビタミンA・ビタミンCが2倍、ビタミンEが5倍も多く含まれていて栄養価の高い6月が旬の食材です。葉酸も含まれていることから、アミノ酸代謝に役立ちます。また、バジルにも葉酸が含まれていてかつ、香りが食欲をそそります。前日の夜に作っておけば朝再加熱し、ワンプレートで朝ごはんに出せるレシピになります。このレシピのポイントは肉を焼いてからほぐすことで、このように焼く事で、ジューシーさが増します。

-実際に作ってみました!-

濃いめの味付けと黄身がマッチして、はしが止まりませんでした。

 

チロシンにはこんな効能が!

チロシンはアミノ酸の一種で、アミノ酸の中では芳香族アミノ酸(ベンゼン環を持つアミノ酸)に属する非必須アミノ酸です。フェニルケトン尿症をはじめとする酵素が欠如しているケースを除き、人はフェニルアラニンという、チロシンと同じ芳香族アミノ酸であり、体内合成されずに食事から摂取する必要があるアミノ酸をもとにチロシンを体内合成します。非必須アミノ酸であるため、ふだんそこまで気にされないチロシンですが、チロシンをもとに作られる物質は有用なものばかりです。チロシンはドーパミンをはじめとする神経伝達物質、ノルアドレナリン、アドレナリンといったホルモンの材料となります。ドーパミンは意欲を作ります。アドレナリンはグリコーゲンの分解を促す事で血糖値を上昇させて脳の覚醒レベルを保ち、集中力及び決断力を高めます。ノルアドレナリンにも集中力及び判断力を高める効果があります。このように勉学に役立つ作用をもつ物質のもととなるチロシンですが、ただチロシンが含まれる食品だけを摂取すればよいというわけではありません。

タンパク質を合成する際にはアミノ酸代謝に関与するビタミンB6や葉酸等の水溶性ビタミンや、必須アミノ酸をバランスよく摂取する必要があり、必須アミノ酸が欠けていると、タンパク質合成がうまくいかず、折角摂取しても効果的に利用されにくくなってしまいます。この必須アミノ酸含有量がもととなったアミノ酸スコアという指標があります。最高値は100で、100の数値の食品は制限アミノ酸と呼ばれる不足した必須アミノ酸がないことを示しています。大部分の動物性たんぱく質のアミノ酸スコアが100であるのに対し、大豆や米、トウモロコシといった植物性たんぱく質はシスチン、メチオニン、リジンをはじめとする必須アミノ酸が不足している為、植物性たんぱく質から特定のアミノ酸を摂取しようとしたとき、制限アミノ酸を補うために主に動物性たんぱく質とともにバランスよく摂取する必要があります。

チロシンは大豆やかつお、チーズ等に多く含まれていますが、大豆を選択した場合、その献立に吸収率を加味して動物性食品を加えると、効率よくチロシンを摂取する事が可能となります。

 

*この記事で紹介しているレシピはアレルギー対応はしておりません。アレルギーをお持ちの方はご注意ください。

東京大学料理愛好会

東京大学を中心に、さまざまな大学・専門学校に通うメンバーで構成されている。都内のキッチンスタジオで週に1度調理実習を行い、腕を磨く。
最近では、NHK総合テレビ『あさイチ』にメンバーが出演したり、大手回転寿司チェーンかっぱ寿司にメニューを提供したりするなど積極的に活動。
著書に『東大料理愛好会 頭がよくなるレシピ』など。

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