「国語」2019年度センター試験分析

■分量と難度の変化(時間/配点:80分/200点)
全体の難度は2018年度と同程度で、センター試験としては標準的な出題である。問題文の読解は2018年度に比べ平易になった一方で、設問を解く際には選択肢の内容を丁寧に見極める力が2018年度よりも求められた。時間に対しての負担感は標準的なもので、演習を積んだ受験生にとっては時間的な余裕も確保できたと思われる。

■今年度入試の特記事項
・第1問(評論)の問5で〈文章の内容に関する生徒間の会話〉をもとにした出題がなされた。同様の出題は2016年度、2018年度にも同じく第1問で見られたが、「本文の趣旨と異なる発言」を選ぶ必要がある点に注意を要する。
・第3問(古文)は『2019年用センター試験実戦模試 国語』(Z会)で出題した問題と同一出典。扱っている場面は異なっていたものの、物語のあらすじを理解した上で臨める分、同問題に取り組んでいた人は文章の展開を理解するのに役立ったであろう。

■いま解いておきたい問題
・第3問(古文)は、和歌を含む物語からの出題で、センター試験頻出の出典ジャンルからの出題。登場人物が多く、場面もどんどん展開していくので、人物関係・場面状況を細部まで気を配って押さえなければならない。選択肢吟味の際には、語義を正確に反映しているかどうかを意識して取り組まないと、思わぬ失点につながる可能性がある。

■大問別ポイント
現代文(評論)  出典:沼野充義「翻訳をめぐる七つの非実践的な断章」
・翻訳家としての立場や経験をもとに、異なる文化や言語間の「翻訳」が抱える課題や難しさを述べた文章。随想に近い文体で具体例も多く読みやすいが、傍線部の趣旨や筆者の主張する内容を正確に把握するうえでは硬質な評論とはまた異なる難しさがある。
・問2「その意味」や問3「これは……翻訳を回避する技術」では、まずは指示語が示す内容を文脈から正確に押さえ、そのうえで傍線部の趣旨を正しくとらえることが重要。
・翻訳についての筆者の考え方を問う問4、生徒の発言から本文の趣旨と異なるものを選ぶ問5では、問題文全体に通底する筆者の考えも踏まえ、特定の立場に偏った誤答選択肢を消去することが求められる。

現代文(小説)  出典:上林暁「花の精」
・2014年度から5年連続で女性作家の作品が出題されたが、6年ぶりに男性作家の作品から出題された。80年近く前の1940(昭和15)年に発表された作品だが、その割に内容は読み取りやすかったと思われる。
・問1は、「本文中における意味」を選ぶ定番の問題だが、いずれも決め手は辞書的な意味に即して選ぶこと。
・問2から問5は心情に関わる問題が並んだ。いずれも難問ではないが、選択肢が長めで、紛らわしいものもあるので、本文と照らし合わせながら消去法で解く必要がある。
・問6は「適当なもの」を2つ選ぶ出題形式で、これも選択肢の内容を本文と照らし合わせて解くこと。
・以上のように、誤りの選択肢の根拠を確実に見抜くためには、本文との丁寧な比較が必要で、少々時間がかかる。印象だけで直感的に選んでしまうと、思わぬ失点につながるだろう。

古文  出典:『玉水物語』
・御伽草子からの出題で、文章の分量は多いものの比較的平易で読みやすい。その分各設問では細部まで正確に理解できているかどうかが問われた。登場人物を押さえ、丁寧に筋を追っていく必要がある。
・問2の文法事項を問う設問では敬語が問われた。登場人物が多く、さらに狐が娘に化けるという複雑な展開のため、人物関係を正確に把握して読解しなければならない。
・内容読解の設問が中心となり、「いたづらに」「逢ふ」「見る」といった重要語彙を細部まで見落とさずに押さえたうえで選択肢を吟味することが求められている。問6は和歌読解を一部含んだ設問だったが、修辞技巧などの知識事項は問われていないので、問題文全体の展開と、登場人物のやり取りを丁寧に押さえて解答すればよい。

漢文  出典:『杜詩詳註』
・唐代の詩人杜甫が、叔母の死を悼んだ文章からの出題。注にもしっかり着目して、人物関係や、例としてあげられているエピソード、たとえ話を正確に追う必要がある。
・設問は、語の意味、内容・理由説明、傍線部の書き下しと解釈など、例年と大きく異なる出題は見られなかった。
・基本語彙・文法の知識は必須だが、設問の大半が本文の解釈に関わるもののため、知識だけを丸暗記するのではなく、文章の内容理解まで踏み込んだ演習に事前に丁寧に取り組めたかどうかで差がついたと思われる。問7のようにやや込み入った内容が問われても、文脈を正しく読み取り冷静に対処してほしい。

来年のセンター試験を受ける方へのアドバイス

●幅広いジャンルの文章に対応できる力を養おう
・本番でどのような文章が出題されても対応できるように、早い時期から問題演習を重ねて多くの問題に触れておくことが重要。とくに「大学受験生向けコース」の本科では、「必修テーマ」を通じて古文・漢文の基礎知識や評論の入試頻出テーマを体系的に押さえられるため、センター試験・個別試験の両方に対応する力を養うことができる。
・古文単語や漢文句形などの知識事項は、高3までのなるべく早い時期に固めておきたい。加えて早期からセンターを見据えた学習に取り組む場合は、Z会の映像 センター試験対策映像授業『現代文/古文・漢文 標準編』などを活用し、大問別・出題パターン別の出題傾向と基本的な取り組み方を一通り習得しておくとよいだろう。高3からはZ会の通信教育の専科「センター攻略演習セット」でセンター形式の問題演習を重ね、直前に本番形式でまとまった数の問題をこなしたい人は、さらに『センター試験実戦模試 国語』(Z会)を使うとよいだろう。

Z会の通信教育「センター攻略演習セット」

難関大合格には、センター試験での高得点獲得が必須です。「センター試験の問題は教科書レベルだから何とかなる」「対策は直前でも間に合う」というのは、大きな誤解。センター試験は科目数が多いため、個別試験の勉強と併行して早めの対策が必要です。本講座では、センター試験本番で9割得点することを目標に、必要な力を段階的に身につけていきます。
6教科17科目セットなので、必要な科目すべての対策はもちろん、苦手科目や分野に絞った対策も可能。節目ごとに実力を診断しながら、効率よく得点力アップがはかれます。

「センター攻略演習セット」国語担当者からのメッセージ  

・2019年度のセンター国語は、「問題文の内容を丁寧に咀嚼する力と、選択肢の内容を適切に理解し正誤判断する力の両方が備わっているかを問いたい」という出題側の姿勢が、例年以上に感じられる出題でした。つまり、正確な知識の習得・運用の蓄積と、幅広い文章ジャンルでの演習経験の有無により、はっきりと得点差がつく出題でした。
・センター国語では、年度による難度の差や、出題される文章ジャンルにばらつきが見られます。「去年易しかったから、今年も何とかなる」「このジャンルの文章は出ない」と断定して、対策を怠ることこそ、最も避けるべきです。どのような出題でも、難しいときには難しいなりに、易しいときにも取りこぼしなく、慌てずに実力を発揮できるかが、問われるのです。
・「自分を信じる力」を本番で維持できるか、一番大事なのはそこです。そのためには、良質な演習の積み重ねが大事です。早い時期から、さまざまなレベル・ジャンルの問題に触れて、万全の対策を進めておきましょう。「何でもドンと来い!」というゆるぎない自信をもって来年の本番を迎えてください。Z会が皆さんをバックアップします。