「倫理、政治・経済」2019年度センター試験分析

投稿日時:2019年9月9日

■分量と難度の変化(時間/配点: 60分 / 100点 ) ・大問数は6題で例年通り。小問数は2018年度同様36問であった。配分は倫理分野18問、政治・経済分野18問であった。 ・一部にやや細かい知識を問う選択肢があるものの、基本知識で正答を判断できる内容が中心であったため、取り組みやすかっただろう。 ■今年度入試の特記事項 倫理分野 ・例年同様、「青年期の課題と現代社会」「源流思想」「日本思想」「西洋思想」の各分野からバランスよく出題された。 ・本文趣旨要約問題は2018年度と同様2問出題されたが、資料文読取り問題は2018年度の2問から1問に減少した。グラフ読取り問題は2018年度に引き続き出題されなかった。 政治・経済分野 ・2016年度からの出題構成である、大問3題、かつ各大問が政治・経済・国際政治・国際経済の中から複数の分野が融合的に出題される、という形が踏襲された。 ・2016年度以降出題のなかった、すべての選択肢の正誤を判断する正誤組合せ問題が復活した。 ・例年出題されていた需要・供給曲線の問題が、今年度は出題されなかった。 ■いま解いておきたい問題 倫理分野 ・第2問-問7や第3問-問6は、例年出題されている本文趣旨要約問題である。 ・長い文章を読んで趣旨を捉えるということだけでなく、本番では限られた時間の中でこのような問題に当たらなくてはならない。落ち着いて丁寧に文脈を追っていくことが肝心である。 ・選択肢の一部が本文に合致していたとしても、それが正答だと早合点してはいけない。少しでも本文と整合性が取れていない所がないか、選択肢の一言一句を精緻に判定していこう。 政治・経済分野 ・第4問-問2は、国民経済計算の指標に関連して、国民純生産(NNP)と国内総生産(GDP)の定義と算出方法を説明する空欄補充問題である。 ・国民経済計算の指標は、教科書にも図解が載っているが、それぞれの指標の関連性を自分の言葉で説明できるかが、改めて問われている。そのためには、「固定資本減耗」「中間生産物」とは何か、「付加価値」とは何か、「間接税を引き補助金を加える」のはなぜか、意味を理解する必要がある。 ・国民経済指標や国民所得の三面等価、フローとストックなどに関する出題は、定義を理解していれば得点源となるので、しっかりと身につけておきたい。 ■大問別ポイント 第1問:倫理分野 ・現代における家族の在り方をテーマに、青年期の課題と現代社会分野を中心に出題された。全体的に標準的な問題であった。 ・現代社会の課題について用語を覚えていることだけでなく、その意味・内容を正確に押さえておく必要がある。その上で、選択肢の文章を読み飛ばしてしまうことなく、表現の細部まで丁寧に読解することがポイントであった。 ・問5の資料文読取り問題は、資料と選択肢を精緻に照らし合わせて読み解いていけば解答できる。 第2問:倫理分野 ・心と行為の関係をテーマに、源流思想や日本思想について幅広く出題された。基本的な知識で概ね解答できるが、日本思想で一部に細かい内容を問う問題も見られた。 ・問1は古代の日本人の心についての問題であった。標準的な内容であったが、対策の及びにくい分野のため、とまどったかもしれない。 ・問6の西田幾多郎の「無の場所(絶対無)」に関する思想は、細かい内容であり、難しかった。 第3問:倫理分野 ・運命についての考え方をテーマに、源流思想や西洋思想について問われた。基本的知識に関する出題が多く、手堅く得点したい。 ・問1は、一部の選択肢にやや細かい事項が見られたが、消去法なども用いて正答にたどり着きたい。 第4問:政治・経済分野 ・グローバル化と地域経済統合をテーマとして、政治・経済・国際政治・国際経済分野から幅広く出題された。 ・問4は、ロシア経済が盲点であったが、慌てずに他の2国を特定し、グラフを丁寧に読み取れば、正解を導くのは容易である。 ・問7では金融政策に関連して、時事的な知識にも絡めた細かい知識を要する出題がされた。こうした問題に対応するためには、日頃から社会・経済の話題に関心を払っておきたい。 第5問:政治・経済分野 ・憲法の人権保障と政治をテーマとして、政治・経済の各分野から出題された。 ・問3・問4は、いずれも基本的な知識を問うものだが、各事項の内容を正確に理解している必要があった。日本国憲法で定める国会・内閣や選挙制度について、丁寧な学習が望まれる。 ・問5は、地方議会と首長に関する空欄補充の組合せ問題であった。首長の不信任決議の成立要件の知識がやや細かく難しい。 第6問:政治・経済分野 ・地球規模の環境保全政策をテーマとして、経済・国際経済分野から出題された。概ね基本的な知識で正答を判断できる問題であったため、手堅く得点したい。 ・問2は、グラフの読取り問題であった。消費税率以外は、前提となる知識がなくても解答可能である。 ・問4は、「コンパクトシティ」「ふるさと納税」という時事的な用語が問われた。  

攻略へのアドバイス

・早めに「倫理」「政治・経済」両科目の対策に着手しよう。 公民はほかの教科に比べて対策が遅れがちになるが、必要とされる知識量は多く、学習を後回しにしていると直前になって大きな負担を抱えることになりかねない。受験生の秋以降に個別試験で必要な教科の対策に十分な時間を確保するためにも、公民も早期から計画的に学習を進めることを意識しておきたい。 センター試験の倫理、政治・経済は、「倫理」と「政治・経済」の全分野から満遍なく出題されるので、必要とされる学習量はかなり多い。資料読解や思考力が求められる問題も出題されているため、前提となる知識事項を確実に押さえていく必要がある。受験生の夏休みの終わりまでに一通りの知識を学習し終えられるような計画を立ててほしい。そして、秋以降は問題演習を定期的に行い、より知識を広く・深く定着させることをめざそう。 Z会の通信教育の専科「センター攻略演習セット」では、夏までに全範囲を網羅し、秋以降はより実戦に近い形でセンター試験型の出題をしている。「倫理」「政治・経済」それぞれについて、各単元の内容が定着しているかを確かめる学習のペースメーカーとして、取り組んでいくとよいだろう。また、Z会の映像では、「センター講座:倫理」と「センター講座:政治・経済」の受講をお勧めする。倫理、政治・経済の重要テーマについて、「センター試験でどのように出題されるか」を意識した詳しい講義と、厳選した問題演習を通して、効率よく実戦力を身につけることができる。

 

▼倫理、政治・経済担当者からのメッセージ ・倫理分野では、出題頻度の低い人物・事項が取り上げられることがありますが、そうした細かい問題の対策に拘泥するよりも、まずは基本的な人物とその思想を押さえ、基本的知識で解答できる問題で失点しないことが肝心です。キリスト教・仏教・イスラーム教や、ロック、ルソー、デカルト、カント、法然、荻生徂徠、本居宣長、和辻哲郎、西田幾多郎などの、倫理頻出の思想・人物は、徹底的にキーワードとその内容を理解しましょう。様々な形式・切り口での出題が想定されますので、磐石な知識力を身につけておくことが大切です。早期から、しっかりと対策を進めてください! ・政治・経済分野では、基本的な事項に関する知識を重視する出題が中心ですが、単に知識の有無を問うだけでなく、知識をもとに具体的な事例を考察する問題も出題されます。さらに近年では、より踏み込んだ思考が必要な出題が見られるようになっています。ただ知識を覚えているだけではなく、その知識を資料の読取りに活用する、具体的な事例と結びつける力が必要とされているといえるでしょう。こうした問題に対応するためにも、様々な視点から知識を習得し、問題演習を積むことで知識を活用する力を身につけていきましょう。 ・倫理、政治・経済で必要とされる学習量はかなり多いですが、早期からの対策で、知識・思考力・読解力は強化することができます。早期から対策に取り組み、倫理、政治・経済の得点力をアップさせましょう!

2021年度からは大学入学共通テスト! 共通テスト対策もZ会なら安心!

「共通テスト専用の対策教材が見つからない…」とお悩みのあなたにおすすめなのが、Z会の『共通テスト攻略演習』です。Z会の独自分析により、思考力や判断力が求められる「新傾向」の問題にもしっかり対応。センター試験から共通テストへの変更点をふまえて、万全の対策を進められます。

同じカテゴリの人気記事

「政治・経済」2019年度センター試験分析

■分量と難度の変化(時間/配点: 60分 / 100点 ) ・2018年度と同様、大問数は4題、小問数は34問となっている。 ・一部にやや細かい知識を問う選択肢があるものの、基本知識で正誤を判断できる... (続きを読む)

詳細を読む

「国語」2018年度センター試験分析

2018年度センター試験分析速報   ■分量と難度の変化(時間/配点:80分/200点) 全体の難度は昨年度よりやや易化したが、センター試験としては標準的な出題である。時間に対しての負担感も標準的なも... (続きを読む)

詳細を読む

「英語筆記」2018年度センター試験分析

2018年度センター試験分析速報 ■分量と難度の変化(時間/配点:80分/200点) ・語数については、問題ごとに増減はあったものの、全体としてはほぼ昨年度並み。マーク数は昨年度から1個減り、54個と... (続きを読む)

詳細を読む

Z会の各種サービスのお申し込み・資料請求はこちらから