「地理B」2019年度センター試験分析

 

■分量と難度の変化(地歴公民…時間/配点: 60分 / 100点 )
・大問6題、小問数(マーク数)35、配点は昨年度と同様。分量は図表の増加により増えているが、ほぼ昨年度並みである。
・難易度は図表の増加や判読に時間を要する図表が多く見られたため、昨年度に比べやや難化したといえる。とはいえ、数多くの資料が提示される点や、時間の割にはボリュームのある内容である点は例年通りであるため、センター試験の難易度としては標準といえる。

■今年度入試の特記事項
・昨年度同様、大問テーマは「自然環境」「産業」「都市・村落、生活文化」「地域調査」と「地誌」2題(「地域単位での総合的な地誌」と「2カ国の比較地誌」)が出題された。
・昨年度の第2問は鉱工業と農林水産業の双方からの出題であったが、今年度は「資源と産業」のテーマ名は変わらないものの、農業分野よりコーヒー豆をテーマにした出題であった。
・2016年度から出題された第5問の比較地誌は、昨年度の3カ国の比較地誌からウクライナとウズベキスタンの2カ国の比較地誌に変化した。
・台風の進路や口蹄疫など、日本の時事に関連した問題も見られた。
第1問問5のように、資料の内容の理解だけでなく、その資料から何が読み取れ、推測されるかという一歩踏み込んだ読み取りが求められる問題が散見された。
・昨年度出題がなかったハイサーグラフや雨温図の読み取りに関する出題が見られた。
・集落の形成年代の順序を問う出題が見られた。

■いま解いておきたい問題
第5問問4は、ウクライナとウズベキスタン、日本の食生活に関する問題であった。
本問は、各国の数値の違いが食事の形態だけでなく、宗教的な背景も反映されていることに気づけるかどうかがポイントとなる。センター試験では、こうした数値の特徴を様々な角度から分析し、判定する問題が多く出題されるため、判定のポイントとなる基礎事項を多く身につけておく必要がある。

■大問別ポイント
第1問
・5年連続で「世界の自然環境と自然災害」をテーマとする出題であった。教科書で頻出の内容や基礎的な内容が多く取り上げられたため、全体としてはやや易の大問といえる。「自然災害」の分野では、温暖化による北極海の環境変化の影響、熱帯低気圧・台風による災害の特徴に関する出題であった。また、図では経緯線が示されていないものの、おおまかな経緯度や位置関係を確認する問題が散見され、日頃の地図学習が反映される出題であった。
問1は、4地域の気候区とそれに対応する土壌・植生に関する問題であるが、は普段あまり意識しない地域もあり判定しにくいため、迷った受験生も多かったと思われる。
問3は、コンゴ川の流量観測地点は乾季のあるサバナ気候区やステップ気候区に位置するが、コンゴ川の流域の多くが年中多雨の熱帯雨林気候区に当たるため、流量が1年を通して多くなることに気づきたい。
問6は、「中緯度地域」の範囲と、2の卓越風が偏西風であることに気づけば解答は容易である。

第2問
・昨年度同様「資源と産業」というテーマであるが、今年度は農業分野よりコーヒー豆をテーマに、生産や流通、貿易、喫茶店の分布など、幅広い分野からの出題であった。大問全体が特定の農産物に関連する出題はセンター試験では珍しい。資料問題は見慣れないものもあったが、比較的読み取りやすい内容であった。
問1は、が同じような傾向を示しているが、コーヒー豆の主産地が熱帯に多いことに気づけば、ヨーロッパの生産が見られない4が該当することがわかるであろう。また、世界第1位のコーヒー豆生産地であるブラジルも思い出したい。アジアでは近年ベトナムでの生産・輸出が増大している。
問3は、コーヒー豆の流通について、価格の変化に影響を及ぼす要因を考える問題であった。センター地理では珍しい観点からの出題であるが、身近な話題でもあるため、関連する新聞記事や書籍などを読み、知見を広めておきたいテーマである。解答においては、選択肢を丁寧に読み取って判断したい。
問6は、普段見慣れない資料であるが、喫茶店は都市(人口)の規模に比例する、水産食料品製造業は内陸県では少ないと考えれば解答は容易である。

第3問
・「都市と村落、生活文化」というテーマで、都市を中心に、宗教、レジャーに関する幅広い出題であった。判定に迷う図表も見られるものの、丁寧に読み解けば容易に解答できる。
問1は、パリ旧市街がどこに位置するのかをまず判定したい。の周りを高速道路が取り囲むように位置していることと、河川(セーヌ川)がC付近を流れていることが判断のヒントとなるだろう。その上でフランスの新都心地区ラ・デファンスはパリ中心部の西に位置する、パリ旧市街は歴史的な建物の保全などが進んでいるといった知識と併せて答を導きたい。
問2は判定が難しいが、都市の規模と国の総人口に占める人口割合から総合的に判断したい。
問5は各図の村落の起源を判定し、どの時代に該当するかを思い出せば容易である。図の説明文もヒントにして解答したい。

第4問
・「地中海沿岸地誌」をテーマとする出題であった。内容は自然・都市・社会・産業と幅広く、やや詳細な知識を必要とする出題も見られたが、地誌としては標準的な大問である。過去にも出題された地域ではあるが、複数地域が範囲となっているため、対策が不十分だった受験生も多かっただろう。
問2は海峡を挟んだ国の判定など、詳細な知識を問う問題であったが、日頃から地図を用いた学習ができているかどうかで差がついたと思われる。
・問は、スペインとフランスは旧植民地が含まれていることに着目したい。イタリアとギリシャは表中の各国との地理的な位置関係と、2カ国の経済規模と人数の違いに着目して判定したい。

第5問
・昨年度は3カ国の比較地誌であったが、今年度は「ウクライナとウズベキスタン2カ国の比較地誌」であった。提示された資料はオーソドックスであるものの、旧ソ連構成国である2カ国は対策が手薄になりがちな地域であるため、やや難の大問である。
問1は両国の標高の割合が分かりにくいが、ウズベキスタンの東側にはパミール高原やテンシャン山脈につながる高地が見られることなどを想起しつつ判定したい。
問2は表の判定で戸惑うが、ウクライナではドネツ炭田やクリヴォイログ鉄山を結んだドニエプル工業地帯の存在を思い出したい。
問5は昨年度も出題された言語に関する問題である。ウクライナはロシアと同じスラブ系民族のウクライナ人が、ウズベキスタンはトルコ系民族のウズベク人が多数を占めることを思い出して判定したい。

第6問
・「宮崎県宮崎市とその周辺の地域調査」をテーマとして出題された。地形図・写真・統計地図と多様な資料問題が出題されたが、例年通りのオーソドックスな形式であったため、難易度は標準である。
問1は問題文で「1969年当時は東海道新幹線しかなく」とあるため、大阪-水戸間の所要時間の変化が少ないと推測することもできる。
問5は早場米とキュウリの産地で迷うが、平地が多いところで稲作が盛んであると推測し、図の標高を示した図より、より平地に集中するが該当すると判断できる。

 

 

来年のセンター試験を受ける方へのアドバイス


●センター試験・個別試験の両方で地理が必要な場合
個別試験対策がセンター対策につながる!
・高2のうちは、Z会の通信教育の本科「高校理科地歴コース 地理」を受講して、基礎知識を確実にすることをお勧めしたい。受験生になっても、スムーズに個別試験対策に取り組め、結果として、センター対策も有利になることだろう。
・個別試験のために必要な地理の知識・資料読解力はセンター試験でも必要とされるので、受験生になったら、夏休みの終わりまでに全範囲の学習を終えることをめざして、知識の整理・習得と演習を並行して進めよう。知識の習得には、Z会の通信教育の本科「東大コース 地理」「難関国公立コース 地理」やZ会の映像「東大地理」を、センター試験の形式に慣れるには、通信教育の専科「センター攻略演習セット」の受講をお勧めしたい。
・Z会の通信教育の本科講座では「必修テーマ」「添削問題」を通じて、地理の基本知識を習得し、資料の読解方法の基本を押さえることができる。映像「東大地理」も、授業を通して、各分野の重要ポイントや資料の読解方法を身につけることができる。
・その上で、Z会の通信教育の専科「センター攻略演習セット」を用いて、センター地理特有の出題形式に対応できるようにしておこう。さらに、直前に本番形式でまとまった数の問題をこなしたい人は、直近5カ年程度の過去問や『センター試験実戦模試 地理B』(Z会)などで、実戦形式の演習を重ねていくとよいだろう。
●センター試験のみで地理が必要な場合
高3の夏休みの終わりまでに地理の学習範囲を全て終わらせよう!
・センター試験は、高校地理の全範囲から出題される。高3の夏休みの終わりまでに全範囲の学習を終え、その後は実戦的な問題演習に充てるのが理想である。『はじめる地理 要点&演習』(Z会)などを利用して、センターに必要な知識の習得に努めよう。
・センター試験の最大の特徴は、数多くの資料が出題されることである。解答に必要なポイントを資料から素早く読み取る力を身につけておくことが必要である。日頃から教科書などの資料をチェックし理解しておくことを心がけよう。夏休みなどには、図表の目のつけどころを強化するため、『解決!センター地理B』(Z会)などを利用し、集中して対策を行うようにしよう。
・加えて、センター特有の形式に慣れつつ、効率的にセンター試験攻略に必要な力を身につけることができるZ会の通信教育「センター攻略演習セット」を受講し、問題演習を重ねていくことをお勧めしたい。また、Z会の映像「センター講座:地理」では、講師が重要ポイントや資料問題の解法をわかりやすく伝授してくれるので、地理学習に自信がない人には受講をお勧めしたい。

 

 

難関大合格には、センター試験での高得点獲得が必須です。「センター試験の問題は教科書レベルだから何とかなる」「対策は直前でも間に合う」というのは、大きな誤解。センター試験は科目数が多いため、個別試験の勉強と併行して早めの対策が必要です。本講座では、センター試験本番で9割得点することを目標に、必要な力を段階的に身につけていきます。
6教科17科目セットなので、必要な科目すべての対策はもちろん、苦手科目や分野に絞った対策も可能。節目ごとに実力を診断しながら、効率よく得点力アップがはかれます。

▼「センター攻略演習セット」地理担当者からのメッセージ 
・今年も大問2題が地誌からの出題でした。詳細な地名や事柄が出され、戸惑った受験生も多かったと思います。グローバル化した社会で生きていくには、諸外国との相互理解が必要です。そのためにも地誌学習は今後も重要になります。学校の授業では後回しにされがちな地誌の範囲ですが、早めの地誌対策が、ライバルに差をつけますので、漏れのないようしっかり学習しましょう。
・初見の資料が多く、膨大な資料に圧倒された人も多いかと思います。しかし、センター試験の資料をよく見ると、意外と基本的な図表を理解していれば判読できる資料が多いのです。また、日頃の地理の学習において、地図を用いた学習は、センター試験対策において本当に大切ですので、地図帳を使ってつねに位置を確認することを怠らないようにしましょう。
・センター地理の攻略には、地理の基本知識と資料の読解力を習得し、問題演習を重ね、センター試験特有の形式などに慣れることが必要です。ぜひ、Z会の通信教育などを活用して、本番で高得点を取れるような実力をつけてください。これから、Z会で一緒にがんばっていきましょう!!