教育&入試トレンドニュース【2022年8月号】

2022年8月1日

カテゴリー : 教育情報全般

さまざまな教育ニュースを毎月配信する「教育&入試トレンドニュース」8月号です。

主なニュース

【共通テストの数学 評価と分析は…】

6月30日、大学入試センターは「令和4年度大学入学共通テスト問題評価・分析委員会報告書」を公表しました。報告書には問題作成部会の見解だけでなく、各都道府県教育委員会等から推薦された高校教員等からなる外部評価分科会や関係協力団体の意見も掲載されています。
今回、とくに注目が集まったのは数学についての評価です。今年1月の本試験では、受験者の多い数学Ⅰ・A、数学Ⅱ・Bの実施直後から問題が難しすぎるという声がSNSなどにあふれました。実際、平均点は昨年(1回目試験)と比べてそれぞれ20点近くも低下。
数学Ⅰ・Aについては、問題作成部会の自己評価、日本数学教育学会の評価のいずれも、良い問題だったが時間配分には配慮が必要としています。一方、数学Ⅱ・Bについては日本数学教育学会が「解決過程の一部を経るだけの問題が多い」と指摘。問題解決の過程全体を経る問題になるよう、設問の組み立てや流れの工夫を求めました。
大学入試センターは報告書に掲載された意見などを参考にし、今後、より良質な試験問題の作成に取り組むとしています。

(参考)
▼令和4年度大学入学共通テスト問題評価・分析委員会報告書(本試験) (大学入試センター)

 

その他のニュース

◆7月8日:多摩地域(東京都西部)にある東京外国語大学、東京農工大学、電気通信大学の国立3大学の学長が記者会見し、新たな共同研究機構の設置などを発表。3大学はすでに2016年度に包括連携協定書を締結し、主に教育面での連携を進めてきました。さらなる連携の推進にむけて基本協定書を再締結するとともに、研究や社会実装活動にまで連携を拡大させるため、三大学共同で新たな研究機構を設置することに。

(参考)
▼『西東京三大学共同サステイナビリティ国際社会実装研究機構』の設置及び三大学連携・協力の推進に関する基本協定書締結式 (東京農工大学)

 

◆7月14日:東京都教育委員会は中学生や保護者向けに、都立高校入試での英語スピーキングテストの活用について、点数算出の方法などをまとめた資料を公表しました。都内の公立中学校3年生全員が受けるスピーキングテストは今年11月27日に実施。成績はA~Fの6段階で評価され、来年進学の都立高校入試ではAが20点、Bが16点…と4点刻みに点数化、学力検査の得点や調査書点と合わせて総合得点とします。

(参考)
▼中学校英語スピーキングテスト(ESAT-J)のお知らせ ~都立高校入試への活用について~ (東京都教育委員会)

 

◆7月15日:富山大学は記者会見を開き、工学部工学科電気電子工学コース、知能情報工学コース及び機械工学コースの3コースで2023(令和5)年度の入学者選抜から女子を対象とする学校推薦型選抜(募集人員8名)を新たに導入すると発表しました。現在、3つのコースで女子学生の割合は10%未満。大学は「女子特別推薦」によって女子学生の増加を図り、新たな社会に向けた技術者・研究者を育てたいとしています。

(参考)
▼令和5年度入学者選抜(特別選抜)における工学部女子特別推薦の実施について (富山大学)

 

◆7月15日:東京大学が2025(令和7)年度以降の入学者選抜における出題教科・科目を予告しました。一般選抜・学校推薦型選抜いずれにおいても、共通テストでの「情報Ⅰ」は必須。一方、一般選抜の2次試験では「情報Ⅰ」は課されません。また、学校推薦型選抜での既卒者の扱いについて、2025(令和7)年度以降は出願資格を「高校卒業後1年まで」に制限することなどもあわせて発表されました。

(参考)
▼入学者選抜の予告(学部) (東京大学)

 

◆7月20日:東京学芸大学は2023(令和5)年度から教育学部を改組し、初等教育教員養成、中等教育教員養成、特別支援教育教員養成、養護教育教員養成の4課程を「学校教育教員養成課程」にまとめると発表しました。変化が激しく予測困難な時代となり、価値観が多様化している現状を踏まえ、教員免許の学校種や専門的能力を超えて教師に必要な資質・能力を育成するのがねらいです。

(参考)
▼令和5年度 東京学芸大学教育学部の改組について (東京学芸大学)

 

◆7月21日:東京大学工学部・大学院工学系研究科は中高生や社会人などを対象にネット上の仮想空間メタバースを活用した教育プログラム「メタバース工学部」を設立すると発表しました。DX(デジタル)人材が不足している現状で、工学や情報の学びの機会や工学キャリアに関する情報を多様な人々に提供するのがねらい。とくに女子中高生に工学や情報の魅力を伝え、DX人材育成のダイバーシティ推進を加速するとしています。

(参考)
▼「メタバース工学部」設立のお知らせ D&Iを推進し、DX人材を育成 (東京大学工学部・工学系研究科)

 

◆7月22日:文部科学省の有識者会議・薬学部教育の質保証専門小委員会は、今後、原則として薬学部の新設や定員増を認めないとする方針を了承しました。4年制から6年制に移行した2006年前後に薬学部は急増しましたが、近年は私立大学で定員割れに陥っているケースも少なくありません。人口減少の影響で将来的に薬剤師が過剰になることも予想され、これまでの方針を転換することに。

(参考)
▼薬学部教育の質保証専門小委員会(第7回)配付資料 (文部科学省)

 

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