「倫理」2018年度センター試験分析

投稿日時:2019年9月9日

2018年度センター試験分析速報「倫理」

■分量と難度の変化(地歴公民…時間/配点: 1科目60分・ 2科目120分 / 1科目100点・ 2科目200点 ) ・例年同様大問数は4題であったが、小問数は1問減って36問となった。 ・基本的な知識についての出題も多く、形式的な変化も相まって難易度はやや易化した。 ■今年度入試の特記事項 ・昨年度と同様、グラフ読取り問題が1問、資料文読取り問題が4問出題された。また、各大問の最終問題が本文趣旨要約問題という形式も例年通りである。 ・文章中の空欄に入る文章の組合せを問う新傾向の出題があった。 ・3つの文の正誤を判断する問題の選択肢の数が6択に減ったこと、3つの文ではなく2つの文の正誤を判断する問題が出題されたことなどにより、昨年度10問出題された8択問題は4問に減少した。 ・一部詳細な理解が求められる問題も見られたものの、正答となる選択肢が基本的知識で判断できたり、消去法を用いれば正答を特定できたりする問題が多かった。 ■差がつくポイント ・1つ1つの選択肢の文章が長いが、丁寧に読み解けば正答を導くことができる問題も多い。日頃から長い文章を手早く処理する訓練を積み、読解力と論理的思考力を身につけておく必要があった。 ・見慣れない人物・事項にとまどうことなく、落ち着いて選択肢を読み、ほかの要素から正答を導くための手掛かりを見つけることができるかどうかがポイントである。そのためにも、まずは主要な人物とその思想内容・キーワードという基本的な内容を混同することなく押さえられていることが不可欠であった。 ■大問別ポイント   第1問   ・人助けの動機をテーマに、青年期の課題と現代社会分野を中心に出題された。読み込むべき文章・資料の量は多いが、必要な知識は基本的であり、落ち着いて内容を読めば解答できる問題が多かったので、手早く処理したい。 ・問1は空欄に入る文章の組合せを選ぶ新傾向の問題であったが、文章の主旨と話の流れを落ち着いて捉えれば解答は容易である。 ・問2は、選択肢中の人物についての詳細な理解が求められた。 ・問3・問4は基本的な問題であった。 ・問7のグラフ読取り問題、問8の資料文読取り問題は落ち着いて取り組めば解答できる。 ・問9のアマルティア=センの思想はやや細かく、選択肢の内容も紛らわしかったので、多くの受験生がとまどっただろう。高得点をねらうのであれば、教科書の細部までしっかりと読み込んでおく必要がある。   第2問   ・他者の生き方を模範とすることをテーマに、東西の源流思想について出題された。 ・問1・問6は標準的な問題であった。 ・問2・問5・問7は東西の源流思想についての基本的な知識なので、確実に正解したい。 ・問4はアリストテレスの思想について深い理解が求められた。選択肢の内容が紛らわしかったので、迷った受験生も多かっただろう。 ・問8は「ブッダ」「プラトン」「朱熹」と頻出の人物の思想についての問題であったが、各人物の思想についての踏み込んだ理解が必要であった。   第3問   ・教えるという営みをテーマに、日本思想について幅広く出題された。 ・問1は基本的な問題なので、失点は避けたい。 ・問2の「鑑真」「空海」「一遍」については基本事項であるが、選択肢中に各人物の細かな事績についての記述も見られたため、迷った受験生もいただろう。 ・問3では日蓮についての深い理解が必要とされた。 ・問5は選択肢中にやや紛らわしい記述も見られたが、標準的な問題である。 ・問7の「三宅雪嶺」はやや盲点になりやすい人物であり、その思想を踏み込んで問われたため、苦戦した受験生は多かっただろう。 ・問8の資料文読み取り問題は、近年古文や擬古文で出題されていたが、現代文での出題となったため取り組みやすかっただろう。   第4問   ・遊びが持つ意味や価値をテーマに、近・現代の西洋思想を中心に問われた。昨年度に比べると学習が手薄になりがちな現代思想分野についての出題が減ったため、解答しやすかったと思われる。 ・問1の「ヘーゲル」、問2の「ロック」、問3の「カント」はいずれも西洋思想において頻出の人物であるため、失点は避けたい。 ・問6の「ウィトゲンシュタイン」の思想はやや細かいが、各選択肢に含まれる他の思想家の思想を表すキーワードをもとに正誤を判断したい。  

高1高2生へのアドバイス

・受験生の夏休みの終わりまでに、教科書範囲を必ず終わらせることをまず目標にしよう。 公民はほかの教科に比べて対策が遅れがちになるが、必要とされる知識量は多く、学習を後回しにしていると直前になって大きな負担を抱えることになりかねない。受験生の秋以降に個別試験対策に十分な時間を確保するためにも、公民も早期から計画的に学習を進めることを意識しておきたい。 倫理は難度の高い問題も散見されるが、磐石な知識力を身につけて標準的な問題で取りこぼさないことが肝心である。受験生の夏休みの終わりまでに教科書全範囲の重要語句の内容を押さえることを目標に学習を進めてほしい。秋以降は問題演習を定期的に行い、より知識を広く・深く定着させることをめざそう。 Z会の通信教育の専科「センター攻略演習セット」の倫理では、夏までに全範囲を網羅し、秋以降はより実戦に近い形でセンター試験型の出題をしているので、各単元の内容が定着しているかを確かめる学習のペースメーカーとして、取り組んでいくとよいだろう。また、知識力に不安がある場合は、Z会の映像「センター講座:倫理」を利用すれば、倫理の重要テーマについて「センター試験でどのように出題されるか」を意識した詳しい講義と、厳選した問題演習を通して、効率よく実戦力を身につけることができる。

  難関大合格には、センター試験での高得点獲得が必須です。「センター試験の問題は教科書レベルだから何とかなる」「対策は直前でも間に合う」というのは、大きな誤解。センター試験は科目数が多いため、個別試験の勉強と併行して早めの対策が必要です。本講座では、センター試験本番で9割得点することを目標に、必要な力を段階的に身につけていきます。 6教科17科目セットなので、必要な科目すべての対策はもちろん、苦手科目や分野に絞った対策も可能。節目ごとに実力を診断しながら、効率よく得点力アップがはかれます。

▼「センター攻略演習セット」倫理担当者からのメッセージ  ・昨年度に引き続き、今年度の倫理もオーソドックスな出題が多く、倫理の学習を丁寧に行っていればある程度得点を取りやすい問題であったように感じます。教科書や用語集を用いて丁寧に学習した努力が報われる、そんな試験だったのではないでしょうか。 ・キリスト教・仏教・イスラーム教や、ロック、ルソー、デカルト、カント、法然、荻生徂徠、本居宣長、和哲郎、西田幾多郎などセンター倫理における頻出の事項・人物をまずはしっかりと押さえましょう。その上で、教科書の隅々にまで目を通しておくことが、センター倫理で高得点をねらうためには必要です。ぜひ早めに対策を始めるようにしましょう! ・倫理について学ぶことは、古代から現代までのあらゆる東西の先人達の生き方に触れることだと思います。「ちょっと何言っているのかわからない……」と思うこともしばしばあるかもしれませんが、今後の皆さんの生き方の参考になることも多々あるはずです。ぜひ楽しんで学んでもらえればと思います。

 

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