「英語リスニング」2018年度センター試験分析

投稿日時:2019年9月9日

2018年度センター試験分析速報

  ■分量と難度の変化(時間/配点:30分/50点) ・大問数4、設問数25と、形式面では例年通り。スクリプトの総語数も例年並みであったが、印字された設問文・選択肢(第3問Bのイラスト内含む)の総語数は70語程度増えた。 ・昨年に比べて、求められる内容理解のレベルや、知っていないと対応できない表現のレベルが上がったため、やや難化したと言える。 ■今年度入試の特記事項 ・例年以上に、単なる聞き取り力・英語の文法・語法の運用力にとどまらない、実践的なコミュニケーション力が求められた。 ・限られた時間の中で詳細まで確認すべき箇所が多かったので、問題処理力も問われた。 ・高校生にとってはなじみの少ない会話表現や単語が複数登場したので、意味を推測しづらかったであろう。 ・基本表現については、全体を通して、選択肢における別の表現への言い換えに注意を要した。 ・第3問Bは今年もビジュアル型のイラスト問題であった。昨年度は4つのポスターに情報がそれぞれ集約されていたが、今年度は1枚の地図の中にさまざまな情報が混在していたため、必要な情報の絞り込みに時間を要した。 ■差がつくポイント ・読み上げられた英文から聴き取った通りの表現がそのまま選択肢で用いられることは少なく、別の表現に言い換えられていることが多々あるので、選択肢を吟味する際には聞こえてくる内容のみで判断せず、正しい内容を推測して、大意や話の展開の理解に基づいて正答を選ばなくてはならない。選択肢中の代名詞が何を指しているのかを正しく判断することも、正答を選ぶポイント。 ・第2問や第3問Aでは、情報を正しく聴き取った上で、その内容に基づいてその先の自然な展開を推測する力が試された。「聴き取った単語と選択肢の単語が同じかどうか」といった単純な取捨選択だけではない、複数の情報の中からその問題で求められている内容を厳選して、さらにどう対応するのが適当かを考えさせる「思考力を問う」問題が今年は目立った。 ■大問別ポイント  第1問  短い対話を聴き、質問に対する答えとして適切なものを選ぶ問題 ・例年どおり、イラスト描写と計算問題が出題されたが、今年度は新たに問6で帯グラフが登場した。筆記の第4問Aでグラフは見慣れているはずなので、動揺せず取り組めば容易に解ける問題だった。 ・問1ではskyscraper(超高層ビル)、問2ではsplit(~を分ける)など、受験生には難しい単語がキーワードになっており、内容を推測しづらかったであろう。 ・問4は選択肢がシンプルで、new ⇔ old、later ⇔ now の対比が聴き取りのポイントであることは明白だが、放送文の the ealier model、Could you hold one for me? といった表現を手がかりに、選択肢をきちんと絞れたかどうかが差がつくポイントだった。 ・計算を要する問題(問2、問5)では、(1)数字を正しく聴き取ること、(2)それらを用いて加減乗除のいずれの処理をする必要があるのかを判断すること、(3)誤りなく計算すること、の3点が求められる。特に(1)でつまずいてしまわないよう注意。今年は問2で discount(割引)した上でさらに10ドル引いたものを割り勘にする、という複雑な計算が求められた。計算問題で正解を導けても、そこで時間を取りすぎると次の設問の先読みの時間が削られるので、日頃から計算の練習もしておこう。  第2問  短い対話を聴き、それに続く応答を選ぶ問題 ・今年度の第2問では、会話の流れに一見直結しづらい、ひねりのある応答文を選択する必要がある問題が多く、例年以上に難しかった。 ・問10の look it up(それを調べよう)や 問11の枚数の勘違いを指摘する the other way around(反対)など、選択肢の表現自体がやや難しいものもあり、表現力も求められた。 ・このタイプの問題では、会話の中で行われている質問の意図、質問に答えている人の感情、話の流れなどをふまえて、その会話が次にどういった展開を見せる可能性があるのかを正しく推測することが重要である。さらに、普段から会話表現に親しんでおくことで適切な選択肢を導ける場合もあるので、スピーキングなど、発信型の学習と絡めて、日常に関するやりとりの表現の幅を広げよう。  第3問  A 短い対話を聴き、質問に対する答えとして適切なものを選ぶ問題 ・問15では、設問文の extend からわかるように、本の貸し出しの合計期間ではなく、延長期間が問われていることに注意。 ・設問に先に目を通した上で、聴き取るべき内容を頭に置きながら、聴き取った情報を落ち着いて整理することがカギとなる。特に、設問文は丁寧に読まないと、必要ない情報を誤って集めてしまうことになるので、キーワードに印をつけるなどして、意味を取り違えないようにしよう。 B 長めの対話を聴き、質問に対する答えとして適切なものを選ぶ問題 ・与えられたイラスト内の単語数は昨年より減ったものの、時間に関する情報と位置情報が1枚の地図の中に混在しているため、放送文と設問・選択肢との照合の際に、どこに着眼を置いたらよいか戸惑ってしまった人もいただろう。こちらも、設問文と選択肢に事前に目を通しておくことがポイントであった。 ・問19は、一見正解を絞りやすいように思えるが、目的地の1つである the falls が会話中で直接言及されていないため、難しい1問であった。 ・対策としては、日頃からビジュアル型の資料と音声による説明を組み合わせた問題に取り組み、情報を英語のまま整理する練習をしておくとよい。ビジュアル型の資料のパターンは毎年少しずつ変化しているので、さまざまな資料に目を通すことをお勧めする。  第4問  A 長めの説明文を聴き、質問に対する解答として適切なものを選ぶ問題 ・ある男性の日本留学時の出来事に関する英文で、当時の寮生活を回想している。説明文のように論理展開が明確なものではないので、各設問の該当箇所の判断が難しかっただろう。 ・問20は本文中の botherd と cleaning に注目しなければならず、参照すべき箇所が長いため、選択肢を絞り込むのが難しかった。今後もこういった該当箇所の精査が必要な問題に備えて、細部まで正確に聴き取る練習が必要である。 ・読み上げられた英文中の表現が選択肢では別の表現に言い換えられているケースが多く、内容を正しく理解した上で、その理解に基づいて正しい選択肢を選ぶことがカギとなった。今回は、問20と問22の正解の選択肢が、本文中の内容から端的に言い換えられていることに気づきたい。 B 長めの対話を聴き、質問に対する解答として適切なものを選ぶ問題 ・3人それぞれの主張をつかみ、それぞれがよいと考えているものが何であるかを整理する必要があった。 ・昨年度は名詞の数が多く、文房具など、物の名前がたくさん登場する中で、それぞれを誰が推薦しているか、どういった総称で呼ばれるものかを把握する必要があったが、今年は「何をすべきかを冊子にまとめる」という話題でそれにまつわる質問のため、選択肢が長くなった。 ・ここでも、選択肢における表現の言い換えが用いられている。読み上げられた英文から聞こえてきた単語に引きずられず、内容理解に基づいて選択肢を吟味することが重要である。問23の travel arrangementsは受験生にはやや高度な言い換え表現であった。 ・問25は、昨年度は全員の意見が合致したものを答えさせるものであったが、今年度は会話の要旨を答えさせる問題で、3人のそれぞれの主張の核となるところを押さえた上で、彼らがそれぞれ違うポイントを強調していたことに気づく必要があった。  

高1高2生へのアドバイス

●耳で聴いて内容をつかむ練習をすること リスニング力は一朝一夕では身につかない。今のうちから英語を聴くことを習慣づけ、耳から聴いた英文の内容を的確に理解する練習を積み重ねていこう。書籍の「解決! センター 英語リスニング」などを用いての演習がおすすめ。高3からは通信教育の「センター攻略演習」、Z会の映像「英語リスニング標準編」「英語リスニング完成編」で実践的な学習を進めることができる。 ●単語や会話表現の「音声」に慣れておくこと 意味を覚えている単語や表現も、音にしてみると聴き取れない、ということが多々ある。また、「子音で終わる単語」と「母音で始まる単語」が並んだ時の音と音のつながり(リエゾン)によって、さらに違って聴こえる場合もある。普段から、声に出して読んでみたり、単語帳の付属のCDを聴いたりして、単語・表現の「音声」にも慣れておくようにしよう。 ●日常会話で登場頻度の高い「単語・表現」の知識を増やすこと 近年のセンター試験は、読解や英作文ではあまり使わない会話特有の表現や、日常のものを表す単語の使用度合いが高くなってきている。選択肢での単語の言い換えの対策としても、知っている表現を増やしておくことが求められる。 ●実際に会話の次の展開を予測しながら自分で発信する「スピーキング」の練習を採り入れること 特に第2問のような応答文を答える問題や、話者の主張を正確に把握できているかを試す問題では、実践的なコミュニケーション力が求められる。実際の日常会話において、どういったやりとりが発生するかを体感して、相手の反応を直に予測しながら発言するのがもっとも実践的な練習にあたり、聴き取り力も発信力も強化できる。

  難関大合格には、センター試験での高得点獲得が必須です。「センター試験の問題は教科書レベルだから何とかなる」「対策は直前でも間に合う」というのは、大きな誤解。センター試験は科目数が多いため、個別試験の勉強と併行して早めの対策が必要です。本講座では、センター試験本番で9割得点することを目標に、必要な力を段階的に身につけていきます。 6教科17科目セットなので、必要な科目すべての対策はもちろん、苦手科目や分野に絞った対策も可能。節目ごとに実力を診断しながら、効率よく得点力アップがはかれます。

▼「センター攻略演習セット」英語担当者からのメッセージ  ・今年度のセンター試験は、短時間に多くの情報を処理しなくてはならない問題や、ただ単語を聴き取るだけではなく、述べられている内容を理解した上で、その先の展開や、そこから読み取れることを考えなければならない問題が中心で、解くのに苦労した人も多かったのではないでしょうか。また、言い換え表現やなじみのない表現が多用されており、そこで悩んだ人も多かったかもしれません。 ・これからのリスニング問題は、次々と与えられる情報を迅速に処理する力や、聴き取った内容のさらにその先の展開を推測して、自然に相手とコミュニケーションをとれるような力がより求められます。「能動的に聴く」ことがリスニング力を上げるコツ。正しく聴き取った上で、その内容について深く理解しようとすることが大切です。筆記に比べ学習が後回しになりがちなリスニングですが、リスニング力が上がることで英語力全体も底上げされます。早いうちから少しずつ対策していきましょう!

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